率直に候補者と向き合う。PR TIMESが考える「採用の成功」とは
プレスリリース配信サービスを運営する株式会社PR TIMESさんに、採用での人との向き合い方についてお話を伺いました。
※この記事は、CASTER BIZ recruitingを運営する株式会社キャスターの執行役員森数が、ボイスメディアVoicy 『採用とキャリアと私とボイシー』で対談した放送をもとに執筆しています。
CASTER BIZ recruiting 森数(以下、森数):
今日は株式会社PR TIMESの名越さんにゲストとしてお越しいただいています。簡単に、自己紹介をお願いできますか。
PR TIMES 名越さん(以下、名越):
人事本部長の名越です。PR TIMESは「行動者発の情報が人の心を揺さぶる時代へ」をミッションに、社名と同じプレスリリース配信サービス「PR TIMES」の運営や企業の広報・PR活動支援を行う会社です。私は2011年に入社し、現在は採用を担当しています。
入社当時は利用企業数が3000社ほどで、従業員は10名ほどでした。営業やPRプランナーを経て、あいだに1年の産休・育休を経験し、復帰してから組織や人事の仕事に携わっています。
森数:
いろいろな職種を経験されているんですね。
名越:
そうですね。たとえば営業からスタートして、他の部門に異動するなど、横の異動によって多様な経験を積むメンバーは比較的多いほうだと思います。
森数:
なるほど。今日は、PR TIMESさんの採用についての考え方を色々と伺いたいと思っています。
「採用成功」をどう考える?
森数:
まずお聞きしたいのが「採用成功って何だろう?」という話題です。会社や人によって解釈が分かれますし、正解もない問いなのですが、名越さんはどんな風にお考えですか?
名越:
究極的な話をすれば、採用の成功を語るときに、事業の成功と一致していないといけないと思っています。
私たちの会社でいえば、やはりミッションが目指すゴールです。ミッションの実現にどれだけ採用が寄与しているか。また、人の活躍や成長と、採用がどれだけ結びついているかが大切だと思っているのですが、効果を計る時間軸はすごく長いんですよね。
当然1年で区切れる話でもありませんし、採用の成功を「どの時点で」評価するのかで、考え方がまったく異なる気がします。
森数:
たしかにそうですね。組織と事業は両輪であって、切り離してしまうとひずみが生まれます。なので、採用が事業にどう影響を与えているのか意識した組織づくりをされているのは、すごく素敵です。
名越:
でも、なかなか難しいですね。
すごく手前のところでいうと、入社して、その方が新たな可能性に気づいたとか、もともと持っていた情熱がさらに増したとか、そんな瞬間を目にするとやはり嬉しいです。けれど、そこにはいろいろな要因がありますよね。
一概に採用成功したからというわけではなくて、その人自身の頑張りはもちろん、育成を担当した上司も頑張ったし、成長するタイミングだったのかもしれない。だから「嬉しい瞬間」というだけなんですが。
森数:
採用した「人」にスポットを当てて採用成功は何かを考えることもできますし、「組織」にスポットを当てて組織の完成度が上がったと考えることもできますよね。
短期的な視点では「そもそも、何のために採用するのか?」に立ち返ることでしょうか。採用時に抱いていた「解決するべき課題」がどうなったのかを考えることは、ふり返りに使えますよね。
名越:
その人を採用したとき、解決したいと思っていた課題が何かということですよね。これは森数さんのVoicyから勉強させていただいて、改めて意識するようになりました。
森数:
嬉しい(笑)!
