伝聞

聞いたものを果実のように齧ってみる

理解したはずの言葉が捻れて口から出て行く

色付けされた言葉たちが撒かれると

市井にコンフューズとエクスキューズが交わり拡散される

人には未知に対する恐怖と困惑がある

明日は誰でも不安だ

相手のことや物事を「知らない」ということが

誤ったり、拡大解釈を生む

未知の人、街、地域、国、大陸

ゆがんだ眼は優しい心を持たない

囲いが大きくなると一人では抱えきれなくなってしまう

余計な怒り、悲しみ、涙、切なさはいらない

まだピカピカの新しいランドセルを背負っていた頃、

みんなみんな校門をくぐって教室に向かうこわさがあったはず

でもそれって...

年月が経ち、ランドセルや筆箱や文房具に年季が入った頃には無くなっていた感情

隣人を愛し、認める心でいれさえすれば偏見や差別や紛争、戦争なんて起きないはず

遠い遠い地球の裏側に住む人も必ずどこかでつながっている

今日着た服にも、今朝食べた朝食にも、ひねれば出てくる水にも世界とのつながりを見出せる

顔を上げ、空を見上げるだけでいい

ただそれだけで透明な空気が身に沁みこみ

私がひとりこの部屋で奏でるちっぽけな音楽たちもやがて無数の空へと放たれると思える






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