名探偵コナン『緋色の不在証明』と『緋色の弾丸』
名探偵コナンとシャーロック・ホームズ
「シャーロック・ホームズの弟子」と名乗った、幼少期の工藤新一からも分かる通り、『名探偵コナン』には、しばしばシャーロック・ホームズが引き合いに出される。
例えば、コナンの住む「米花町」は、ロンドンの「ベーカー街」、高校がある「杯戸町」はハイドパークに由来している。
ベーカー街221Bは、シャーロック・ホームズの住んでいた下宿の住所
ハイドパークは、ロンドンに8ある王立公園のひとつ。
1851年、世界初のロンドン万博の会場となった。
とくに『緋色の不在証明』と『緋色の弾丸』に入る「緋色」というのは、ホームズシリーズの原点『緋色の研究』にも使われた語である。
(コナンの映画タイトルにもそれぞれ、
The Scarlet Alibi 、The Scarlet Bullet となっている)
発表当時の『緋色の研究』
本作はホームズシリーズの第一作目で、難事件を解決した慧眼と、手柄への欲を持たないホームズの活躍を、ワトソン自身の手で世間に知らしめようと決心するのである。
緋色とは赤色のことで、まさに赤井ファミリーを描く題名として、これ以上のものはないと言うネーミングタイトルである。
複雑な一家・赤井ファミリー
『緋色の不在証明』では、赤井家の謎が明らかにされていく。
この赤井家、大変興味深い一家で、子どもたちの名前がみんな違う。
①赤井秀一、赤井秀吉、赤井真純
当たり前だが、もともとみんな赤井という名字。
真純は出生後のわずかな期間だけだった。
②赤井秀一、世良秀吉、世良真純
秀一はそのまま「赤井」だが、ある時、母のメアリーは黒の組織から逃れるため、名字を「世良」に変える。
(メアリーは、赤井・メアリー・世良と名乗っていた)
③赤井秀一、羽田秀吉、世良真純
秀吉は高校卒業後に羽田家の養子となり、名字を変える。
…という、とても複雑な経緯がある。
しかも、灰原哀(宮野志保)は彼ら(秀一・秀吉・真純)と「いとこ」。
秀一と灰原の姉・明美は、元恋人。
MI6やFBIに所属する赤井家にたいして、黒の組織に所属する宮野家。
近いのか、遠いのか、わからない関係性が、大変興味を惹く。
来葉峠での真実が明らかになるこの総編集。
来葉峠を訪れたFBI捜査官の車のエアーが抜けるという不安定な走行の中で、迫りくる追手の車4台を蹴散らすのだが、緊迫した状況下における高等技術のオンパレードで、スリル満点、名場面と言っていいだろう。
赤井秀一の謎が明かされる来葉峠の「来葉」が、「来世」を意味する言葉であるということも、色々考えさせられる。
コナンと赤井ファミリーの活躍
『緋色の弾丸』は、FBIが関わった15年前の事件との関連を追う秀一と、英国の要人を守ろうとするMI6のメアリーと娘・真純、そして、いつものごとく事件現場に居合わせるコナンが連続拉致事件に挑むストーリー。
鍵となるのは、「WSG ワールド・スポーツ・ゲームス東京」で、開催に際して最高時速1000キロの「真空超電導リニア」の開発が発表される。
要は、オリンピックと新幹線やリニアに湧く東京、日本といった感じ。
WSGのパーティ会場で拉致事件が起き、15年前のボストンで起きた同様の「WSG連続拉致事件」を調べていくと、様々な共通点が浮上してくる。
こちらの名場面は、逃走する犯人をリモートの指示で追い詰めるところ。
あまりにも先の読めない指示に困惑し、しかし指示の的確さで次第に犯人を追い詰めていくのに驚くは、あの車の運転手だけではない。
2022年はGWに劇場公開とのこと。
今から楽しみである。