年上の部下を参謀として味方に引き入れる3つのポイント
チームにはさまざまなメンバーがいます
バブルがはじけて、年功序列、終身雇用が崩壊して、約30年が経過しました。
即戦力という言葉をうまく利用して、会社に貢献できる人は昇進して、会社にぶら下がろうとする人は、早期退職の対象になったり、リストラの対象になることもある。
いまは労働者保護の観点から、労働法や労働基準法など労働三法に守られているため、正社員を解雇するためには、第三者にもわかる形でないと合法的に解雇することはできません。
また日本企業は出る杭を打ち壊す、ハシゴをハズす、有害なものは排除するという風習がよくあります。
いろいろな企業が声を上げ始めた労働者への対応を間違ってしまうと、企業ブランドを著しく傷つけるということを理解しています。
労働局への相談が増えると、上場企業に対しては労働基準監督署の目が光るようになる。
そうすると麻薬の捜査のように内偵捜査をされて、証拠を掴まれる。
証拠を掴んだら、労働基準監督署ががさ入れをする。
がさ入れをされてしまうと、マスコミに報道されることになり、ブランド力がなくなり、ブラック企業というレッテルを貼られてしまう。
業績が悪化することもあるし、場合によっては採用にも影響をすることになるでしょう。
親ブロック、嫁ブロックの対象になるのは、そういう企業です。
年功序列が廃止されてから、優秀だと社内で評判のいい若手を抜擢することが多くなり、年上の部下、年下の上司という構図も出来上がったのは確かです。
昔ではありえない構図が出来上がっている。
注意をしなければならないのが、年上の部下の取り扱い方です。
ちょっと間違えてしまうと、脚を引っ張られることになるし、うまく使うことができれば、参謀になってくれる存在です。
ですが、たいていの場合は脚を引っ張られることになり、戦力外通告をすることがよくあります。
仕事や課題をふるのが難しい相手
年上の部下は、簡単な仕事を振れば、「バカにしている」と思われそうだし、重要な仕事を振れば、ベテランメンバーが張り切って仕切ってしまうと、誰がこのチームのリーダーかわからなくなってしまうことがあります。
また、慣れていないと、簡単に年下の部下というだけで、変に意識をしてしまうこともよくあります。
ベテランメンバーには、全体的に助けてくださいというトーンではなく、できるだけ具体的なアクションを伴う仕事をお願いし、チームの仕事を「わがこと」としてもらうのが有効的です。
また、アクションを御願いすることには、ベテランメンバーが「チーム内評論家」になってしまうのを防ぐ目的もあります。
私がよくやるのは誰かとつないでもらうこと。
「◯◯の件について、Aさんにアドバイスをいただきたいのです。すみませんが、誰かをご紹介していただくことはできないでしょうか?」
「このプロジェクトには◯◯さんの知識と経験が必要になるので、◯◯部長に話を通しておく」というニーズがあります。
そんな時にはベテランメンバーに他部署とのつながりを作ってもらうように頼むことです。
「いままでのキャンペーンのデータがほしいので、マーケティング部長にひとこと声をかけていただけないでしょうか」
マーケティング部の部長に声をかける以上、ベテランメンバーは自分の口でプロジェクトの概要を説明しなければなりません。
説明するからには踏み込んだレベルでの理解をしなければならず、理解すると、その人なりにアドバイスや意見をいってくれます。
マーケティング部長と話しをした時に出るアイデアをシェアしてくれることもあるでしょう。
仕事をさせてミカタにつける
人は自分の口で説明をするとなると、その仕事のミカタになります。
例えば、他部署の人に自分の部署のプロジェクトを説明するとき、「この企画はよくないと思っているんだよね。でも悪いけど協力してください」とはいえないでしょう。
「こういう目的のなかなかいい企画だから、ぜひ協力を御願いします」というのが普通です。
また、一生懸命に説明をしたにもかかわらず、「いまいちよくわからないプロジェクトだな」とネガティブに言われると、人はちゃんと説明して、なかなかわかってもらおうとして努力をします。
「すごくいいプロジェクトじゃないですか。ぜひ成功させましょう」とポジティブにいわれると、自分が褒められた気分になり嬉しくなります。
説明することにはこれだけの効果があるんです。
場数を踏んでいるベテランメンバーは、社内外のネットワークもありますし、説明のスキルも長けているもの。
遠慮なく、御願いをしてしまいましょう。
「◯◯さんとつないでください」
「◯◯にアポイントを取って頂けませんか?」というようにシンプルに伝えることがいいのですが、その前にはちゃんと信頼関係を築くことが必要になるので、ある程度の信頼と実績が必要になります。
常日頃から年上の部下とうまくコミュニケーションをとっておきながら、ここぞというときの切り札として投入することで、チーム内で腐らずに協力体制ができる。
今までは年下の部下が当たり前だったかもしれませんが、ジョブ型が進み実力主義の割合が広くなってくると、年上の部下を持つこともあるかもしれませんし、逆に管理職だった自分が降格してしまい、年下の上司ができてしまう時代です。
どちらの場合にしても、あなたの環境適用能力、素直さ、謙虚さが問われることになるので注意が必要です。