【フルリモート×人事】KDDIウェブコミュニケーションズのオンライン面接のコツや雑談を促す施策
沖縄で生活しながら株式会社KDDIウェブコミュニケーションズの人事として働く稲住 大輔さんに、フルリモート×フルフレックスという自由度の高い働き方について話を伺いました。
※この記事は、CASTER BIZ recruitingを運営する株式会社キャスターの執行役員森数が、ボイスメディアVoicy 『採用とキャリアと私とボイシー』で対談した放送をもとに執筆しています。
KDDIウェブコミュニケーションズ×CASTER BIZ recruiting対談
CASTER BIZ recruiting 森数(以下、森数):
本日は「フルリモートワーク×フルフレックス」人事として働く、KDDIウェブコミュニケーションズの稲住 大輔さんをゲストにお招きしました。まずは自己紹介をお願いします。
KDDIウェブコミュニケーションズ 稲住さん(以下、稲住):
KDDIウェブコミュニケーションズで人事企画を担当する稲住といいます。2020年に入社しました。その前は、楽天グループの金融事業の会社で人事をしていました。
大学卒業後に新卒で損害保険会社に入社、10年勤務したのちにキャリアコンサルタントの資格取得をきっかけに人事に転身したというキャリアです。地元が沖縄ということで、東京から沖縄へUターンし、リモートワークかつフルフレックスで働いています。
三兄弟の父親でもあるので、子育て奮闘中です。今日はどうぞよろしくお願いします。
入社初日からフルリモート人事。とにかく社内で顔を売る
森数:
転職されてから今のフルリモートワークという働き方になったのですね。オフィス勤務と比べて、戸惑うことはありましたか?
稲住:
入社初日から画面越しの関係というのが斬新でしたね。
前日に会社からパソコンが届き、セッティングしたあと、Zoom越しの「はじめまして」でスタート。出社といえば「家を出る」だったのが「パソコンの電源をONにする」に変わりました。メンバーとの対面も上半身が見えるだけ。これでいいのかなと少しそわそわしました。
森数:
人事業務は、メンバーとの関わりが欠かせません。リモートで離れて仕事をするなかで、関係構築や仕事の仕方でどんな点を意識していましたか?
稲住:
はじめに意識していたのは、とにかく顔を売ることですね。
おっしゃる通り、人事は各部署と関わり横串を通すような役割が必要です。当社の社員は200名ほど。リモートワークだと全体像をすぐにつかむのは難しい。なので可能な限り「場」を体験できるよう、ミーティングに同席させてもらうといったお願いをしていました。
出社するメンバーがメインの組織の場合、リモートワーク組とリアル出社組で情報格差が生まれる可能性が多くなりますが、当社の現在の出社率は5%ほどです。オンラインの働き方がメインの組織のため、私のような働き方でもうまく機能するのだと感じています。
森数:
ちなみにその5%に該当する方々は、業務上出社する必要がある方たちですか? それとも、好んで出社を選んでいるのでしょうか?
稲住:
基本的には前者ですね。私は沖縄住まいということで免除されていますが、人事総務など管理部門では出社が必要となる業務があります。契約書の電子化も取り入れていますが、役所宛の書面や郵便物は現物確認をしなければならない。なので当番制で出社する体制をとっています。
森数:
メンバーとのリアル対面はまったくないのでしょうか?
