二度も鬱病になった人間が外資系コンサルでバリバリに復活するまで(2/2)
(※この記事は10分目安で読み終わります。)
前回につらつらと鬱病になった経緯を共有しましたが、第二回の今回はわたしなりの予防策について、さらに併せて外資系コンサル戦士として復活するまでの経緯を共有したいと思います。
1)第1回目の鬱病経験から得た知見
まず、簡単に時系列の推移を以下に図示化してみました。
人生の貴重な時間を鬱病に持っていかれるとは…まったく不覚の極み。憎き鬱め!と鬱のせいにしたいところですが、下図からもわかるように長い目でみると自分には大きな周期で山と谷が交互に発生していることがわかりました。
また、ざっと振り返ってみると鬱病が進行していく、谷へと下っていく過程では以下のような自覚症状があることもわかりました。
① 1日中継続する猛烈な眠気(寝ても覚めても頭がフワフワ)
② 集中力/持続力/やる気の低下(ちょこちょこ遅刻や欠勤が増加)
③ 感情制御の維持困難(原因不明の継続的で強烈なイライラ)
④ 食欲減退と尋常ではない体のダルさ重さ
鬱病は2回とも総じて決して気持ちの良い経験ではなかったですが、貴重な知見を獲得したので共有します。簡単にまとめると以下の4点です。
・長い目で見ると鬱は定期的に発生し得る(大きな波の傾向把握が大事)
・なので鬱は再発する前提で生活すること
・とはいっても再発は嫌なので初期症状を把握して未然防止に励む
・それでも発生したときには被害を最小限に抑えること
2)再発防止策立案・実行における着眼点と実践方法
前回も触れた通り、1回目の鬱病は本当に生き地獄でした。大手製造業でせっせと積み上げた充足感の貯蓄は急速に失われ大学院在学中に充足度バブルが豪快に崩壊しました。それはまさにローラーコースター状態。加速度的に降下していく無機質な車両、それと共に宙に舞うひゃっほーい!なわたしの両手。そしてぴゅーっとひたすら下へと落下していくわたし。充足度メーターは底値が見えずお先真っ暗。未知の領域へレッツゴー!な勢いでした。
もうこの世の終わりだ!ムリムリ!な鬱病1回目でした。もうこの文字読むだけでも嫌になっちゃいますね。
そんなこんなで1回目の後には、あんなの2回も経験したらキツい!イヤだ!ムリ!ということで、わたしは再発防止の施策を考えて実行に励みました。謎に2回目を見事に発症しましたが、前回と比較すると鬱病の深度が軽微な段階で治療に着手できたため治療期間を短かくできました。やはり1回目の経験があったので、「お、心の風邪引いたな。治さねば。」で済みました。とはいえ奥さんには多大なる迷惑をかけました。いつもすまんね、奥さん。
ということで、皆さんもうお馴染みである下の図でも見て取れる通り、被害を最小限に抑えての華麗な復活を遂げています。俗に言う逆ひゃっほーいですね。
では具体的に一体全体何をしたかというと、ズバリ以下の2点です。
① 定量的に情報を収集するための手段の構築/運用
② 収集した情報に対する分析と定期的な定量的な情報のフィードバック
やり方は以下の通り単純です。
スプレッドシートに日付、曜日、カウント列をつくり、1日の終わりに自覚症状の有無に応じてバイナリーで判定を更新していきます。寝る前にわざわざパソコン開くのは億劫なので管理表はOneDriveでクラウド管理し、基本的に更新はiPhoneで完結させています。できれば主観的な判定ではなく第三者に客観的な判定をお願いしたいところではありますが24時間ぴったり一緒にいて様子を眺めてくれる人はいないと思うので、自己判定でいいと思います。
それらのデータを蓄積していって、下図右表のようにグラフ化して可視化します。私の場合は週次でみると火-水曜日に、月次では2-3月の冬場、加えて6-7月の夏場に鬱傾向がでやすいことがわかります。
とここまでわかるともう単純で、火曜水曜には負荷のかかる仕事は避ける(週の中で分散させて負荷を調整する、もしくはうまくサボる)、同じく冬場と夏場はできるだけ気分転換できる環境を心がける。これらをすることで鬱傾向の急速な進撃をストップさせるわけです。
3)再発防止に向けた改善施策
とはいえ単純でもやはり具体化しないと実行性が低下し、せっかく蓄積し分析したデータが活用されずにもれなくお先真っ暗に再突入します。なので、私の場合は以下のように鬱病に対する以前の自分の行動を分析し、今後どう変えるべきかを検討/実行しました。
大切なのは、各フェーズにおいて過去の間違いを認識し、未来に向けて具体策を講じて改善することです。名言出ちった。おお!