一般的には、採用後の定着や活躍までみて「採用成功」と考えますよね。でもそれは、名越さんのおっしゃるように、とても時間軸が長くなってしまいます。
ですから、そもそもの課題解決につながったのかという点を短期的な振り返りに利用し、長期的には、定着や活躍といった論点でみてみる。その二つを採用要件にフィードバックする。それらを上手く回していけると、強い組織が作れるのではと感じています。
名越:
一つ、私が勝手に意識している数字があるんです。PR TIMESでは半年に1回の社員総会で新人賞の表彰があり、そこにノミネートされる社員を何人出せたかを意識しています。またMVPもやっているんですが、ここにノミネートする社員の中で1番若い年次が何年だったかなども、大事なポイントだと思っています。
わたしたちの表彰は、ミッションの実現や事業への貢献はもちろんですが、バリューの体現など日々良い行動を積み重ねて、社内からもその活躍がみられて、初めてノミネートされます。
そうなると人事の自己評価ではなく、社会に責務を追っているわたしたちの会社としての評価になるので、新人賞がいかに接戦になるかが結構大切かなと思っています。
面接でも、正直に違いを伝える理由
森数:
PR TIMESさんと採用活動をご一緒させていただいて、共に働くことになる「人」への強いこだわりのようなものを感じています。スキルマッチだけではなく、カルチャーや人そのものに真摯に向き合う採用をされていますよね。
採用での候補者との向き合い方についてお聞かせいただけますか。
名越:
私たちは「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」というミッションを掲げています。2016年のマザーズ上場後に作成しました。自分たち自身が、行動者を支援する「行動者」でなければという想いが込められています。
ですから当社に入社する人には、(お客様をはじめとする様々な)行動者に伴走し、行動をおこそうとする人を増やしていく当社の仕事に対して、どれだけ情熱を持って取り組めるのか。マインドや職能、そのほか様々な要素を見ています。
それから、その人が思い切り活躍できる場所はどこかという点が、一番大切だと考えています。
当社が常に最終キャリアではないと思っています。自分のキャリアの大事な選択として一歩踏み込んで入社し、色々な挑戦を経て、この会社で過ごす時間が糧になればと思っています。
転職活動では、候補者の方も様々な検討をされますよね。その一つの選択としてPR TIMESの選考を通じて内面を見つめた結果、いまの職場で思いっきりもう一度チャレンジしようと思えたのなら、それはそれでとてもいいことだと思います。
森数:
人事として、入社して欲しいという気持ちはもちろんありますが、その方にとってベストな選択をしてもらいたいという想いがベースにありますよね。
名越:
候補者のやりたいこと(Will)と、PR TIMESが大事にする価値観が結びついていて、はじめて情熱が高まったり、活躍する可能性が生まれたりするのだと思います。ただぬるく合うのではなく、ストレッチとして心地が良いという状態のマッチングです。
マッチする会社が必ずしも当社でないこともあると思います。ただ、Willと会社の源流との結びつきがなければ、事業に資するような「良い採用」をしていくのは難しいですね。
森数:
そのギャップを埋めるのは、とても難易度が高いですよね。
企業と候補者、双方にとって精度の高い選択をできるよう、意識されていることはありますか?
名越:
難しいですよね。わたしもできていないことばっかりなんですが、何か「違うな」と感じたことがあれば、その違いをはっきりと伝えるのは大事だなと思っています。候補者の方がとても大事にしている点であったとしても、正直に、偽らず、なるべく早い段階で伝えたいなと。
このような相違点も含めて検討し、入社する・しないを決断して欲しいと考えています。採用や転職活動の中では「違う」と言えないシーンも多いと感じるので、率直な対話を心がけていますね。
森数:
企業も候補者も、お互いに良い印象を持ってもらいたいですからね。
名越:
そうなんですよね。それに、バリューやミッションをきちんと理解するのは、組織のなかで働いていても難易度の高いことです。候補者の外からの視点だと、情報の非対称性が至る所にあります。それを埋めるために、企業は情報を開示する努力が求められます。
森数:
ただバリューを伝えるだけではなく、バリューを体現している行動など、候補者が具体的にイメージできる情報提供が必要ですよね。
とくにオンライン選考が主流になってからは、候補者の方にとっては社内の雰囲気など感じにくいものが増えています。
