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個々の目標と全体の目標

みなさんこんにちは
和歌山市で放課後等デイサービスの運営サポートとメンタルヘルスケアを行なっている臨床心理士・公認心理師の大浦政幸です。わたしたち株式会社Mind Compassは、ノーマライゼーションの実現を目指し、すべての人が自分らしく過ごせる社会を目指して活動しています。

今回は「目標設定」についてお話ししたいと思います。療育をする上では、利用者さま一人ひとりに合わせた目標を設定することがとても重要です。支援計画の作成でも、みなさん個々の目標を立てて取り組まれているのではないでしょうか。日々の活動においては、個々の目標だけでなく「全体的な目標」を設定することも重要です。個々の目標と全体的な目標、これらどちらも療育する上では必要不可欠なものでしょう。

個々の目標と全体の目標の違いとは?

個々の目標は、利用者さま一人ひとりの状況や特性から設定し、将来の姿を目指した段階的な支援を考えられます。一方で全体の目標は、集団での活動全体を通して達成したい共通のゴールを指します。個々の目標は、利用者さまそれぞれに合わせて設定され、全体の目標はすべての利用者が共通して取り組むテーマや方向性として設定されます。

個々の目標の設定方法

個々の目標を設定する際におすすめしたいポイントをご紹介します。

  1. 利用者の現状を理解する:保護者や関係機関からの情報、日々の観察などから、どのような課題があり、どのような支援が求められているかを把握します。

  2. 長期目標から設定:将来、利用者さまにどのような姿になってほしいのかを設定し、長期目標にします。それを達成するために中期・短期目標を設定していきます。

  3. 具体的で測定可能な目標にする:目標は具体的で、達成度の変化がわかることが重要です。例えば、「コミュニケーション力を向上させる」といった抽象的な目標ではなく、「1日2回、自分から他者に声をかける」といった計測可能な内容にします。

全体の目標設定のポイント

全体の目標を設定する際に、「利用者さんごとに目標が異なる中で、どうやって全体の目標を立てればよいのか」という疑問を持たれることもあるでしょう。実際、全体の目標を設定するのは個々の目標に比べて難しいと感じることが多いかもしれません。そこで、全体の目標を考える際は以下のポイントを意識してみてください。

  1. 共通のテーマを見出す:個々の目標は異なっていても、共通する課題やテーマを設定できます。例えば、Aさんは「他者とのやりとりの中で感情を表現すること」が目標であり、Bさんは「集団活動での協力を意識すること」が目標であったとします。この場合、「得意な方法を選択してコミュニケーションを行う」といった全体目標が設定できます。

  2. 活動のねらいを考える:その活動を行うことで、どのような学びや経験をねらいたいのかを明確にします。

  3. 柔軟な支援を心がける:すべての利用者さまが同じ目標を同じように達成することは難しいでしょう。しかし、全体目標を設定することで、共通の活動を通じて学びや成長を得られるような支援を工夫できます。

どちらも大切

療育や支援の現場では、個々の目標と全体の目標を統合させる視点も重要です。個々の目標は利用者さま一人ひとりの成長を支えるものですが、全体の目標は活動に共通の方向性を持たせます。日々の活動で全体目標を意識できると個々の目標達成にもつながりやすく、全体の活動から得られる学びは個々の成長にも影響します。

まとめ

今回は「個々の目標」と「全体の目標」の設定についてお話しました。個々の目標をしっかりと設定することはもちろんのこと、全体の目標を工夫し、活動を通じて共通の目的に向かって進むことも大切です。

日々の活動の中でこれらのポイントを意識することで、利用者さま一人ひとりの成長を支えながら、全体としても一体感を持った療育を行えます。目標設定を通じて、利用者さまが安心して成長できる環境を作り上げていきましょう。

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