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【不登校の親・ショートSTORY】焦らず、じっくり。息子の未来はここから始まる
作家らしく、体験からのショートストーリーを。
高校は、出席率も規定以上でなければ単位認定につながらないので、学校を休み出すと、留年への不安から将来の不安につながりやすいです。
でも、将来へ続く道は、一つではありません。
いくつもの選択肢がありますよね。
焦らず、じっくり。息子の未来はここから始まる
息子が学校に行かなくなったのは、高校1年の夏だった。最初は「また明日から行けばいい」と軽く考えていたけれど、気づけば日々が過ぎ、季節が変わり、新しい年を迎えていた。
大学に進学できるのだろうか、将来どうなるのだろうかと、不安が胸に広がる。そんなある日、学校の担任の先生から電話がかかってきた。
「このままだと進級が難しいかもしれません。
一度、これからのことを話し合いませんか」
私は、その言葉に強く心を揺さぶられた。「留年?」や「退学?」という言葉が頭をよぎり、息子の未来が真っ暗に感じられた。でも、先生の次の言葉が、私を少しだけ救ってくれた。
「実は、いくつかの選択肢があります。
お子さんがどうしたいか、
一緒に考える時間がありますよ」
その言葉を聞いたとき、私は初めて、急がなくてもいいんだと思えた。これまで、息子に「どうして学校に行かないの?」と何度も問いかけてきた。でも、きっと息子はその答えをまだ見つけていないのだろう。私自身も、どうすれば良いか分からず、ただ焦っていたのかもしれない。
先生はさらにこう続けた。
「欠席が続いても、校長先生の判断で
単位が認められる場合があります。
たとえば転校という選択肢もありますし、
まずはお子さんの気持ちを尊重して、
無理せずに進めていきましょう。」
私にとって光明だった。息子のことを思うあまり、私は未来への不安ばかりに囚われていた。多分、息子の今の気持ちを見失っていたのかもしれない。「どうしたいか」というシンプルな問いかけが、私たち親子の関係に新たな光を差し込んだ。
そして、私は決めた。
焦らなくていい。息子の心のエネルギーが回復するまで、まずは一緒に寄り添いたい。そして、未来に向かって歩き出すその時を、信じて待とう。
学校に戻る道も、別の道も、息子が自分で選ぶことができるように。