3.11からコロナ禍を経て共通ポイントの新価値「応援型Tカード」が生まれたワケ【6号室】
突然ですが、「応援型Tカード」をご存じでしょうか?
応援型Tカードとは、期間内にTポイント提携先のお買い物等で貯めたTポイントで応援対象に貢献できるTカードの総称です。
2020年8月から、株式会社Tポイント・ジャパン(以下、Tポイント・ジャパン)と、カルチュア・エンタテインメント株式会社(以下、CE)、CCC COMMUNITY株式会社(以下、CCCCOM)の3社で発行しています。
これまでに、「水戸ホーリーホック応援型Tカード」を皮切りに、「応援型Tカード×pixivFANBOX」、「応援型Tカード×えんとつ町のプペル」を発行したところ、たくさんの反響をいただく結果となりました!(本当にありがとうございます・・・(´ー`))
企画の楽屋6号室では、「応援型Tカード」の開発に携わったCE・牧 英之と、「水戸ホーリーホック応援型Tカード」に携わったCCCCOMの高野 名絵から、「応援型Tカード」誕生に至る裏話をご紹介させてください♪
■プロフィール
牧 英之:カルチュア・エンタテインメント株式会社 アイテム&サービス企画部 部長
高野 名絵:CCC COMMUNITY株式会社 エリアアライアンス事業本部 営業部 総合コンサルティング Unit Leader
■3.11からコロナ禍…混迷の時代にTポイントができること。
――今回の「応援型Tカード」が誕生した背景にはどのようなことがあったのでしょうか?
牧:もともとお客様から「貯めたポイントを、誰かのために使いたい」という要望があり、2010年3月にインターネット上で1ポイントから寄付できる「Tポイント募金」が誕生しました。その翌年に東日本大震災が発生。その際はT会員の皆さまから約2億円の寄付を頂くなど、3.11を境に日本の中でも寄付や応援といった価値観がより浸透していった感覚があります。
牧:その後「リアルの店頭でもTポイント募金をしたい」という声があり、2014年7月にTポイントとして初の社会貢献型Tカード「ポケモンデザインのTカード」が生まれました。貯めたTポイントの半分と、発行手数料の500円のうちの100円を、福島県・南相馬市に建設したポケモンと遊べるインドアパーク「南相馬 みんなの遊び場」の建設費用として寄付するものでした。当初、お客さまから自動的にポイントが減算されること(以下、自動減算)に対してネガティブな反応があるのではと不安もありましたが、最終的には多くのポジティブな声と共に、大きな手ごたえを感じました。
■寄付ではなく、「応援型プラットフォーム」が生まれたワケとは?
牧:その後、キャラクターがデザインされたTカード「Tカード(キャラクターデザイン)」でご縁のあったpixivの担当者様とお話した際に、「応援・投げ銭」というニーズが高まっていることがわかりました。モノが欲しいというよりも、「この人のために何かしたい」という強い応援の気持ちのお客様が多くいる。すでに、作家さんのための「応援型プラットフォーム」として「pixivFANBOX」が存在していましたが、この座組であればTポイントでの「応援型プラットフォーム」も実現可能だと感じました。
――なるほど、作家(イラストレータ)の世界への熱量が「応援型プラットフォーム」にマッチしていたのですね。
牧:社会貢献型Tカードでは、カード券面のコンテンツと、寄付先は異なる構造になっていました。そこを「応援」という形にすることで、カードのコンテンツに対してダイレクトに支援ができる。顧客目線からもより直観的なサービスになると思いました。
■新しい価値を生み出すには、“現場の熱量”を知ることから
――「応援型Tカード」の構想がスタートしてから実現に至るまで、大変だったことはありますか?
牧:システムの開発については、極端に困難だったという事はありません。しかし、グループ会社内で、どこが主体となってこの企画を進めるのかなど、社内判断の調整の方が難しく、その開発に着手するまで1年近くかかりました。
高野:そもそも社内に応援といった概念がなかったことに加え、ビジネス化への見通しが課題となりました。募金であればスコープに入るが、「応援しながら事業化できるプラットフォーム」というものを理解してもらうには、牧さんが先ほど話したような、そもそも応援と寄付の違いが何であるか、ということを説明することが不可欠でした。
牧: 応援文化の理解については、社内で各人によって温度感に差があり、賛否があったのも事実でした。顧客ニーズを起点にスタートした企画でしたが、ビジネス面でのハードルがありましたが、その中でも、コミックマーケットや動画投げ銭など、リアルな現場での熱量を体感するのが大切だと思います。
第2弾「応援型Tカード×pixivFANBOX」
■コロナ禍で醸成される応援の土壌と、手軽なプラットフォームの立ち位置
――現場といえば、地域に根差した「水戸ホーリーホック応援型Tカード」はどのようにうまれたのでしょう?
