An Anthropologist on Mars
「火星の人類学者」オリバー・サックスの1995年の作品。ラマチャンドランの好きなボクにとっては大満足の一冊でした。7人の不思議な人々の物語。およそ30年前の本ですがこの分野は今でもだいたい謎なので、古さは無いと思います。不思議だなぁと思いつつ記録するしかないのかなと思いました。
ボクの印象に残ったのは6人目のサヴァンの物語です。幼い頃からとても良い絵を描き、成長すると音楽の才能も発揮します。「良い絵」というのがミソ。単なる写真のような「機能的」な絵ではなく、良いと思える絵です。音楽も単なる「再生」ではない演奏。早い話が感動する作品や演奏なのですね。
ここで筆者の感じるパラドックスは、あえてボクの感覚でいうと、魂(タマシイ)の無い(ように見える)人の作品や演奏になぜ私は感動してしまうのかということです。誤読でなければ良いのですが。不安なので、そのうち翻訳版を図書館で借りてこよう。
ボクの答えは、「魂(タマシイ)が感動する」というのが筆者の思い込みであり、むしろ逆に「脳の感動」を体験する主体を魂(タマシイ)と名付けているに過ぎない、です。従って、魂など無くても感動する機能があれば感動するので、このサヴァンの人は感動したモノを描いたり、感動した歌を歌ったりするのだろうと思います。
感動を体験する主体を魂(タマシイ)という高貴な、守らなければならない最も大切なものとしないとやっていけないところが筆者も含めた私たち人類の弱点であろうと思います。色々な苦しみや犯罪や戦争につながると思うので。