シェア
遥か遠くからやってくる音に空を仰げば 途方もなく愉快な驚きに満たされた。 あれはなんの曲だ…
流星群がやってきた夜。 僕は彼女と二人、 街で一番高い鐘楼の天辺に腰掛けて 空の大騒ぎを見…
作家から預かった世界を丁寧に 張って重ねて立ち上げる。 広げすぎてはいけない。 けれどどこ…
トランクに詰め込むのは白い服だけ。 手を繋いで木陰を行き 窓を開け放して果汁を飲む。 土埃…
星の海を行けと母は言った。 はるか銀河の彼方に友を作れと。 漆黒の空はもう、 恐ろしき異空…
目覚めた時、残り香があった。 さっきまで見ていた夢と同じ。 早朝、雨上がりの庭。 濡れた石…
熱帯雨林に生息する蝶はね、 嵐みたいに群れで移動するんだよ。 夏休み、駅に向かう坂道で そんな町に生まれたハトコが教えてくれた。 灰色のビルが林立する上空を見上げ、 私は色鮮やかな遥か遠い国を想った。 それは、いつかここから飛び出して 何かを見つけ行くんだと、 小さな胸が一杯になった瞬間だった。