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はらはら!どきどき!のラフ3ナイト

こんにちはお元気ですか?Zdravo! Kako si?
ボスニア・ヘルツェゴビナ(BiH)の首都サラエボ市からお届けしています。
昨夜、当地のオーケストラ"サラエボ・フィルハーモニア"の演奏会へ行ってきました。
For more information about the Sarajevo National Theatre, please refer to my previous article.


演奏会の目的

1.ラフマニノフ生誕150周年


世界中でメモリアルコンサートが行われています。当地でもラフマニノフ生誕150周年演奏会をするという目的。

いつもお願いしたいところですが
フライヤーは英語表記も載せて頂けると
外国人にもありがたいのですが

2.STEINWAY & SONS

この度国立劇場がピアノを購入したのでお披露目を兼ねたコンサートでもあります。そういえば先日反田恭平さんのラジオでピアノは新品の若い音よりも5~7年経っていて且つ良いピアニストが沢山弾いてくれているピアノが好みである旨を聴いたばかりなので「ウチのはどうだろう」とちょと心配になりました(サラエボにまさかの里心が芽生え始めた?)この新調されたピアノは現在BiHで持っている最高級のピアノです。サラエボ政府と文化省、および連邦の文化スポーツ省の支援を受けて調達されました。従ってサラエボ市民のみならずBiHにとって大きな意味深い所有物です。

D-274
ピカピカなので新品かと思います
以前のピアノは本当に古くて
塗装も剝がれていました

3.サラエボフィル100周年記念


サラエボフィルハーモニー管弦楽団はサラエボ市に本拠を置くプロのオーケストラで1923年に設立され今年で100周年を迎えます。今年中は100周年記念を前面に出す演奏会となりそうです。管弦楽団はクラシック音楽や現代音楽、映画音楽などの演奏を行っており、地元の音楽家や指揮者だけでなく国際的に活躍する音楽家や指揮者を招聘しています。

はらはら!どきどき!の2時間

「たった1500円でラフ3を生のオーケストラで聞けるのか!」と毎度のように驚いてチケットを買いに行きました。国立劇場で2000円以上のチケットは見たことがありません。一番高いシートは1800円位ですがスポンサーなど招待客用なのでしょうか購入はできません。

前から5列目

1.難解すぎて拍手がビミョー

オープニングに演奏された曲は地元サラエボの作曲家アリシェル・シヤリッチ(Sijarić)"Moving Landscape Glitched"が演奏されました。この現代作品が交響楽団とビデオインスタレーションで構成されているのですが難解すぎてスコアーがあったら見てみたいものでした。一言で言えば聴衆が求めるカタルシスが無いのです。楽団の後ろのスクリーンに映し出されるボスニアの雄大な風景がバグって映し出されていてまさに"Glitched"しかもこのワードを知らなかったら「何のこっちゃ」の曲です。Glitchedは何らかのエラーでシステムが正常に機能しなくなり画面に乱れや歪みが現れたりする状態です。最近コンピューター用語のみならず芸術やデザインの分野でも「Glitched Art」という用語が使われてあえてエラーや不具合を取り入れたアート作品を表現することがありますが、そこまでの受け入れ覚悟ができていない聴衆の反応が「ぱち、ぱち、ぱち」とビミョー。五月雨式にぽちぽち「イイネ👍」するみたいな拍手に指揮者も少しずっこけているのが何ともおかしかったです。

2.若い大物指揮者

今回の指揮者サラエヴァン氏(SLAVEN KULENOVIĆ)は今年からサラエボフィルの常任指揮者になったスロヴェニアのリュブリナオペラ・バレエの芸術監督等をするなど若くして成功を収めている人物です。「この人おもろいな」と笑ってしまったのは先述の五月雨拍手に指揮者自身がうっすら苦笑している姿と、このあと始まるラフマニノフのピアノ協奏曲においてなんと客席の皆さんが1楽章ごと拍手をしちゃう!!ので指揮台からクルッと後ろを向いてチラッとにらむ姿が何ともチャーミング。そうなのですサラエボ市民の音楽ファンはまだまだ伸びしろ十分です!ラフマニノフ大好き日本人は大勢いますがクラシック音楽の浸透はサラエボにおいて「これから」です。ちなみに2楽章と3楽章は間髪入れずに、拍手されちゃう前に!彼は指揮し始めてました。もともと2楽章と3楽章の切れ間は分かりにくいラフ3ですが指揮者によっては短いポーズをとる演奏も聞いた事があります。しかしこれ幸い。こんなはらはら!どきどき!コンサートは初めてです。

3.親子ピアニスト


ピアニストは親子共演でした。ガーシュインのラプソディー・インブルー(Rhapsody in Blue)をお父様のルーベン氏(RUBEN DALIBALTAYAN)ラフ3を息子さんのアルセン氏(ARSEN DALIBALTAYAN)が演奏しました。
私は、まったく予備知識が無いまま行ったので2曲目のお父様演奏を聴き終えたときに「彼にラフ3は大変だろう」とにわかに心配になりました。息子さんが登場するとはつゆ知らず・・・

Carski Emporia Blatina Premium
Dry Red Wine 2016
BiHのワインです
2曲目が終わり20分間のフリータイム

4.ゆえに取り囲まれる

もう慣れ切っていますが日本人(アジア人)はものすごいレアキャラですから度々現地の人との写真撮影タイムが始まります「一緒に写真をいいですか?」とか突然目の前で合掌されたり劇場のカメラマンも私がカメラ目線で微笑むまでカメラを向けているし・・・会場は満席でしたが見た目アジア人は私だけです。ものすごい一方的に英語で喋り捲られもします。「もしあなたが日本で透明人間のような扱いをされていたら」BiHに来ることをお勧めします。日本人は90日間はビザなしで滞在できると思います。一人でコンサートに来ても囲まれるのである意味孤立しません

5.そしてラフ3

次に現れたピアノは息子さんのアルセン氏でした。若い姿にホッとしました。やはりラフ3は非常に体力を使う大仕事ですから。2003年生まれザグレブ育ちの彼からは全く疲れを感じさせない演奏でエネルギッシュでした。地元ザグレブで同じラフ3を弾いている去年の動画があります。

ピアノ協奏曲第3番の最終楽章はラフマニノフの音楽的才能とピアノ協奏曲の楽式を巧みに融合させた非常に激しい情熱的な曲調です。弾き終えた彼に惜しみない大きな拍手が送られました。私も手が破裂するほどの拍手で称えさせて頂きました。何といってもこの曲を暗譜し最後まで弾く人がサラエボに居るのかな?と興味本位で聞きに行った私がバカでした。なめてました。非常に技術的に難しいピアノ演奏を要求するラフ3はピアニストにとって大きな挑戦となります。多くの聴衆の前で見事に弾き終えたこの若きピアニストに心から感動しました。

サラエボフィル100周年記念演奏会
あと2回あります
もちろんチケットは購入したので
レポさせてください

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