【シン・卯月絢華のシネマ馬鹿】Vol.23 首
見に行った場所 TOHOシネマズ西宮OS
フォーマット IMAX
個人的評価 ☆4.3(Filmarksでの個人的評価)
備考 R15+指定
イントロダクション
『ゴジラ-1.0』『正欲』に次ぐ日本アカデミー3本ノック第3弾。
北野武監督・ビートたけし主演の最新作は誰もが知っている「本能寺の変」を題材とした時代劇。構想30年という超大作である。
織田信長を題材とした時代劇といえば新春に『THE LEGEND & BUTTERFLY』(木村拓哉主演・個人的評価値☆3.5)が封切られたのも記憶に新しいが、本作はビートたけし演じる羽柴秀吉を軸に本能寺の変を描くという異色作となっている。今年のクソ大河『どうする家康』も含めると1年に3回も本能寺が焼かれるという計算になるのでどうかと思うが多分北野武なので期待は裏切らないと思う。
日本アカデミー賞を視野に入れた豪華キャストを起用しており、ビートたけしの他にも織田信長役に加瀬亮、明智光秀役に西島秀俊、黒田官兵衛役に浅野忠信、徳川家康役に小林薫らを起用している。ぶっちゃけこのメンツで大河が見たかった。
あらすじ
乱世において天下統一を狙う織田信長。彼には2人の部下がいた。
1人は後に天下統一を果たす羽柴秀吉。もう1人は信長に対して謀反を起こし、「本能寺の変」という歴史的大事件の中心に関わることになる明智光秀だった。
信長に虐げられる2人だったが、それぞれ天下を狙うべく忍びの者や千利休の信頼を得ながら信長をジワジワと追い詰めていった。
そんな中、信長が京都の本能寺に逗留することになった。そこを狙って謀反を起こした光秀は本能寺を焼き討ちにする。案の定、信長とその部下である蘭丸と弥助は自害。信長自信も何者かに斬首されてしまう。
焼け跡で信長の首を探す光秀だったが、どうしても首が見つからない。果たして、首はどこに行ってしまったのか?
個人的な感想
今年(どうする家康)と来年(光る君へ)のクソ大河が期待できない分2年分の重厚な大河ドラマを見させてもらいました。
R15+だけあって内容はグロテスク。それでもってシナリオは基本的にコミカルである。要するに「ビートたけしのコントをグロテスクにしたモノ」と言えば分かりやすいだろうか。木村祐一の抜け忍が秀逸。
あらすじを読めば分かるが、本作の本能寺の変は「羽柴秀吉説」を採用している。これはあらゆる説が存在する本能寺の変の中でも異色と言える説だが、北野武の脚本も相まってリアリティがある。とはいえ一つの可能性に過ぎないのだが。
一方、合戦シーンは今年のクソ大河よりもよっぽどしっかりしている。IMAXとの相乗効果も抜群である。馬の蹄の音が後ろから迫ってくる様子は正しく「体感する合戦」である。キタノブルーとの相性も抜群。
北野武による「自分で撮って自分で獲る」という日本アカデミーブーメランは今回も炸裂しそうな予感。『正欲』や『ゴジラ-1.0』との三つ巴は確実である。
ネタバレ注意
※ここから先はネタバレを含みます。
信長亡きあと、秀吉は光秀に対して「弔い合戦」と称して戦いを申し込む。これは後に「山崎の戦い」と呼ばれる合戦である。
激戦の末に光秀を討ち取った秀吉だったが、農民上がりの彼にとって首は興味がない。
「――オレは光秀が死んでりゃ首なんかどうでもいいんだ!」
その一言で首を蹴り落とす秀吉。そんな彼が後に天下人になることは、この時はまだ誰も気付いていない。
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