My読書①「はじめてカウンセリングを学ぶときに」
「すみません。最近のビジネス書だったら、どの本がおすすめですか?」
何年か前に新宿の紀伊国屋書店で突然、見知らぬ人から話しかけられました。たぶん、30分近く、真剣に?いろんな本を選んでたからかもしれませんが。
とはいえ、いきなり言われて、そして知らない人に(20~30前半ぐらい)何をどう薦めていいかわからず・・・
「自分にぐっとくるタイトルがあったら、それもいいんじゃないでしょうか」
と、まったく答えにならない、答えを返してしまったことを今でも思い出します。
その反省を踏まえ、
今日は、もう少しきちんと薦められるように紹介します。
「技芸としてのカウンセリング入門」
カウンセリングを始めて勉強するときに、テキストとは別にオススメしたい本です。この本を選んだ理由は、理論や技法よりも「そもそもカウンセリングってどんなもの」を理解しやすいと思ったからです。
「カウンセリングはアート」
この言葉は、企業の経営相談に通ずるところもあって、グッと心に入ってきました。
そう、アートなんです。
最初の数ページを読んだだけでも、次のようなカウンセリングの実態をつかむポイントが飛び込んできます。
・カウンセリングは、端的に言って、音楽や演劇やお笑いなどのパフォーミング・アートの一種だと考えています。
・人の苦悩を和らげるうえで重要な心理学的原理を科学的に正しく理解していることと、その原理を面接の中で実際に実践できることとは、まったく別のことだからです。
・カウンセリングは単に知的なものではなくて、むしろ非常に体験的なものなのです。
カウンセリングを修得することを、音楽の修得とよく似ている、という例えもわかりやすい。つまり、こう演奏するとわかっていても、実際に身体を使って、そう演奏できるようになることが大切。
カウンセリングを最初に習うときに、テキストで「こうあるべき」という原則論のようなものを学びます。まずは、何事も原則は大切ですが、すべてを教科書的に解決できないことも少しずつ気づいていきます。
そんなときに、次の言葉は、変に「カウンセリングとはこうあるべき」という枠組みをつくらないようにするうえでのヒントになります。
「カウンセリングとは何か」という問いは、ある意味で些末な問いです。極論すれば、クライエントがより生き生きと豊かに援助できるのなら、何をしたっていいのです。
「カウンセリングとはこうするもの」と自分を固く縛ると、支援の関わりを狭めてしまう可能性があることを感じます。
もう一つは、筆者の「カウンセリングの本質は、楽しいものだ」という率直な表現も好きです。
カウンセリングを実践していて、クライエントのことが少しでもよく理解できると、とてもうれしいですし、楽しいです。カウンセリングでの関わりを通して、クライエントに笑顔が増え、生き生きした表情が出てくると、とてもうれしいです。
カウンセリングに関わる人の中には「カウンセリングは、人の深い悩みを聴く、しんどいもの」と考える人もいます。
確かに、深い話を聴くことの大変さはありますが、それ以上に、クライエントさんが、「生きやすくなった」と思ってくれると、本当にうれしいものですね。
「カウンセリングは楽しいもの」
なかなか、他の本では出てくる言葉ではありませんが、自分も誰かに聞かれたときには素直に答えたい言葉です。