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自由で孤独な社会の生き方——東畑開人『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』
東畑開人(2022)『なんでも見つかる夜に、こころだけが見つからない』新潮社
を読みました。
概要は次の通りです。
概要
カウンセリングルームに通う2人の男女。
それぞれが過去に傷を負い、現実に悩んでいる。
どのような家庭環境ゆえに、どのような価値観になったのか。
どのような価値観ゆえに、現在の悩みがあるのか。
仕事をしながら暮らす社会人2人のリアルな物語が、小説のようだがあくまでも現実に即したストーリーで展開されるので、共感しながら読んでいける。
しかも、悩みながら日常を送る彼らをカウンセラーの視点から分析しているので、心理学的な視点を自然と学ぶことができる。
小説と心理学。
どちらも一挙に楽しむことができる本だった。
▼以下は、大好きな言葉の引用です。
幸福とは何か。
複雑な現実をできるだけ複雑に生きることである。
感想
人はみんな、平然と日常を送っているように見える。
でも、よく見ると違う。
誰しもが、過去の経験から自分の価値観を形成していて、それゆえの悩みをもっている。
自由になった社会では、のびのびと暮らせる反面、何が正解かという実感が得られないので不安にもなります。
過去と社会。
二重の悩みをもった個人が関わり合うから、四重にもそれ以上にも悩みは複雑になっていく。
幸福とは何か。
複雑な現実をできるだけ複雑に生きることである。
だからこそ、上記の結論には深く納得させられます。
他にも、東畑さんが提唱する「『も』の思想」も素敵だと思いました。
頑張りたいことがある。
でも頑張り切れないこともある。
やりたいことがある。
でも現実的にやらなきゃいけないこともある。
複雑の四重奏。
自由の代償としての責任。
複雑だけど、だからダメなんてことはない。
複雑なまま生きていく。
それでいいんだと思わさてくれた作品でした✨
↑ この本はAudibleも活用して読み切りました!!