見出し画像

経営戦略と人事戦略は具体的に何を連携させるのか?

人的資本経営の課題として、「経営戦略と人事戦略の連携不全」が挙げられることが多くありますが、"具体的に何を連携させるのか"まで言及されることは多くありません。そこで今回は、経営戦略の<6つの要素>と人事戦略の<13の連携ポイント>を整理しました。なお、「経営戦略」の範囲はなるべく広く捉えています。

なお、実務で人事戦略を作成されている人事部長や人事企画担当の方は、経営企画部門と連携・調整しながら経営戦略や経営計画との整合を図られていると思います (むしろ経営戦略や経営計画をインプットとせず、何もない所から人事戦略を作る方が難しいかもしれません)。人事戦略策定に携わっている方には、今回の経営戦略の<6つの要素:A〜F>と人事戦略との<13の連携ポイント:1〜13>を再確認用のチェックポイントとしてご活用下さい。

【参考】人事戦略の9のモジュールの解説は こちら(note) をご参照下さい

A. 経営目標・ポリシー・経営計画

【連携1】経営目標・ポリシー・経営計画の理解方法の設計

  • 社員全員が経営目標・ポリシーや (中期)経営計画を自身の担当業務と紐付けて理解し実行するようカルチャー醸成や社内コミュニケーション施策を設計

【連携2】人事評価への組込み方法の設計

  • 経営目標の達成や戦略施策の実行のために人事評価の項目や基準等の改定を設計 (必要に応じて)

B. 事業ポートフォリオ・戦略施策

【連携3】必要な人材の定義と獲得・配置方法の設計

  • 今後の重点事業や戦略的施策に必要な人材の質 (スキルやタイプ等) と 量 (人数) を定義

  • 不足している人材の獲得方法として、採用・外部人材活用や育成・リテンション等を設計 / 配置方法を設計

【連携4】キーポジションの設定

  • 経営戦略実行上で重要な役割を担うポジションを重点管理すべく、キーポジション (クリティカルポジション) として設定

C. コーポレートブランディング

【連携5】価値観・行動規範の浸透方法の設計

  • 自社ブランドの維持強化のために、ブランドを体現する社員の価値観や行動規範を(再)定義し浸透方法を設計

【連携6】採用ブランディング強化方法の設計

  • 採用・人材獲得活動のために労働市場における自社の認知度・魅力を高め採用ブランディングを強化 

D. ビジネスリスク

「人」に関するビジネスリスクは大別して、人がビジネスにマイナスインパクトを与える可能性と、計画通りに人が活躍しない可能性があり、ここでは前者の代表としてコンプライアンスを、後者は安全・健康を取り上げました。

【連携7】コンプライアンスの徹底方法の設計

  • 全社員のコンプライアンスの理解と意識を恒常的に高め徹底するための方法を設計

【連携8】安全・健康管理の推進方法の設計

  • 社員の離脱を防ぎ、また早期の復帰のための就業環境の安全管理や社員の健康管理の推進方法や必要に応じて人事制度の改定を設計

E. サステナビリティ

現在ではサステナビリティも重要な経営戦略要素であり、人事戦略でもスコープに入れる必要性が高まっているため連携点に含めました。

【連携9】サステナビリティ理解の促進方法・SX人材の育成方法の設計

  • 自社が気候変動や生物多様性にどのような影響を及ぼしているか、またそれらが自社の経営にどのような影響を及ぼしているか等のサステナビリティ経営への理解の促進方法を設計

  • 必要に応じて、サステナビリティに関する知見やスキルを持ったSX人材の育成方法を設計

【連携10】人権保護の徹底方法の設計

  • サステナビリティ担当との連携による社員 (および派遣社員等) に対する人権DDの実施や人権意識向上の推進方法を設計

F. 売上・利益計画

【連携11】報酬制度改定の設計/コスト計画の策定

  • 必要に応じて原資や原資配分方法を変更するための報酬制度改定を設計

  • 人件費計画を策定

【連携12】人的資本ROI目標とROI向上方法の設計

  • 人的資本ROIの目標値の設定と人的資本ROI向上の方針や主要施策を設計

共通

【連携13】次世代リーダーの育成

  • 次世代リーダー/キーポジションの後継者候補 (リーダーシップパイプライン) の増強策を設計

  • 必要に応じてサクセションプランニングスキーム改定を設計


【参考】人事戦略の9のモジュールの解説は こちら(note) 


いいなと思ったら応援しよう!