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海外スタートアップへの投資は大失敗
こんにちは。現在、音声プラットフォーム「Voicy(ボイシー)」で働いている、AYAです。
先日発表させていただいたVoicyの資金調達の際に、以前勤めていた銀行時代にスタートアップへの投資に関わった経験を懐かしく思い出しました。
そんな懐かしい思い出を前回に引き続き書いてみます。
前回のサクッと振り返り
マレーシアから帰国後、東京の部署に配属された日に知ったベトナムのスタートアップへの出資。ひょんなことから、その会社のことをより理解するために1ヶ月間、現地に派遣されることなり…
出資時に銀行で把握している内容と現地で起こっていることにギャップがあることが判明。前回はこちら👇
判明したギャップとは?
最大の乖離
何よりのギャップは、何を1番重視しているか?というところでした。
東京では、出資した際に認識したビジネスモデルをベースにしっかりと事業の成長が進んでいるかどうか。
一方で、現場では、将来的に勝ちきるためには、クライアントネットワークを早急に伸ばしていくためにはどうするか。
ビジネスモデルに対する認識
ビジネスモデルの構築度合いに対する認識にも大きな差がありました。
東京では、すでに出来上がっていると認識。
一方で、現場は、走りながらクライアントの反応を見ながら、模索して変えていくスタイル。クライアントネットワークのためにフィットするモデルに変えていく考え方。
事業計画への影響
銀行が出資した頃のビジネスモデルとは変化がありました。更に、まずは収益率を度外視し、導入社数を伸ばすという戦略を取りたいA社の社長の意向も明確になりました。
結果、当初の事業計画よりもコストが膨らみ、黒字化のタイミングが遅れる算段。コストが膨らむため、想定よりも早めに新たな資金調達も必要な状況でした。
東京との埋まらない溝…
東京に戻って、早速、1ヶ月の結果報告です。
淡々と把握した内容を伝えるものの、そもそもサービスモデルを模索しながら走る、なんてことを許容するわけなく、上司の顔は曇る一方です。
アーリーステージに出資するということは、何かを決まっている事業への投資ではないことをはっきりしていましたが、社内の「稟議」という仕組みに縛られている中で、現実との溝をどう埋めるのか… 上司の顔が困りきっていました。
加えて、A社が目指すクライアントネットワークの拡大を先行する戦略を反映させて事業計画を叩きなせば、資金調達のタイミングが迫っている。
資金調達ができなければ、資金ショートが見えている状況。
もし資金調達に応じるのであれば…
その資金調達が必要な理由が社内で通るのか?
出資当初からビジネスモデルが変わり、資金繰りに影響していることをどう説明するのか?
方向性が定まらないまま時間だけが過ぎていきました。
稟議書けません
もし追加出資に応じるのであれば、A社への関わり方も検討すべきです。
単純に純投資であれば、銀行として意義がなく、やはり事業上のシナジーを想定した投資を前提とすべきである、という方向性は固まっていました。
ただ、その場合、アーリーステージの会社に対する理解も高めなければ、A社の事業の芽を潰してしまう可能性も高そう、とは思いつつ、その覚悟もなく、どうしましょう… という状況。
そんな中、「とりあえず、どうにか追加出資の稟議を書いてみて」という上司からの指示が。
え!?うーん… いや、でも…(心の中でもやもやが広がりました)。
たぶん、顔全体に抑えきれない感情が込み上げていたと思います。
そもそもA社への関わり方を明確にし、追加出資後の体制も検討することがセットになるはず。
そのことをおざなりにして、とりあえず追加出資をする稟議を書くのはさすがに決裁権限を持たない単なる担当者といえども無責任すぎるように思いました。
悩んだ結果、私は、今後のA社への対応方針を明確にした上で稟議の準備をしたいと上司に改めて相談してみました。
ですが、「いや、とにかく稟議の準備を」という上司との平行線を数時間繰り返した挙句、納得がいかなかった私はとうとう言ってしまったのです。
「今後の方針がわからないまま稟議は書けません」
結果、消えた会社
反抗的な態度の担当者(私)に困った上司は、もともと担当していた先輩に稟議を任せたものの、内容に疑問を持った他部署からの指摘も受けて、対応方針方針が定まらないまま、時間だけが経過しました。
そして、様々な事情が重なり、出資から撤退。
A社は清算。世の中から会社が消えたのです。
もっとしっかりと、アーリーステージのスタートアップの生き残りをかけた日々の経営や、そして、彼らに対しての向き合い方をしっかりと理解した上で、付き合う(出資する)べきだったと思います。
もし、ビジネスモデルが定まっていない状態を許容できないのであれば、最初から関わるべきではなかったのだと今でも思います。
出資に関しては失敗となりました。
ただ、現地での1ヶ月が私にとっては非常に楽しく、ワクワクするものであったことが、もしかすると今、スタートアップで働くことに繋がっているのかもしれません。
「スタートアップで働く」に興味ある方、ぜひMeetyでもコンタクト頂けると嬉しいです!