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大人へ絵本memo ~家族を思い出す絵本をみつけよう~
いつかのこと
母と一緒にいとこの舞台を観た帰り道。
開発前の下北沢では
路地の迷路で迷子を楽しむ。
ひょっこり見つけたお花やさんで
可愛いのを買いたくなった私。
2人で仲良くお買い物が当たり前だった頃。
私はパッとした咲き方のダリアやハイビスカスが好き。
母は小さな青い花を見て
「こう言うの好きだわぁ」
と言った。
今でも
花を探す時期になると思う。
あの時に
買って植えれば良かったと。
遊びに来てくれた時に
何度も母を喜ばせることが
出来たであろうチャンスを
逃しました。
あの日の私は自分が植えたい花を探すのに夢中。
母は可憐な青い花を愛でると
「こういう子が丈夫に毎年咲くのよ」と教えてくれたのですが
私はせっせとハイビスカスを抱えて電車に乗りました。
ハイビスカスは関東では地植えすると越冬が難しく
室内に入れるとすぐに虫がつき
翌年まで持ちませんでした。
ハイビスカスの失敗は仕方ないとしよう。
欲しかったんだから。
でもさ
なぜ
母の好きな花も買わなかったのだろうか。
どっちも買えば良かったじゃないか。
居なくなってから
庭に出る度に想う
ここにはない
青い花。
『おじぞうさまとこぶた』
長野 ひろかず (著)
2008年 おはなしチャイルド
お地蔵さまと豚さんがどろんこになって遊ぶお話です。
この絵本は母がいなくなってから見つけたのに、母を思い出す絵本です。
お地蔵さまの
その表情も、お茶目で遊び好きな所も母にそっくりで
泥んこになって遊んでくれるところも同じで
「わー。ママみたい」と思ったのです。
母から絵本を読んでもらった記憶はありません。
母は私に何かを伝えるでもなく、ひたすら私の話を聞いてくれる人でした。深いことを考えない楽観主義だと言えばそうなのかもしれませんが
友達も作らないで家族だけを熱心に想う人でした。
私が毎日学校に行っているだけで大きな声で労い、小説を書くと言えば手をたたいて喜んだり、何を報告しても歓迎してくれる母でした。
母の誕生日は4月8日
お釈迦様の産まれた日と言われています。
けれど戸籍上は3月30日になっているとか。
当時、祖母が母を1年早く就学させたくて
出生届けに早い日付を記載したそう。
「私は本当は、お釈迦様と同じ生まれなの」
なによりも戸籍が勝ると思っていたのか、母はよくそう言っていました。
もちろん家族でおめでとうを言うのは4月8日にしていたのに。
紙っぺらに書いた情報など
真実には1つも敵わないですよ。
ついでに母は父との婚姻をしないで生涯を終えました。
楽観主義の母でも、父に籍を入れて欲しいと
お願いしたい時もあったようだけれど
今の時代を見れば
どうでもいい顔をして過ごしていた日々は
間違いではなかったと思うでしょう。
私はまっすぐに成長しましたし。
紙っぺらに書く情報など
真実には1つも敵わない。