社会福祉士養成課程になぜ『社会調査』の科目があるのかという話
▼おはようございます。本日は、さいごに途方に暮れて終わりますww 社会福祉士養成課程に、なぜ『社会福祉調査の基礎』という科目があるのかというお話です。中身が上から目線となってしまいますが、どうかお許しくださいませ🙏🙏
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以下の内容は、あくまで建前論です・・・
▼社会調査がなんのためにあるのか、ざっくり申し上げますと、客観的な教科書を作るためとお考えくださいませ😌
▼たとえば、経験豊富な実践者の方々は「勘」や「感覚」が研ぎすまされています。しかし、勘や感覚だけですと「福祉や介護は大事なんです、専門性が高いんです」と世間一般に訴えても、「それってあなたの主観でしょ❓」と言われがちです😥😥
▼そこで、実践者の方々の経験にもとづく勘や感覚に科学的な裏付けを与えて説得力を持たせまして、主観じゃなくて客観的に認められているんだ、と証明するのが社会調査です👍
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▼社会調査(社会福祉調査)は、ソーシャルワークの古い分類では「関連援助技術」に含まれていました。しかし、それを教える科目はもともとありませんでした。
▼偉い先生方は長年、社会福祉学の専門性を高めたいと考えてきました。つまり、社会福祉学を素人にはできないような学問と実践にするということです。そのためには、知識や技術を客観性のある「科学」にしなければなりません。
▼そして、実践と研究の両方ができる医師のように、自分たちでエビデンスを出して、エビデンスにもとづく実践ができる専門職を養成したい →だったら社会調査をカリキュラムに入れましょう、という流れです。
▼偉い先生方は、社会福祉の専門性を高めれば、福祉士の地位や待遇が向上すると考えました。じっさいは、カリキュラムの時間数を増やしても、国家試験の難易度をカルトレベルに高めても、地位と待遇はあまり向上していません。問題はそこじゃなかったんですね~ 難しいものです😥😥
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▼さて、社会調査には量的な調査と質的な調査があります。このうち、量的な調査の分析で使う統計学とはどのようなものかを、ほんの少しだけかじってみましょう。数学だと思わず、どうぞ気楽にお読みくださいませ😌
▼私たちは、小学校の算数で「比例・反比例」を習いました。x が増えると y も増えます、というものです。
▼これが、中学校の数学では「関数」と名づけられます。x と y が「関係しあっている数」だから「関数」です📈
▼中学校では、y=ax+b という公式(一次関数といいます)と、y=ax² という公式(二次関数といいます)を習います。
▼そして、高校以降は y=ax²+bx+c のように公式が発展していきます。
🖐️数式はこれにて終了です🖐️
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▼これらのことを福祉、介護実践に応用してみます。
▼ある実践者の方が、なんとなく「外出頻度が多い利用者さんほど、生活の質(QOL)が高いのではないか❓」と思っておられたとしましょう。そこで、この主観を客観的に実証してみます😊
▼外出頻度を x、生活の質(QOL)を y として調査してみますと ・・・ここからは、あくまでも私の想像です。
▼まず、調査結果を一次関数を使って分析しますと(左のグラフ)、「外出頻度が多ければ多いほどQOLが高くなる」という結果が得られるでしょう。
▼もっとくわしく知りたいなぁということで、二次関数を使って分析しますと(右のグラフ)、「外出頻度が多いほどQOLは高くなるけど、外出頻度が一定回数を超えるとQOLが低くなる」という結果が得られるでしょう。
▼右のグラフで、QOLが最も高くなるポイント(点線部分)を超えてからQOLが低下していく理由として、「外出し過ぎると体力的に疲れて生活にさしつかえる」みたいな関連要因を見出せるかもしれません(これは別途調査する必要があります)。
▼このような客観的な結果が得られますと、「じゃあ、利用者さんの外出はほどほどにしたほうがいいよね」みたいな、具体的な援助方法の提案につながって、それが教科書に反映されるというわけです。
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▼福祉・介護サービスには多額の税金が投入されていますので、納税者に対する説明責任という点で、福祉や介護の必要性、重要性は客観的なエビデンスをもって訴えたいところです。
▼でも、この説明責任は建前どまりなんです・・・
▼去年、ちょっとした事情がありまして、厚生労働省の介護給付費分科会という委員会の議事録を20年分、すべて読みました(これはまた別の機会に😎)。
▼委員会では、感情論だけで税金や保険料を使うわけにはいかないということで、さまざまな社会調査のデータが資料として使われます。
▼ところが、使われた社会調査を調べてみますと、回収率が軒並み低いんです(回収率50%以上はほとんどなし❗)。
▼回収率が低いと、客観的データとはいえません。2010年代の中頃になりますと、有識者の委員らは「資料として提出される社会調査は回収率が低すぎてアテにならない」と考えるようになりました。
▼この流れが、介護保険事業者の方々であれば誰もがご存じ、賛否ある「LIFE(科学的介護情報システム)」の開発と導入につながっています。つまり、うだつのあがらない調査を参考にするよりも、事業者から直接データを取って傾向をつかもうというわけです・・・
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▼さいごに、エビデンス=福祉や介護の科学化、そのための社会調査の重要性は承知しています。そのうえで申し上げますと、
人間のあらゆる行動、判断、感情を数学的な解で説明するのは不可能❗
▼しかし、社会調査が無駄とは思いません。私も今年の冬場に、ある調査のデータ分析をお手伝いさせていただいたばかりです(そんなことをしながら食い扶持を立てております💦💦)。
▼社会調査は「手段のひとつ」であるとお考えのうえ、社会福祉士国家試験の受験勉強をしていただければと思います😌😌