【採用広報のはじめ方~実践ポイント】3年間の実績をもとにしたTips・事例
CASTER BIZ recruitingで採用広報サービスを立ち上げた稲留 侑希に、採用広報の活用ポイントについて話を聞きました。
※この内容はボイスメディアVoicy 『採用とキャリアと私とボイシー』で2021年6月23日に公開した内容をもとに執筆しています。
CASTER BIZ recruiting 森数(以下、森数):
本日はゲストに、CASTER BIZ recruitingのテラッシーこと稲留 侑希さんをお呼びしました。まずは自己紹介をお願いします。
CASTER BIZ recruiting 稲留(以下、テラッシー):
CASTER BIZ recruitingで副事業部長を務める稲留です。2017年にジョインし、現在はCSとして複数社の採用に関りながら、求人原稿や採用広報チームをみています。
森数:
テラッシーはCASTER BIZ recruitingの採用広報サービスを立ち上げた人物なので、採用広報の活用ポイントや事例について、いろいろと伺いたいと思います!
テラッシー:
よろしくお願いします!
採用広報をはじめるのに適したタイミング、必要性とは?
森数:
採用広報という言葉は、ここ数年で出てきたワードです。しかし、最近は下火になったように感じています。ただ、キーワードとして目立たなくなったとしても「やったほうがいいこと」から採用広報は外れないと思っています。
ブームのうちは頑張ろうとしていても、採用広報の成果が分かりづらかったりリソース的に苦しかったりすると続けられなくなりますよね。採用広報は、どんなタイミングではじめるといいのでしょう?
テラッシー:
採用広報をはじめるタイミングは、主に二つです。
一つは、採用活動を加速させたいとき。もう一つは、採用活動をスタートする前です。多いのは前者ですが、なかには本格的に採用活動をはじめる前から、戦略的に採用広報に取り組んでいる企業さんもあります。
森数:
たしかに、「採用活動を活発化したいから採用広報にも力をいれる」というのはイメージがつきやすいですね。後者の「採用活動を本格化させる前準備」としての採用広報とは、具体的にどのような感じでしょうか?
テラッシー:
共通しているのは、自社がまだまだ世間に知られていないと自覚されている点ですね。そうした企業さんは、求人媒体からスカウトメールを送っても返信が来ないんじゃないか、求人を出しても応募が集まらないんじゃないかという不安を抱えています。
ですのでCASTER BIZ recruitingでは、まずは採用広報で情報発信を行い、採用活動と連動していく計画で一緒に取り組ませていただいています。
森数:
なるほど。いきなり求人で「こんな会社だよ」と伝えるのではなく、前もって情報を発信して、候補者に「見たことある」と思ってもらう状態を作るんですね。
テラッシー:
その通りです。スカウトを受け取ったり求人を見たりした人が、気になって検索した際に知りたい情報がきちんとネットにあるというのが大事なんです。
加えて、ただ求人を掲載するだけでは、企業が求めている人からの応募(有効応募)は来ないと日々感じています。大手媒体ではそれこそ何万件もの求人が掲載されていますので、求人原稿だけでは伝えきれないプラスαの情報を開示する必要があります。
森数:
媒体の求人では、掲載できる情報の種類は限られますからね。
テラッシー:
そうですね。候補者の立場からすると、求人を見て同じ業界のA社とB社の違いを見分けるのはなかなか難しいんですよね。
そして「人は分からない物を買わない」のと同じで、仕事内容や事業概要がよく分からない求人には応募しません。候補者が興味を持って調べた先に、きちんと「自分に合っているか判断できる材料」が必要です。
森数:
意思決定の材料となる情報が、求人とは別にあるのが大切なのですね。
採用広報に取り組む4つのステップ
森数:
採用広報が大事だということは分かったのですが、実際にやるとなると手間がかかりますよね。なにを発信するかも決めなくてはいけませんし。具体的に、どのようなステップではじめたらいいのでしょうか?
テラッシー:
大きく分けて4つのステップがあります。
まず最初が、目標設定です。やるからには目標を……と考えるのは自然な流れです。ただ、はじめは無理にフォロワー数やPV数といった「数」にこだわらず、「続けること」を目標にするのも一つの方法です。
採用広報は中長期的な施策です。効果が出るまで時間がかかることを念頭におき、最初は継続を意識するほうが結果としてうまくいくと感じています。具体的には、月の公開本数を目標にしたり、作成記事の活用法をあらかじめ決めておき徹底するなどです。
森数:
なるほど。
テラッシー:
次は、体制づくりです。社内に知見のある方がいるのか、手を動かすリソースはあるのかなどがポイントになると思います。
森数:
採用広報の取り組みには、どれくらいの時間を想定したらいいのでしょう?
