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Sopa de Quinua ソパ・デ・キヌア
ペルーを代表するスーパーフード、Quinua(キヌア)。標高2500~4000mのアンデス高地で、数千年前から栽培されてきたヒユ科アカザ属の植物です。
ペルー農業灌漑開発省によると、ペルーのアヤクチョでは紀元前5000年前にはすでにキヌアの栽培が始まっていたとか。また国内各地のさまざまな遺跡からも、キヌアの種子や花序が大量に発見されています。その優れた栄養面から、インカの人々が「母なる穀物」と呼んだキヌア。インカを征服したスペイン人も「arrocillo americano(アメリカの小さな米)」や「trigo de los Incas(インカの麦)」として大いに食したといいます。
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1993年にNASA(アメリカ航空宇宙局)がその完全なる栄養価に注目し、「21世紀の主要食」と称賛。国連は2013年を「国際キヌア年」に制定、食料安全保障と食料供給において大きな役割を果たすことを期待しました。
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黒や赤、紫のキヌアは、白キヌアよりポリフェノールが豊富。一方口当たりや食感は白キヌアのほうが柔らかく、風味もマイルドで美味しいです。黒や赤のキヌアは茹でても殻が固く、プチプチした食感が強く残るので、スープに入れるよりサラダや揚げ物の衣向き。黒キヌアや赤キヌアは単体では食べにくいこともあって、当地のスーパーでは扱っているのは白キヌア単体か、トリコロール(三色)と呼ばれる白・黒・赤のミックスタイプになります。
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日本の味噌汁のごとく、Sopa de Quinua(ソパ・デ・キヌア)にこれといった定番のレシピはありません。メインの食材になるほどのインパクトがない代わりに、他の素材の味を邪魔をしないキヌアは、どんなスープに入れても美味しくいただくことができます。今回は牛の骨でしっかり出汁をとりましたが、鶏肉や野菜だけでも大丈夫。アンデスでは羊を使ったりもしますよ。出汁をしっかりめに取って、たっぷりの野菜とともにお召し上がりください。
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【材料】2人分
キヌア 50g
骨付き牛肉 500g前後
タマネギ 1/2個
ニンニク 1片
ジャガイモ、ニンジン、セロリ、ポロネギ、カボチャ 各30~50gずつ(だいたいでよし)
カルド・デ・レス(ビーフブイヨン)または水 1~1.2リットル
ペレヒル(イタリアンパセリ) 適量
塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
オプション:キャベツ、大根、グリーンピース、そら豆、チョクロなどお好きな野菜、レモン、アヒ
【作り方】
1、キヌアを目の細かいザルを使って数回洗い、苦味の元であるサポニンを洗い流す。ザルに取っておく。
2、タマネギとセロリ、ポロネギを粗みじん切りに、その他の野菜も適当な大きさにカットしておく(拍子切りでも角切りでもいいが、大きさは揃えて)。
3、鍋に油を少量入れ、骨付き牛肉を入れて肉の表面を軽く焼き付ける。タマネギとニンニク、塩コショウ、クミンとオレガノも少し加えてさっと炒め合わせ、カルド(または水)を加えて蓋をし、時々アクを取りながら肉が柔らかくなるまで40~50分ほど煮込む(肉の部位による)。
4、肉が柔らかくなってきたらニンジン、セロリ、ポロネギなど煮崩れしにくい野菜を加えて沸騰させ、次に1のキヌアを加えてもう一度沸騰させる。沸騰したら蓋をして中火で10~15分ほど茹で、キヌアに透明感が出て白い半月型のヒゲ(胚芽)が出てきたらジャガイモとカボチャを入れて引き続き加熱する。
5、すべての野菜に火が通ったら最後に塩コショウを加えて味を調え、刻んだペレヒル(お好みでオレガノを追加しても)をたっぷりふってできあがり。ペルー風にレモン汁やアヒをほんの少し加えながら頂くのがオススメだ。
【ひとことアドバイス】
キヌアスープのレシピは、スペイン語だけでなく日本語もいっぱい!すっかり日本でもお馴染みの食材になっているんですね。ちなみに日本では1人前のスープに対しキヌアは大さじ1(15g)が基本のようでしたが、キヌアの産地ペルーではどのレシピを見ても25g前後は入れるよう。ただ多くても少なくても味にはそれほど影響がないので、適宜増減させてください。
癖がなく他の食材の味を邪魔しないキヌアは、どんな料理にも対応できる万能食材。栄養価はお墨付きなので、洋風スープだけでなく日々のお味噌汁やサラダ、ちょっとした和え物にも加えて、こまめに摂取することをお勧めします。