まずフェーズ➀では、前述のスプレッドシートでの管理表を運用することで初期症状の把握に漏れがないよう管理します。そしてフェーズ②ではそれらの情報をしっかり分析・可視化することで鬱傾向の早期検知に活用します。それで鬱病が再発した場合は、フェーズ③で早期治療に繋げます。ここまでを先手で動くことでフェーズ④の治療期間は圧縮できる可能性がググぐっと向上します。
ここで一つ重要なことがあります。それはズバリ、フェーズ②と③においては「頼れる人をつくれ!その人に頼れ!」です。フェーズ➀の管理表更新は主観的な判定でよいと思いますが、他人の目を通して自分を客観的に評価してもらわないと人は自分の判断力を過大評価し鬱病のリスクを過小評価します。こうなると回収できるはずの危機を見て見ぬふりをしてしまい、後続フェーズの期間である治療期間が劇的に伸びます。
なので、少しでも鬱傾向があると感じた場合は近くの頼れる人に率直に客観的な見立てを聞いてみるのがいいと思います。
そこで意見を聞かれた方は、傷つけるかも…ではなく、一緒に進撃を食い止るぜ相棒!の意思を伝えて寄り添ってあげられるとよいかと思います。
4)鬱病キャリアの転職について
ここでみなさん気になる転職についてです。
まず、転職する際には採用側に既往症を伝える必要はありません。
既往症の有無についての質問自体は厳密には違法ではありませんが、「職業安定法」で応募者の個人情報は職務に関係ある事項以外の収集は認められていません。採用企業はむやみに既往症などの情報を収集することはプライバシーの侵害、個人情報保護法への抵触、就職差別にあたる可能性があるため、応募者は聞かれたらホイホイ答える必要はありません。採用企業側の人事がこれを知ってか知らずかズカズカと聞いてくることがあるかもしれませんが、ガン無視でおっけいです。もし既往症について聞かれたら、「え?知らないんですか、ぷぷぷ。」でおっけです。
ただ、在職中に休職している場合は社会保険の履歴でバレます。
会社に在籍していない期間(私の場合は大学院時代)の鬱病治療は伝える必要なしです。わたしは伝えずに外資系コンサルに潜入しました。まるでスパイですね!こうして見事に後転倒立のごとく復活を遂げたわたしは、外資系コンサルでのホテル族生活を満喫しました(余談ですがコンサルは出張多いですが高級ホテルに経費で宿泊できて各地の美味しいご飯を食べれて、海外出張ではついでにプチ旅行できて、いろんなお客さんと働けて楽しいです。激務ですが一度はおススメな業界だと思います)。そして今は独立して会社経営をするに至っています。やったね。ラッキー!
ということで、今回の知見をサクッとまとめます。
わたしからのメッセージは以下の通りです。
・鬱病は誰にでも発症するもの
・ただ、先手を打たないと尋常ではなく苦しむ
・なので再発予防と発症時の被害最小化に努めるべし
・再発防止には日々の傾向を把握して可視化すべし
・鬱傾向が出たら人に頼り、人のアドバイスを素直に受け入れるべし
これらはあくまでも個人的な経験談ですので、治療については自己判断はせず、適切な医療機関にご相談ください。わたしもちゃんと病院行ってます。
鬱病は発症しますが、ちゃんと向き合えば治ります。根気強く、生きていきましょう。
以上、共有でございました。