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東の空に沈む
極悪非道の皇子を殺すはずが、何故か彼は死にたがっていて…?
苦しみを抱える皇子と復讐相手をただ憎むことができなくなった二人の復讐者。3人の若者が紡ぐ友情×青春の地獄ファンタジー!
現在のところ3巻のリンクしかないけど、たぶんそのうち1巻2巻も復活するはず。
全3巻で完結済み。安心して読める! というか読むなら今。
ちなみにtwitterで連載のかたちを取っているのでtwitterでも読めるのだけど、わたしはまとめ読みをしたいから、我慢していた。
『東の空に沈む』序章(1/2)
— せん@通販中 (@uitemasen) June 1, 2019
新作です! Twitterで週1くらいのペースで連載していこうと思います!
復讐と約束が繋ぐ三人の友情(?)と青春のお話です。例によって地味目なお話ですが読んでもらえると嬉しいです! pic.twitter.com/QgypeO3UbG
たぶんここから通しで読めるはず。
この話を、わたしは破壊と再生の話および、「何者」でもなかった彼らが再び「何者」でもなくなる話だと思っている。
自分が「何者」なのかカテゴライズしないと不安なのは分かるし、わたしも「何者」かでないといけないという気持ちはある。
でも、その「何者」というカテゴライズは自分ではできない。他者が名を与えて初めて自分が「何者」であるかを知る。
極悪非道の皇子「トゥファン」。「トゥファン」に生き残った同族を騙し討ちされた「ユギ」。「トゥファン」の命で一族を皆殺しにされた「チナ」。
トゥファンに強い憎しみを持つ彼らは、それぞれの思惑からトゥファンの持ちかけた契約を飲む。
しかし、トゥファンと過ごすうちに、ユギはトゥファンのことが分からなくなり、チナはトゥファンの秘密に触れて……。
なかなかネタバレしないように魅力を大声で喋るのが難しい話なのだけど、やっぱり彼らが「何者」であったのかという話に収束していく。
作中で描かれる登場人物たちの葛藤が、いい意味で要領を得ないのだ。
なんでだろう、分かんない、憎い、でもそれだけじゃない、どうして。
すごく人間らしくて、生々しい感情を素朴な表情がやわらかく伝えてくれる。
エンディング、そしてペーパーの追補を読んでも、わたしは「ああ、よかったなあ」と手放しでは喜べない。
たとえ死が訪れたとしてもそこにあった憎しみや罪は消えないし、たとえ生かされたとしても悩んだ事実は消せない。
でもだからこそ、泥臭くしがみついてほしい。
あ~~~~ネタバレを配慮しながら感想言うの難しい! 今のネタバレか!?
とにかく、わたしはどんなラストだったとしても手放しで納得はしなかったと思うし、だからこそ、そこにこそ、この作品の真髄があると思う。
人の選択に「正解」はない。だから、選択や自己との見つめあいを題材にしたこのお話に、「正解」のエンディングはない。と思ってる。
この物語で各々が選択した行動はすべて正しくも誤りでもなくて、ただそうなってしまっただけだ。
そうした数々の選択の末のエンディングの最後2ページは、強く印象に残った。
正解でも間違いでもないこの選択をした人々を、すごく尊重したい気持ちになる。
ちなみに読んで「ああ……おお……」ってなったら作者を割ってください。
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