【研修の向こう側】管理職の役目をもう一度見直そう!
モチベーションストッパーとは…
いろいろな企業で名ばかり管理職が増えているといいますが、プレイングマネージャーは中小企業やベンチャー企業では当たり前です。
人が少ないのであれば、自分も会社のために売上を上げることが必要になるからです。
しかし、大手企業や優良企業にもプレイングマネージャーが増えています。
それは、人材育成を怠っていたから管理職が育たない環境を創りだし、管理職として素養のない人たちが管理職につくことになった。
そうするとチームビルディングやチームの管理方法を知らない人が増えた。
最近増えているのがモチベーションアップに関する研修、講演である。
信頼関係が希薄になり、コミュニケーションが希薄になったため、こういう研修が増えている現状がそこにはあります。
私がよくこういう研修で最初に言っていることは、「叱る」と「怒る」の違いを明確に言えますか?という質問をする。
たいていの人はこの違いを理解していないため、何も発言がでてこない。
「叱る」というのは相手のことをリスペクトしている状態で、信頼関係も成立している。
感情的にいうのではなく、論理的に、具体的に指導することである。
「怒る」というのは相手のことを蔑んで見ている証拠であり、感情的になってしまう。
信頼関係も成立していないから、パワハラ、モラハラということでハラスメントとなる。
怒る上司というのは、モチベーションストッパーとなる可能性があり、部下の成長の機会を失ってしまうことになりかねないということです。
部下を成長させることによって、チーム力を上げていくことが求められる管理職。
しかし現状はできていないから、自分がプレイングマネージャーとして、毎日数字を追うことになるわけであり、エースが育てはチームの底上げはできるのであることに気づいていない。
1番手のエース候補を見つけたのであれば、徹底して育成をすることが必要である。
日頃の言動を見なおしてみよう
ネガティブな考えをすると、そのとおりになってしまうこともよくあります。
ポジティブに考えるようにしないといけないのは管理職としての考え方です。
最悪のシナリオを用意するとそっちに引っ張られてしまうから不思議である。
職場で朝礼や夕礼、ミーティングの際に次のような言葉を発言していないかをチェックしてください。
もし5つ以上該当をする場合にはモチベーションストッパー担っている可能性があるので、日頃の言動について見なおしてみることが必要になるでしょう。
結果がすべてである
モチベーションが上がらないのは根性がないから
モチベーションの高低で結果が変わるのは、考えが甘いからである
落ち込むのはココロがよわいからだ
仕事は好き嫌いでやるものではない
仕事はつらくて当たり前
ストレスは本人の問題である
やる気がないのは自分が怠けているからだ
仕事に感情を持ち込むな
モチベーションは飲みニケーションだ
どうでしょうか。日頃の言動について一度見なおしてみましょう。
結果がすべてだというのは、成果主義を間違って解釈している上司の典型例です。
会社に貢献する事は売上を上げることですが、目標達成すればヒーローとなり賞賛をされます。
目標を達成できなければ、お荷物というレッテルを貼りたがります。
目標達成をするためにはどうしたらいいのかを考えていない上司が言い放つ一言である。
管理職としてはチーム力、組織力を上げるためにはどうしたいいのかを考えることで、人材育成をしなければいけない職種であるにもかかわらず、考えることを放棄しています。
モチベーションの高低や上がらないというのは、管理職の雰囲気作りができていないと仮定できます。
リラックスして仕事に望めるのが理想型ですが、はっぱのかけ方を間違えれば、ブレッシャーに押しつぶされます。
ハンパないプレッシャーのかけ方をするのであればいいのですが、たいていの場合は中途半端なプレッシャーのかけ方で、モチベーションストッパー担っていることに気付いいていない。
落ち込む、ストレス、やる気がないというのは、ガス抜きができていないと仮定できます。