面接を待っている間に声をかけられたとか、出会った社員の雰囲気とか、リアルな選考で実感できていた企業のバリューみたいなものが、オンライン面接だと画面越しに「こんにちは」と交わしたらすぐ本題に入ってしまう。
今までと同じ姿勢・やり方では、ギャップが生まれやすくなってしまう気がします。
それから、今いる社員のタイプやケースで、入社前と後でギャップが生じやすいといったデータを企業側で整理して、正直に候補者に伝えていくことも大事だと思います。
名越:
面接だと、しっかりと伝えたい想いからきれいな説明が多くなってしまうのですが、実際にオフィスに来て雰囲気から得られる情報のほうが、実感が持てたりしますよね。
伴走ではなく、自走の手助けをする
森数:
候補者の方が大事にしている価値観と、会社が大事にしている価値観がどれくらい近いのか、すり合わせることを大事にされているのですね。
名越さんが実践されている、面接のなかで「それはうちと違うな」と感じたらフィードバックする取り組みは、PR TIMESさんらしさが出ていると思いました。
名越:
「私たちはこうで、あなたの考えはこうで、ここはギャップがあるけれどそれでもこの会社で働きたいと思いますか?」と、率直に会話をして入社された方は、立ち上がりも早いなと感じます。
すべてにおいて十分に実践できているわけではないんですが。互いの考えがずれないような努力を続けていきたいですね。
森数:
大切なことは、違うかもしれないことを互いに理解して選ぶという点ですよね。違いがあることをわからずに選んでしまうと、そこがギャップとなって入社後の違和感につながってしまいます。
価値観が合う人だけ探そうとしても、ピッタリ一致することはなかなかありません。まったく一緒ではないけれど、理解できたり受け入れられたり、行動できるような人たちを探していけるといいですよね。
名越:
そうですね。
入社した社員の方の手を離さずに「咲くまで一緒に頑張る」という大きな責任を採用は担っていると思います。
入社後ギャップを感じたり、うまくいかなかったり、苦しいことは絶対ありますよね。ただ、どこかのタイミングで「面白くなってきました!」という瞬間がやってくるし、そのセリフを言ってもらいたいという想いがあるんですね。
私自身、入社時はすごくポンコツだったんですよ。それでも、やればやるほど面白くて、いろいろな経験を積ませてもらい、何とかなるかもと頑張ってこれた。これは誰でもできることだと思います。そのような意味でも採用はやりがいがあると思います。
森数:
入社してくれた方に、ここに入って良かったと思ってほしいですよね。
名越:
求められるのは、ずっとケアし続けるわけではなくて、いち早く自走できる状態になるために手助けすることだと思っています。伴走ではなく、その人がソロで走れるようにする。そのためには、一定の情報提供や開示する姿勢は必要ですね。
森数:
まったく同感です。
その人のキャリアに向き合うのは、伴走し続けるのではなくて、その人が自立し、自分で出来る状態に導いてあげるサポートが大切ですよね。
最後に、名越さん、言い残したことがあればお願いします。
名越:
『採用を科学する。』の本、発売されましたよね。最後にキャスターさんの本の宣伝をしようかなと。私もポチっとしたので、もう届く予定なんですよ。
森数:
そうなんです。CASTER BIZ recruiting事業部で出した本なんです。宣伝ありがとうございます(笑)!
『採用を科学する。』について詳しくはこちら
→ 書籍『採用を科学する。』発売!300社の支援から構築した“採用ノウハウ”をすべてオープンにした理由とは・・・!
今日の放送では、名越さんの素敵なところや、PR TIMESさんらしさも色々とお伺いできたと思います。VoicyにもPR TIMESさんのURLを張っておくので、いいなと思っている方が、そこから応募してくれたら嬉しいですね。
名越:
そうですね。事業を作りたいとか、大きな挑戦をしてみたいと考えたときに、まだまだ選択肢に上がりづらいかもしれないんですが、最近入社した方からは「こんなに任せてもらえるんだ」とか、「入社前に思っていたこととギャップがなかった」などの声も聞いていたりします。
今回お伝えしきれなかった魅力もたくさんあるので、当社に興味をお持ちの方とぜひカジュアルにお話したいと思っています。
森数:
気になった方は、ぜひPR TIMESの名越さんまでご連絡ください。
本日は大きなテーマで話づらいこともあったかもしれませんが、楽しいお話をたくさんありがとうございました。
名越:
ありがとうございました。
株式会社PR TIMESについて興味をもった方はぜひ公式サイトをご覧ください。
→ https://prtimes.jp/
CASTER BIZ recruitingに興味をもった方はサービスサイトをご覧ください。
→ https://recruiting.cast-er.com/