稲住:
昨年10月に「出社しませんかデー」があり、その際に1泊2日で東京出張し、6割ほどの社員の方と一気にお会いしました。リモートワークで日頃から話しているため、リアルで会うのは初めてでしたが、「はじめまして感」はなかったですね。
森数:
日頃から接していることで信頼関係や親近感が生まれますよね。
KDDIウェブコミュニケーションズさんは、リモートワークかつフルフレックスで勤務時間も自由度が高いので、自律的な働き方が求められると思います。生産性を高めるために気を付けていることを教えてください。
稲住:
勤務時間は、主に子どもの生活時間に合わせて設定しています。一緒に起きて、子どもが登校するタイミングで自分の仕事もスタートするといった感じです。
森数:
オンオフの気持ちの切り替えはどうされていますか? 出社する場合は通勤時間で仕事モードに入れますが、フルリモートだと意識的にスイッチする必要がありますよね。
稲住:
たしかに、私はどちらかというと仕事好き人間なので、どんどんやってしまいがちです。在宅で働く時間も自ら決められるとなると、制限なくやり続けてしまうんですよね。ただ、夕方になると帰宅した子どもたちが部屋に入ってくるので、それをきっかけとして区切りをつけています。
森数:
なるほど。以前、働いていた会社で、会社のロゴ入りTシャツを「ユニフォーム」にしている人がいました。勤務時間はそれを着て、終わって着替えることで家族にいつが仕事中なのかを見てわかるようにしていたといいます。
私は自宅の近くに仕事場を借り、場所を切り替えることでオンオフをスイッチしています。自分なりのスイッチを見つけるのがフルリモートかつフルフレックスで働くポイントになりますね。
面接もフルリモート。オンラインで削ぎ落される情報を意識する
森数:
フルリモートで仕事するとなると、採用面接もフルリモートですよね。これまでとの違いは感じますか?
稲住:
オンライン面接になり、評価をする難易度が上がったと感じています。
いままでは直接候補者の方にお会いし、印象や雰囲気など会話以外の部分も判断材料にしていました。オンラインの面接ですと、限られた時間のなかで接点を持ち、互いの目線を合わせていかなければなりません。情報を得ようと意識を集中させるので、エネルギーの消費量が多いですね。
森数:
たしかにそこは対面との違いですよね。エレベーターまで候補者の方をお見送りするときの会話がなかったり、候補者の方も受付で待っているときに感じ取るオフィスの雰囲気が分からなかったり。削ぎ落ちてしまう情報があるなと思います。
リアルで会えば無意識的にキャッチできる情報をお互いが受け取れないという部分は、企業としても意識しておきたいポイントですね。
稲住:
そうですね。オフィスの受付で挨拶をし会議室に案内してもらうといった一連のプロセスが、オンライン面接ではありません。Zoomに接続してすぐにスタートしてしまう。
オンライン慣れしていない方が、緊張して本領を発揮しきれないケースもあります。できる限りアイスブレイクをいれながら面接しています。
森数:
オンライン面接の難しさがある一方で、採用範囲が全国に広がるというメリットがフルリモートの働き方にはありますよね。
キャスターでも「リモートワークを当たり前に」という想いで、全社員フルリモートワークで働いています。こうした組織が生まれたきっかけの一つが「優秀な人なのに、住んでいるエリアで賃金格差が生まれるのは何故だろう」という疑問なんですよ。
稲住:
なるほど。当社でも、居住地域を理由に条件を変えることはしていません。その点で候補者が入社先を検討するとき、他社と勝負できる範囲も広がったと感じています。採用において候補者の「居住地域」の重要度は、今後下げてもいいポイントですね。
森数:
住んでいる場所など、候補者の方の今の状況を考慮した上で、もし一緒に働くことになった場合にどんな事業領域で力を発揮してもらえるかを考えていきたいですね。
リモートワークでは「管理はできない」を前提に
森数:
昨年からリモートワークが広がっている一方、最近では企業側は出社を復活させたいというような傾向が出てきています。
こうした背景には、リモートワークだと勤怠管理や組織運営が難しくなるといった考えがあると思うのですが、その点、稲住さんはどう思われますか?
稲住:
リモートワークでは「管理はできない」をベースにしています。
当社の所定労働時間は1日7.5時間ですが、その間ずっと気を抜かずに集中して仕事をするのは無理です。やることはしっかりやりつつ、フルフレックスですので、家で仕事の合間にテレビを観たり休憩したりするのもOK。中抜けの時間帯も個人の裁量で決められます。
管理をこちらがしなくても、きちんとアウトプットを出してくれるだろうという、従業員を信じた上で性善説に振り切っているんです。
だからこそ、課題はありつつもフルリモートワーク×フルフレックスの働き方でうまく進んでいるのだと感じています。
森数:
そうですよね。監視すれば結果が出て、個人やチームが強くなるわけではない。働く時間ではなくコミットするべきものを明らかにして、そこにたどり着く道筋を個人に任せるほうが、うまく能力を発揮してもらえるのかなと思います。
もうひとつリモートワークの気になる点で、入社後のオンボーディングプログラムがあると思います。KDDIウェブコミュニケーションズさんでは、新卒中途社員の入社後の教育研修はどのようにされていますか?
