
的はずれ読書録#1
本の感想を書きたい。でもネタバレはイヤ。
じゃあ、ひたすら一面的な感想を書こう。
ということで、本筋を大きく逸れた感想を書くという試みです。
#1『午前零時のサンドリヨン』相沢沙呼
議題:探偵ヒロインが焦らしてくる
ミステリ好きにとって謎解きは、運動後に飲む水みたいなもので、その爽快感を渇望しながら僕たち読者はページをめくっていく。自分であれやこれやと推論しつつも、いずれやってくる謎解きを今か今かと心待ちにしているものだ。
だが、本作の探偵ヒロイン(お初ちゃん)は一筋縄ではいかない。マジシャンとしては見事な演技を披露するくせに、学校では内向的で心を閉ざしがち。それは人間関係がこじれた事件に対しても同じで、「私が解いてもいいのかな」「私じゃ役に立てない」なんて悩む。こんなの読み手にとってはたまったもんじゃない。ただでさえ早く謎を解いてほしいのに、お初ちゃんにも一歩踏み出してほしい。その二重苦に苛まれた結果どうなるか。「きっとできるよ、お初ちゃあああん!」である。「勇気を出して! 謎解きしようよ!」そうして華麗に謎が解かれると、二重苦の反動で満足感は倍増。さぁ次の話を読もう、とこうである。謎解きを焦らす、というのはちょっとしたテクニックなのかもしれないと学んだ一冊だった。
ところで、相沢先生がマジシャン(マジック好き?)と初めて知った次第。『medium』の城塚翡翠にも通じるものがあるなと腑に落ちた。相沢先生が描かれるミステリアスなヒロインってほんっとに魅力的ですよね!
以上、的はずれ読書録でした。
あくまで一面的な感想としてお読みください。
また気が向いたら#2を書いてみます。