テラッシー:
1記事作成の目安としてお話しすると、インタビュー準備に1時間、インタビュー自体に1時間、そこからライティング・校正の部分で5~10時間は必要です。
これらを考慮して社内でできるのか、もし難しい場合は私たちのような外部パートナーを選択肢に入れて体制を構築されるのがよいと思います。
3つ目のステップは実際の制作部分である、企画・インタビュー・ライティング・公開です。
1本ずつ企画を立ててインタビューをして……という進行もありますが、それだと企画がつまづいた途端継続するのがとても苦しくなります。なので1~2か月のある程度まとまったサイクルで企画を練り実施する方法をお勧めしています。
CASTER BIZ recruitingでは、2か月分の企画を立て1か月半ほど制作に集中し、企画がなくなる前に企画MTGをする、というサイクルで進めています。スケジュールも組みやすく、運用の負荷も軽減できます。
森数:
方向性がぶれないためにも、まとまって考えるほうがいいですね。CASTER BIZ recruitingで採用広報の取り組みにはじめて参加した際「こんなに先のことまで決めるのか」と驚きました。
テラッシー:
もし旬な企画を差し込みたいときも、事前にスケジュールを決めていると前後の調整に慌てずすみますからね。
最後は、効果測定です。多くの場合、Web記事は公開後1週間以内が一番読まれます。そのため「公開1週間後のPV数」を定点観測すると、記事毎の効果を把握しやすくなります。
企画の考え方、具体的な活用法
森数:
企画を練るときは、どんな風に内容を決めればいいのでしょう?
テラッシー:
オーソドックスな内容でいえば、「転職エピソード」「働き方」「業務の特徴」「仕事のやりがい」「風土や制度」「経営陣のメッセージ」などは、採用広報に活用しやすいトピックです。
森数:
入社してみないと分からない部分も、記事にすれば候補者も具体的なイメージを描きやすいですよね。ギャップがなくなりそうです。
テラッシー:
CASTER BIZ recruitingでご支援する場合にはまず、企業さんの現在の課題感や実現したいことをヒアリングし、採用広報の方針を決めます。そして、方針を達成するためにはどんな内容の記事があるといいか企画を考えていきます。
以前、スタートアップのとある企業さんの採用広報をさせていただいたときは「60代で飛び込んだ新しい業界」というテーマの記事がとても多くの方に読まれました。
働き方に関する情報は、若年層や子育て世代を対象にしたものが一般的には多いですよね。そのため定年に囚われないという、企業のオリジナリティある考え方が注目されたのかなと思います。
森数:
「スタートアップでこんな方が活躍している」と、良い意味でのギャップを与えてくれる記事でしたよね。
採用広報は、採用活動といかに連動させるかも重要だと思います。具体的にはどのような活用法がありますか?
テラッシー:
いくつかご紹介しますね。まずはスカウトメールに記事のURLを添付することで、返信率の向上が見込めます。
それから、人材紹介会社の担当者に記事のURLを共有することも有効です。担当者の理解が進み、紹介人数の増加につながります。
あとはTwitterなどのSNSで記事を拡散すること。SNS経由の応募獲得のほか、企業に興味を持ってフォローしてくださる方が増えるなど、潜在層に対する認知の獲得が期待できます。
また面接日程をご案内する際、一緒に面接官の記事URLをお送りする方法もあります。そうすると面接辞退率が低下したり、話が盛り上がりカジュアル面談などの限られた時間が有意義になったという事例もあります。
森数:
たしかに、名前だけでなく面接官の人なりを知っているほうが、面接に進みたくなりますよね。そうした細かいポイントはぜひ活用してほしいですね。
自己応募数270%増など具体事例をご紹介
森数:
CASTER BIZ recruitingで実際にご支援した企業さんについて教えてください。採用広報に取り組んだあと、どんな変化が生まれていますか?
テラッシー:
はい、まずは2年継続してご支援している企業さんをご紹介しますね。トータルで150本を超える記事を作成しています。採用人数を倍にするタイミングで採用活動を加速させたいと、採用広報のご依頼をいただきました。
1年取り組んだ時点で、成果が目に見えて出てきました。まず、自己応募の数が前年と比較して270%増になりました。
森数:
それはすごいですね!
