金沢旅 後編 | すぐ入れておいしい、町のごはんたち
実際、旅程の決め方はかなりゆるい。
ああしようこうしよう、ここに行きたいを決めるのは、ひとえにプライオリティで、わたしの場合はそれが「待ち時間」なことが多い。
混んでいればスルーし、時間をずらして空くまで別のことをする。そうしてストレスなく過ごす。これが最優先。
おひとりさまホテルステイの金沢グルメで「近江町市場で海鮮を1,500円くらいでちょいちょいっとつまむ旅情気分」の、観光的にぎわいを吸うように楽しむことをかなり脇に置いておくのは、実際にのんびり出発で昼頃に到着するスケジュールだと市場のほとんどのお店は閉店している、というところにある。
海の幸は翌日の朝食などで楽しむとして、海鮮以外にも地元に根づいたお店があることに着目してもらいたい、という気持ちもある。わたしがひとりで金沢で入るのは、通い慣れているカジュアルなお店ばかりだ。
予約があらかじめ必要なお店は、友人たちのアテンドでは利用するが、ひとりでは滅多に行かない。
海鮮や和食に、もちろんクラシックな日本的洋食も金沢グルメのメインを張るけれど、そういうところはたいてい旅行雑誌の常連であるし、観光地のど真ん中にあるため、「サクッと」は入れない。
わたし達、おひとりさまは隙間が好きなはずだ。
どうしても行きたい念願のお店であることを除けば、混んでないところ、空いているところに目をキュピーンと光らせ狙い、それでいて味わいを感じて満足できるんなら、この上なく良いんじゃないだろうか。
ごくごくふつうに街歩きのルートに含めて行けるところばかり、5つ選んでみました。
施設情報は最後にまとめてありますので、そちらからどうぞ。
前編は宿泊したホテルレビューを中心にしています。
おひとりさまのアンテナをキュキューっと磨くには
個人的にお店の選定で気にするのは以下の4点。
・正確な最新情報がGoogle、SNSのいずれかに必ず記載があること
・内部がわかりやすい店構えであること
・カウンターもしくは2人席があること
・メニューの掲示が外にあること
どれか当てはまれば、良いお店。全部満たせば最高のお店。
そうして「うまそうアンテナ」に引っかかる自分の直感を信じていくのみ!
街歩きやショップカードなど、アナログで手に入れる情報から探れる勘もあるので、日中に行ったお店がとても良かったと感じたなら、レジ前のカウンターにあるのは招待状のようなものだ。
そして、はずれも楽しめるコツは、何より自分の決定を罰しすぎないこと。
「まずかったな〜」は思い出のフックとして最高だし、言い訳が欲しいひとにとってはまた来る理由付けにもなるから、ほら、やっぱり最高だ。
今日、なにを食べたいか? どんな食べ物が魅力的に見えるか? を考えることは、自己肯定感を実感するワークとしてもよく効くはずだ。
一食の一期一会に情熱を傾けている先例が、教えてくれている。
金沢駅 | そらみそで食べる、おにぎりとお味噌汁
駅改札の目前に広がる商業施設、Rintoの中にあるおにぎりと味噌汁のお店。テイクアウトもできます。一部商品はイートイン限定。
「着いた! おなか空いてたまんねえ!」というときにも、おすすめの日本の伝統ファスト和食。汁物のお店ってのはぁ、なんぼあってもいいですからね……(うっとり)。
Soup Stockとかちょう好きだし……。
とろろ昆布のおにぎりは、北陸ではおなじみのソウルフード。
口のなかに入れて旨みがぶわぁ〜っ!と、かすかな酸味と共に、わっせわっせとやってきます。ところにより白飯に梅肉か、ゆかりを混ぜたごはんかで違いがあるので、どっちが好きか食べ比べしてみるといいかも
香林坊 | 大容量カフェめしのHUM&Go
香林坊大和(デパート)とニコイチで建つファッションビル、アトリオの地下にあるHUM&Goは、めしの食えるカフェ! 石川で今いちばんホットなスポット、石川県立図書館内にもお店があります。
たっぷりボリュームでスイーツも軽食もおいしいお店なので、盛大にお腹を空かせてきてほしい!
