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【シン・卯月絢華のシネマ馬鹿】Vol.7 大名倒産

見に行った場所 109シネマズHAT神戸
フォーマット 2D
個人的評価 ☆3.8(Filmarksでの個人的評価)

イントロダクション

浅田次郎の同名ベストセラー小説を実写化。安心と信頼の松竹×テレビ東京の時代劇となっている。
越後国の小さな藩・丹生山藩の多額の借金を背負わされてしまった若き大名は節制生活を余儀なくされる。もちろん、この借金を返済しなければ切腹。どうする?大名。
まさにオールスターと言わんばかりのキャストを起用しており、主人公で多額の借金を背負わされる大名を演じるのは朝ドラ『らんまん』でもおなじみの神木隆之介。その他にも杉咲花や松山ケンイチ、浅野忠信、佐藤浩市が出演している。

あらすじ

江戸時代後期の越後。丹生山藩で鮭売りを営む青年・小四郎は育ての父である作兵衛から「徳川家康の血を引く大名である」と言われてしまう。
庶民から一躍大名になってしまった小四郎だったが、丹生山藩には多額の借金があった。その額、なんと25万両(=現在の価値にして約100億円)! しかも、この借金を返済しなければ切腹させられてしまう。
小四郎の先代の藩主で現在では隠居生活をしている一狐斎はこの借金を踏み倒して「大名倒産」をしようと目論んでいた。なんとしても自分の切腹を阻止しなければならない。そう考えた小四郎は倹約生活を開始する。まず、上納金を納めるために城の中にあった武具を売却。かろうじて上納金を納めることに成功した小四郎は、あらゆる費用を抑えるべく努力する。最初は家臣も反対していたが、幼馴染であるさよの協力もあって徐々に信頼を得ていく。そんな中、勘定方が帳簿を調べていると使途不明金が判明する。実は、丹生山藩は大坂の両替商・天元屋に対して多額の借金をしていたのだ。
そして、切腹の日が迫る中、小四郎はある決断をすることに……。

個人的な感想

「時代劇」というととっつきにくい印象があって若い人はあまり馴染みが無いかもしれないがそこは『超高速!参勤交代』や『引っ越し大名!』で実績のある松竹×テレ東。ライトな描写になっていて初心者でも見やすい。というか、現代にも通じる「お金」が題材なので若い人にも見てほしい良作。
ナレーションである宮崎あおいも話していたが、小四郎の倹約生活はいわゆる「サスティナブル」そのものであり、度々現代の言葉で解説してくれる。例えば自分のし尿を肥料として売り払ったり、参勤交代の宿代を節約するために野宿をしたりしている。原作(未読)とは若干展開が違うらしいが、当時の貧乏大名の苦労が伺える。
演技面で言えば佐藤浩市と浅野忠信は「流石」の一言。個人的に浅野忠信がベテラン俳優の貫禄を見せているのが嬉しかった。ギャグシーンやシリアスなシーンでその太刀筋を披露しているが、今後も時代劇で武士役を演じて欲しい。というか大河ドラマからオファー来てくれ。

それにしても朝ドラといい映画といい神木隆之介は何かと「倒産」が付き纏っているような気がする。早く報われてほしい。(?)

ネタバレ注意

※ここから先はネタバレを含みます

なぜ丹生山藩がこんな借金を背負ってしまったのかというと、天元屋が幕府に対して「借金の中抜き」、つまり横流しを行っていたのである。
クライマックスで火付盗賊改方が天元屋の裏金を見つけてそれをさよに伝える。そしてあっさりと天元屋の裏金は丹生山藩へと戻っていったのである。それでもあと2000両足りない。残りの2000両はどうしたのかというと、なんと一狐斎のへそくりをこっそり補填したのである。というか、小四郎に対して「悪行を暴けばその金をやる」と言っていたのである意味自業自得である。
しかし、借金を無事返済しても小四郎にさらなる試練が襲いかかってくる。それは江戸幕府の疎水である。果たしてこの先小四郎はどうなってしまうのか? その辺の話も浅田次郎先生に書いてほしいところである。

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