見出し画像

GEネコチャン

それは今年の初夏の頃だった。
わたしは「それ」に出会ってしまったのだ───。




某有名通販サイトにて大人気の製品シリーズがある。

「猫Feel」

その名の通り、猫にそっくりな手触りの製品を展開しており、昨年の秋冬くらいから話題になっている。

シーツ、毛布、ブランケット、という商品ラインナップは世の猫好きを魅了した。

「ネコちゃんのもふもふに包まれながら眠れる、だと…?」

猫好きならば恐らく一度は夢見るであろう、「大きいネコチャンのお腹の上で眠りたい」という野望──。
擬似的であっても、それが叶うかも知れないのだ。
猫は好きだがアレルギーで触れない、飼い猫と一緒に布団で眠るのが夢だったがどうしても猫が来てくれない、といった悩みを持つ者もそうでない者も興味を持ったようだ。
お陰でねこのの耳に入った時には一次生産品の予約は終了していた。

少し残念に思ったのも束の間、ブランケットの二次生産品の予約開始のお知らせが飛び込んできた。お陰でわたしは今年の頭にはフワフワのネコチャンブランケットを入手出来た。
ブランケットは生地の柔らかさと毛並みの滑らかさが本当に猫そっくりだ。…いや、猫にそっくり、というより。

ーこれは、ねこの家の2番目のねこの手触り…!!!

あまりにピンポイントである。叶うならば開発者に「最高です!!!」と直接伝えたい。
最高過ぎて、部下のCちゃんを始めとした職場の猫好きたちに会う度に話題に出し商品紹介のURLを送り付けたくらいである。会員登録すらしていないというのに、まるでニッ○ンの回し者である。

----------


そんな猫Feelブランケットとの出会いから約半年後。
季節は新緑眩い初夏。
たまたま、その情報がわたしの目に飛び込んできた。

「猫吸いの出来るお昼寝枕、だと…!?」

猫Feelから新製品が出るという情報に、わたしは即商品ページに飛んだ。

─一次生産予約、まだしてる…!

しかも、発送予定日がもうすぐそこ。即予約である。
使用感がどうとかは微塵も考えず、会社用と自宅用で色違いで2つ買った。


数日後にお昼寝枕が届いた。

わたしは楽しみすぎて、届くまでの間に同僚や後輩に宣伝したり同シリーズの別商品の感想を検索したりしていた。
同シリーズでいつの間にか発売されていたクッションでは、「ブランケットは柔らかかったけど、クッションは少し固い気がする」といったやや厳しめな意見から「家の猫が! クッションを揉んで一緒に寝ている!! 可愛い!!!」といった意見まで、多岐に渡る感想がSNS等で飛び交っていた。

─うまくいけば、うちの猫たちもお昼寝クッションと寝てくれたりするのだろうか。

想像するだけで可愛い。ずるい。
お陰で、開封時のワクワク感が半端じゃなかった。


開封したお昼寝枕を早速揉んでみる。

─おや?

毛並みの柔らかさはブランケットと変わらないが、確かに思ったよりしっかりした感触だ。
しかし、そのしっかりした感触にとても覚えがあるような気がする。
はて、とお昼寝枕の両側面の穴から両腕を突っ込み、まふっと枕に顔を埋めてみた。
すぅーーーーーっとそのまま息を吸う。
顔に当たる柔らかな毛並みと、程よい弾力。やはり覚えがある。
ふと、わたしは横に転がる末猫のお腹に手を伸ばす。末猫から「キャーーーー!」と非難の声が上がった。が、わたしはそれどころではない。末猫のむっちりしたお腹とお昼寝クッションを交互に揉む。確信を得る為に、ウニャウニャと文句を言うニャンキーに構わずその腹に顔を埋めた。

「…!!」

なんと、猫Feelのお昼寝枕は、誇り高きニャンキーこと、ねこの家の末猫のお腹の感触と瓜二つであった。

─ジェネリック末猫…!

予想だにしない展開に、わたしのテンションは急上昇した。
だって、これで職場での休憩中に末猫 (※ジェネリック) のお腹が吸い放題になるのだ。
あまりに最高過ぎる。


翌日、早速わたしはお昼寝枕を職場に連れて行った。
意気揚々とモフモフの塊を小脇に抱えて出勤したわたしを見て同フロアの同僚たちが「あ! 言ってたやつ!」「届いたんですね!」と口々に声を掛けてくれる。

「これ、末猫のお腹と同じ固さなの!!」
「ジェネリック**ちゃん (※末猫) じゃないですか!!」

Cちゃんに紹介すれば、わたしと同じ発想をしていた。さすが猫好きである。
猫好きな同僚たちが順番にお昼寝枕、もといジェネリック末猫を撫で上げ、そっと指先を沈める。
皆、心なしか口元が緩んでいる。わかりみしかない。
その様子を見ていたらなんとなく家に居る本猫ほんにんが憮然としている気がしたが、致し方ない。
モフモフは最高の癒しだし正義なのだ。



それからずっと、職場のロッカーにジェネリック末猫は鎮座している。
昼休みになれば、デスクで末猫のお腹を吸う擬似体験をする日々。

尚、「末猫のお腹を吸っている」という思い込みのお陰か、このお昼寝枕、非常によく眠れる。
両腕をモフモフに突っ込み、顔を埋めて猫吸いの体勢になれば、その10分後には寝ている。
お昼寝枕の名前は伊達ではない。

自宅用のもう1個もわたしの布団の上に置いてある。
眠る時に両腕を突っ込んで抱えれば、すぐ眠れる。朝までぐっすりである。


猫のような手触りに加え、安眠効果もあり、更に末猫を吸う擬似体験まで出来るというお昼寝枕。
間違いなく、2023年に買ってよかったもののひとつである。




因みに。猫Feelお昼寝枕、これです。
モフモフは正義…!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?