大盛りにせずともご飯の盛りがしっかりあってうれしい!
Free wi-fiと電源もある!
夕方に差し掛かる頃合いの午後は、ご飯どころは大体、休憩を取っている時間なので1日を通して営業しているのって、すごくありがたい!!!
と、歓喜に沸きながら充分にお腹を満たした様子は、Threadsに公開したリールのフルver.にも収録しました。
長町 | 豚の肉と脂とマスタード、oinkoink
せせらぎ通りは、雑貨店やおしゃれなお店を川をまたぐ小さな橋と繋げていて、散策に非常にいいエリア。
尾山神社近くのひらみぱんのそばから、香林坊109の裏手に通じている小径で、その通り沿いにある豚肉料理の専門店 oinkoinkには、カウンター席あり。
厚くて大きいローストポークが、低音調理でほんのりピンク色をして、ふるふると脂をふるわせるほどにおいしい!
マスタードの粒々が愛おしく見えてきませんか……。この酸味がね、肉の旨みに甘さを感じさせてくれるんですよ。ほんとだよ。
オープン直後が入りどきです。いつも人が並んでいて人気なんだなぁ。
グラム数を選べるハンバーグも評判。ハンバ━━━(゚∀゚)━━━グ!!
木倉町 | クサムラで呑む! フルーツサワーと焼き鳥
注文は自分のスマホから行える、焼き鳥居酒屋。
場所は片町エリアにほど近い、飲み屋の連なり木倉町。
フィーリングに任せてぶらぶらとお店の面構えを眺める夜の時間は、探検って感じがして無用に歩けてしまう。
そのうちに看板に惹かれて入ったら最後、カウンターで静かに呑める良さに酒が進んで、スツールの上で、からだがアルパカくらい揺れていた。楽しさとおいしさを一度に感じたときのわたしだ。
串もののほか、おすすめなのは里芋の素揚げ! わたしの大好物!
袋から転がして出すのも、ちょっとしたアトラクション気分。
尾山町 | ごはん屋はなの一膳
夜に、素朴な定食が食べられるんですよ……。
それって、すごくないですか???
チェーンの定食屋がないところでは、これを奇跡と呼びます。
あるとき金沢でライブを観たあと、白いめしを食べれるところがないかな、と検索したときに見つけたのですが、敷居高めの和食や鮨、海鮮が売りの居酒屋も金沢の醍醐味!のところ、さば味噌など家庭料理の一膳が街中にあるのがうれしくって。
副菜がいろいろついてるのもすごく好き〜ぜんぶおいしい〜。
番外編 | gelateria RITORTA
こちらも、せせらぎ通り沿いのちいさなお店。
gelateria RITORTAで、おいしいジェラートはいかがでしょうか。
テイクアウトできるので街歩きのお供にもなります。
素材の味との調和、無理をせずおいしく引き立てていて、観光や散策の疲れがふっと和らぐひととき。
カップもかわいい。
ドープなところは心に秘めておくとして。
個人的におすすめなのは、紅葉が街を染めるこれからの季節。
雪深くなると街中の歩道は、慣れた足取りの県民たちによって踏みしめられた圧雪で歩くにもテクニックが必要なんだけど、そうなる前の秋は、色が豊かで本当にきれいで心が躍ります。
金沢のホテルで、個人的ベストワンの香林居から見る、香林坊から広坂へ向かう道の彩りがたまらないので、散策をいちばんに楽しめる短い季節にやってきて、肌寒さの余韻を頬に残しながら、あたたかくほっぺたを満たしていってほしいと思うんだ。
chicca