稲住:
新卒も中途も、オンラインでの「はじめまして」がスタートです。とりわけ新卒入社の方は、社会人生活の第一歩がオンライン。その点は、今までの私たちとは違うので一番難しいところだと思っています。
なので、オンラインでできる限りのことをやっています。Zoomを上手く使い、気になる点はすぐ聞けるような環境を提供したり、メンターのような方と一緒に伴走できるようにしたり。あの手この手で試行錯誤していますね。
森数:
コミュニケーション頻度を高めて、アウトプットしやすい環境を保つのは大切ですよね。
もう一つ、リモートワークでは雑談が生まれにくくなる問題があります。会話を生み出すために、何か工夫されていることはありますか?
稲住:
たしかに、雑談が極端に減ったという声は社員の間でも上がっています。オフィスにいると自然に会話が生まれますが、在宅のリモートワークではゼロになってしまう。その点は、非常に課題意識を抱いています。
会社でこれまで色々なプロジェクトを立ち上げましたが、その一つが「健康経営プロジェクト」です。整体師の先生をお呼びしてオンラインでマッサージレッスンを開催し、みんなで参加をするなど、参加型のイベントを通してコミュニケーションの場作りを意識しています。
「オンライン社員旅行」というのもやりました。香川県を訪問している一人がカメラを回しながら観光風景を発信するというもの。みんなで共通の体験ができるように、事前にうどんセットを自宅に配送し、うどん打ちレッスンも行いました。
同じものを作り、同じものを食べて、場を共有する。リモートワークの環境下で、できることを模索しています。
森数:
共通の話題があると会話が生まれ、オンラインでの発信もしやすくなりますよね。
たとえばSlackのチャンネルも「雑談」という大きな括りだとハードルが高いけれど、「美容」「映画」のように細かく分けてスモールチームを作ることで、会話がしやすくなるのかなと思います。
CASTER BIZ recruitingでも、Slackの雑談チャンネルに「BTSが好きな人」「甲子園が好きな人」「食べ物」「パパママ」のようにすごく細かく作っていて、盛り上がっていますね。こうした社内メンバーとのオンラインの会話も、監視や管理が前提でないからこそ活性化されるのかなと感じます。
稲住:
雑談がサボりではないというのは、当社にも共通するカルチャーですね。仕事以外の余白をいかに楽しめるかを考えています。組織のトップからして、管理で体制を整えるのではなくもっとゆとりを持ってやろうという姿勢で結果を求めるので、私たち人事としても後押しがしやすいです。
共通の想いを持ちながら離れた場所で働く
森数:
KDDIウェブコミュニケーションズさんは、大手通信事業会社という親会社を持ちながら、先進的な取り組みをしている点に、良い意味でのギャップを感じます。
稲住:
当社は1997年にホスティング 事業を創業後、2007 年にKDDIグループ入りしています。もともとのカルチャーを持ちつつ親子関係を築いているんです。人事制度も含め、親会社のものをそのまま受け入れるのではなく、自分たちに適した形に作り直し展開しています。
森数:
なるほど、良い刺激になりますね。最後に、フルリモートワークという働き方や、御社に興味を持つ方にメッセージをお願いします。
稲住:
当社はホスティング 事業やWebサービス事業などサービスの柱を複数持ち「ITで明日のビジネスにある当たり前をつくる」をビジョンに、中小企業のビジネスを支える便利で分かりやすいサービスを提供しています。
リモートワークがメディアで頻繁に取り上げられる一方で、実際にできるのかな? と疑問を感じている方はいると思います。私たちの会社では、コロナ禍以降に入社された社員が全社員の16%以上を占めてきました。共通の想いを持ちながら、別の場所で働く。そうした働き方が定着してきています。
関東圏にこだわらず、全国各地から一緒に働く仲間を探しています。興味を持った方はぜひ当社の採用サイトからお問合せください。
森数:
稲住さん自身も、転職して初日からフルリモートで入社された方ですので、状況を理解している方が人事なのは心強いですよね。地方にいながら働く場を探している方とつながるといいなと思います。本日はありがとうございました!
稲住:
ありがとうございました。
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