ガス抜きは本人の問題でもありますが、ちょっと様子がオカシイと感じたら、個別に話を聞いてあげる事によって、活性化することを気づいていないからでしょう。
何かを聞いてほしいというサインであることが多いのですが、そのサインを見逃して、頭ごなしに怒られてしまったら、モチベーションはより一層下がってしまう。
これがチームへの影響が計り知れないものであるということに気づいていない。
怒ると叱るということはフォローもしっかりしなければ信頼関係もできません。
本当に些細な事でもサインを見逃さずに、個別に話を聞いたりすることで解決することができるのですが、そういう気配りをする余裕がないというのが本音である。
毎日営業成績に追われて、それが自分の評価に直結をすると思うのであれば、人材の育成をする余裕がないというのはいいわけです。
時間を創りだして、最優先にチームの底上げを考える必要があるでしょう。
モチベーションストッパーの5つの特徴
1つ目の特徴:信長型上司
バラエティー番組でお決まりのセリフですが、「ルールブックは私です」という上司。
何をするにも、何を決定するにもお伺いを立てないとモノゴトが進まない上司。
グローバル化が進んでいるにも関わらず、昔ながらの意思決定方法を踏襲する。
自分の成功体験が判断基準になっていることが多くあり、大手企業の出身者や過去に偉大な実績を残している上司に多いタイプ。
自分がやってきたことが正解だと思い込んでしまって、柔軟性と謙虚さに欠けるタイプであり、ビジネスチャンスの時には自分が前へ進んで、美味しいところだけをごっそり取って、まるで自分の手柄のように言ってしまうことがよくある。
部下に対しては絶対服従を求めているので、ちょっとした動きにも敏感である。
情報網も広く、いろいろなうわさ話を信じて、レッテル貼りをしたり、格付けをしたくなるのがこのタイプ。
使えないということになると、すぐに他部署へ部下を放出するドライなタイプ。
2つ目の特徴:殺し屋上司
このタイプは一番多いタイプの上司であり、叱ることで部下が勝手に成長をすると考えるタイプ。
ライオンの子供の育児と一緒で谷に落としこんで、そこから這い上がってくる人だけを育成するという考え方。
日本人の上司には一番多いタイプで、称賛力がなく、古きよき昭和の頑固親父タイプ。
このタイプも柔軟性と謙虚さがないため、従来の考えを崩すロジックを持っていたとしても、頑固者ですから、従来のやり方のほうがリスクが無いということで、リスクを背負う気持ちが無い。
また褒めることができないため、部下の育成についてもうまくない。
叱ることで部下に気持ちが伝わり、部下が叱られないためにはどうしたらいいのかと先を読むと考えている。
先を読むことができるのであれば、部下が自然に成長してくるということを勝手に思い込んでいる。
そのため、ハングリー精神ある人や反骨精神のある人だけが勝手に育っているにもかかわらず、自分が育てたというように自慢したがる上司である。
3つ目の特徴:ごますり上司
これはリーマンショック以降顕著に現れてきた新人類の上司。
社内政治に長けているタイプであり、能力がなかったとしても、知らず知らずに出世をしているタイプ。
社内ではなぜあの人が出世をしたのかという不思議なタイプである。
常に他人と比較することが生きがいになっており、上司の顔色を見ながらモノゴトを進める。
勝ち馬にのることには優れた嗅覚をもっているため、いろいろなところで太鼓持ち状態。
上司が喜ぶのであれば、何でもやるという上司である。
部下の手柄を自分の手柄にしてしまって、上司に献上をしていく。
そうすることで社内の信用預金をガッチリ貯めこんで、出世をしていくことになる。
能力がなくても出世をしていくのは社内の立ち回りが上手くおこなっているからだろう。
4つ目の特徴:頭でっかち上司
最近はこういう上司もよく見かけるようになりました。
何かというといろいろな知識をひけらかして、モノゴトを解決しようとするタイプ。
勉強熱心なのはいいのですが、経験値が少ないのが玉にキズ。
何事もロジックで相手を説き伏せようとするか、論破しようとするからたちが悪い。
議論に勝つことで自分の権力を保とうとしているから、柔軟性が足りない。