テラッシー:
そうですね。対してダイレクトリクルーティングの場合だと、媒体のデータベースは半年ほどで枯渇していきます。返信率は同じでも母数が減るので、スカウト経由で組める面談数は徐々に少なくなるのが一般的です。
この企業さんも同様の状態だったのですが、自己応募は活発だったためすごく助かったとおっしゃっていました。
森数:
短期的に有効なスカウトメールと、中長期で効果を発揮する採用広報を上手に組み合わせたのですね。
テラッシー:
そうですね。中長期の採用活動や採用のアクセルを踏みこむフェーズの企業さんでは、採用広報がより重要だと実感しました。
面接で「noteを読んで〇〇さんに会いたくて応募しました」「この記事よかったです」という嬉しい声も届いていますね。
森数:
それは嬉しいですね。
テラッシー:
人材紹介会社経由の応募でも、記事から伝わる会社の雰囲気が応募につながったり、情報発信への積極的な姿勢から「先進的な企業」だと認知され応募に至ったというケースもあります。
森数:
すごく読まれる記事があっても、更新頻度が低いと人の目に触れる機会が減ってしまう。そういう意味では、発信を続けるのが大事ですよね。
テラッシー:
そうですね。記事の鮮度という意味でも大切です。たとえ「いいな」と思う記事を目にしても、公開日時が半年以上前だと「いまもそうなのかな?」と候補者は疑問を抱いてしまいます。
また、採用広報は自社のカルチャーを伝える効果も高いと感じています。
別の事例をご紹介しますね。カルチャーフィットを重視されている企業さんで、採用広報と採用活動の両方を約1年ご支援しています。いまでは面接に来る方のほとんどが、noteを読んできてくださるんですよ。
自社のカルチャーをゼロから説明する必要がないため、面接ではより深い会話ができてとても有意義な時間になっていると言われています。
森数:
求人だと載せられる情報が限られるので、より会社の魅力を伝える情報があるのはいいですよね。
テラッシー:
スカウトメールの返信率・自己応募数・面談通過率と、数値面でも向上しています。カルチャーフィットする方からの応募が増えたことが、面接通過率のアップにつながったのだと思います。
森数:
採用広報と採用活動でフィードバックサイクルをうまく回せたというのもありますよね。
テラッシー:
その通りです。採用活動を支援しているCASTER BIZ recruitingのリクルーターが、採用広報で出たnoteを読み、そこで得た企業の魅力をスカウトメールの文面や候補者にお送りするメッセージに反映しました。採用広報と採用活動、両方をご依頼いただいたからこそのメリットですね。
採用広報は究極のファン作り
森数:
採用を行わないタイミングであっても、自社の情報発信は大事だと感じるのですが、その点はどう思いますか?
テラッシー:
たしかに採用広報は、一度止めてしまうと再開して効果を実感できるまでとても時間がかかります。自社に「ゆるやかな好意」を持つ人たちを増やすという点でも、採用活動の有無に限らず続けることには意味があると思います。
森数:
媒体をまた立ち上げて……となると、成果が出るまで数か月かかりますからね。
テラッシー:
昨年CASTER BIZ recruitingでも、採用活動を一時ストップさせたことがあるんですよ。ほんの少し止めただけなのですが、再開して加速するのがとても大変で。そこは反省点として、クライアントさんにもアドバイスしています。
森数:
情報発信を続けることで「この会社知ってる」「noteで読んだことある」とゆるやかな好意をもってくれる人を増やしていき、タイミングが会ったときに一緒に働ける状態を作っておくのが大事ですね。
テラッシー:
究極のファン作りですよね。
森数:
CASTER BIZ recruiting自体の採用は、コーポレートサイトからの応募も多いんです。おそらく、会社名で検索してくださるのだと思います。情報発信を続けていると、こんなに知ってもらえるんだなという効果を実感しますね。
そういう意味で、採用中の企業さんはもちろん、いまは採用をしていないけれど良い方がいたら一緒に働きたいと考えている企業さんにも、採用広報は効果があると思います。
CASTER BIZ recruitingでは、こうした「ファンづくり」や「メッセージの出し方」というお悩みもお手伝いしています。今回お話したような具体的な事例のURLも貼っておきますので、ぜひ興味のある方に見ていただけると嬉しいです。(→CASTER BIZ recruiting採用広報プラン)
テラッシー:
よろしくお願いします!
森数:
ちなみに、採用広報は自社内で働く人にとっても良い影響がありますよね。
テラッシー:
そうですね。社内広報にもなると思います。記事でインタビューした社員の方が「母親が読んでメッセージをくれました」と教えてくださったこともあるんですよ。
森数:
会社が発信するメッセージは、いま働いている人へのメッセージでもありますからね。社員が会社のカルチャーや制度への理解を深めるとか、ご家族が記事を見て仕事について知るとか、社内向けの効果もありますよね。
働く人すべてに対して伝える手段でもあると思うので、そうした観点からもお手伝いできると嬉しいです。
本日は、採用広報について当社の副事業部長・稲留から話を伺いました。ありがとうございました。
テラッシー:
ありがとうございました。
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