高野:Tカードの利用者が県民の約6割を超える茨城県では、地域のTポイント提携店舗を束ねるエリアアライアンスパートナー代理店の株式会社ブックエース様と共に、J2の「水戸ホーリーホック」の応援を続けてきました。そんな中、ファンの方から「ファンカードを発行して欲しい」という強い要望を頂き、ちょうど牧さんが「応援型プラットフォーム」をTポイントで進められていることを知りました。その後、社内調整を含め3年ほどかけてようやく完成しました。いまでは、発行2カ月で25万超のTポイントのご支援を頂くなど、ご愛好頂いています。
――コロナ禍で現場とのやり取りには苦戦されたのではないでしょうか?
高野:コロナ前は私も現地に足を運んでいましたが、コロナが流行してからは早い段階でZoomに切り替えるなど密な連携は欠かさないようにしていました。当初、発行開始の記者会見を予定していたサンクスマッチも開催が危ぶまれる中でしたが、Zoom記者会見の導入やビデオメッセージなど、デジタルツールを駆使して安全な体制で最大限のPR活動に努めました。
第1弾「水戸ホーリーホック応援型Tカード」発行記念記者会見
高野:コロナの拡大でサービスインが後ろ倒しになる影響もありましたが、コロナ禍だからこその応援や支援の輪がひろまり、世の中的にも受け入れやすい土壌になっていたと思います。正直、最初は社内でもあまり注目されていませんでしたが、弊社・会長の北村が現場を訪れた時に、現場の熱量に感動し、「応援企画の重要性」を社内で啓蒙してくれています。今後は、地域や行政と連携して、応援型Tカードを発行し、地域を応援していこうという話も生まれています。
牧:コロナ禍の影響を受けたのは、当然スポーツチームだけではなく、ライブ活動をするアーティストなど多くの方がいらっしゃいます。そのような中、「応援型プラットフォーム」を用意できたのは本当にタイムリーでした。クラウドファンディングや動画配信の投げ銭プラットフォームなど、世の中に「応援型プラットフォーム」はあまた存在していますが、CCCとして参入する価値がある領域は、やはりポイントだと思いました。世の中に何千億と発行されているポイントが、そのうち少しでも「応援型プラットフォーム」に回ればクリエイターやアーティストの支援にもつながるし、お客様にとっては貯めるという行為が直接応援につながるので、ストレスもなく気軽に応援することができるサービスになると思いました。
■今後の展開は?プラットフォームのデジタル化と立体的な展開
――確かに、コロナ禍で高まる応援の気運にも、気軽に参加できるプラットフォームなのかもしれませんね。
高野:水戸の場合は街ぐるみでチームを応援しているので、普段は足を運ばなかったお店に訪れるきっかけにもなっていると思います。やはり、ファンの方たちは「自分がファンだ」という事を言いたい。だから、お互いに水戸ホーリーホックデザインのTカードやスマートフォンのモバイルTカードを見せ合うことで、「いいね!」「毎日やっているね」とコミュニケーションにも派生しています。その結果、消費行動も活性化することで、地域創生の一策としても成り立つのではないかと思います。
牧:コンテンツも同じで、カードを提示することで店員さんから「かわいいですね」「私もそれ好きです~」と言ってもらえるのがすごく嬉しいという声があります。バンドTシャツのように、“自分の好きなものをさりげなくアピールできる“というファッションの一部になっているのかも知れません。
牧:また、「カードで応援」は一つの軸として持ちながらも、今後の立体的な展開には、プラットフォームのデジタル化が必須だと考えています。例えば、モバイルTカードに対応することで、地域を応援している人に地域のお得な情報を表示したり、ECと連携することで好きなコンテンツを直接購入ことができたりするようになる。スマホ起点にサービスを拡張していくことで、結果的にファンクラブのような存在にまで発展していければと存じます。
高野:地域という視点で言うと、応援型Tカードを起点にカードがID化して、地域サービスを利用できるとか、公共交通機関も利用できるといった展開があるかもしれません。地域という世界の中で生きていく上で、ポイントも貯まり、応援にもつながり、そしてIDとしても利用できる。また、地域の一つとして、海外でも「応援型Tカード」で応援の輪が広がっていければいいなと願っています。
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