コーチング研修やコミュニケーション研修、モチベーション研修などと自己啓発をしながら、それをそのまま受け売りするタイプなので、共通言語を持っていない上司として取り扱いされています。
5つ目の特徴:プライド上司
この上司のタイプは昔からいるタイプであり、高学歴の上司や過去の栄光にぶら下がる上司に多い。
子供の頃から競争社会に巻き込まれて来て、負けることや挫折することを知らないタイプ。
優秀な部下しか要らない。できない奴は一生かかってもできないということを言い放つ。
思い込みと先入観がそうさせていることになる。
部下が一番育たないタイプであり、自分のポストを後輩に譲ろうとしない。
社畜上司ともいえるタイプがこのプライド上司である。
優秀な人しかマネージメントできないというのは管理能力がないことを言っているようなものである。
優秀な人材はセルフマネージメントができるため、管理職のやる仕事はない。
管理職は人を管理することだけであり、何もやることが無いという間違った認識をしているタイプである。
人材育成ができなければ、離職率が上がる
企業にとって財産になるのは従業員であり、人であるということを経営層はいうことが多い。
しかし、バブル経済崩壊後から人材育成のための教育研修費を削る事になり、人材育成をすることを忘れてしまっていたのがここ20年の社会の流れである。
人材不足になり、管理職不足になり、慌てて採用をしている現状がある。
35歳以上のミドル層が転職市場で人気になっている理由でもある。
優秀なマネージメント層は市場に出てくることは無いだろう。
ある程度の信用預金を貯めることができ、社内でもやりたい仕事をしているケースが多くあるからである。
年収もそこそこもらえているので、そう簡単に市場には出てこない人材である。
若手の時に虐げられた部分もあるけれど、その御蔭でやりたい事をやれている現実があるから、
転職を使用という気持ちがほとんどないだろう。
ヘッドハンティングを心掛けても、いろいろと守るものがある年代であるから、リスクの高い転職をすることはあまりないというのが現状である。
これからは20代後半のゴールデンエイジ世代に教育研修をする必要があるのではないだろうか。
管理職候補として育成するには、年齢的に残されている時間がちょうどいいぐらいである。
28歳から30歳ぐらいで少人数のチームを持たせて、チームビルディングについて学んでもらった上で、30歳から35歳ぐらいまでの間に数十人のチームを纏めて、成果を残していくことが必要になるでしょう。
もちろん、フォロー体制や教育研修制度をしっかりとすることによって離職率を減らすことができるでしょう。
管理職になるという不安を払しょくすることができ、プレーヤーからプレイングマネージャーになり、プレイングマネージャーからマネージャーへと階段を登ってもらうことで、自分の適性がわかるときもあるでしょう。
スポーツの世界では名プレーヤーとして活躍をすることができた人は、名監督になることができないということを言われています。
名プレーヤーは自分であれば、どうやって動けば、結果を得られることがわかっていますが、それを監督として、プレーヤーに伝えることが下手くそであるということです。
これはビジネスの世界にも通じるものがあり、過去に偉大な実績を残している人は、管理職として成功することができないことが多くあります。
ゴールデンエイジ世代を管理職候補として、育成することは急務であり、これから先も会社が発展していくためには必要なことです。
そのためには、性格診断や心理テストなど客観的に見ることができるデータと、上司やチームメンバーの評価などを鑑みた上で、2〜3年かけて人材の育成をすることが求められます。
また、ゴールデンエイジ世代の育成を成功することができたら、会社としても新陳代謝がアップするため、効率が上がることにもつながるでしょう。
ミドル層については、ゴールデンエイジに追いつかれないように、先行逃げ切りを図るために、切磋琢磨し合える環境になり、マネージメントについてもいろいろなかたちが出来上がっていくでしょう。