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風が吹いたら/池部良
昨日からこの本を読んでいる。
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きっかけは、1月半ば頃に、急に私の中で高倉健ブームが起きて、
まず最初に「夜叉」を観た後に、
「昭和残侠伝」シリーズを通してみることに。
「夜叉」は2度目だが、「昭和残侠伝」は初めて観た。
昭和残侠伝は、ヒット作を擦りに擦った感じのシリーズでもう展開がお決まりすぎて、最早様式美を感じた。
こういう予定調和的なエンタメ作品も昭和を感じるものだよなぁ。
起承転結はっきりしてて分かりやすく悪役が成敗される感じ。雛形。
ここで、高倉健の相棒的な役割なのが池部良演じる風間という人で、この人なんかいいなぁ、と思った。、
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昔の映画は、役者さんもナチュラルに見知った人(意識しなくとも、現行のドラマや映画等で自然に目に入り見知ることになる役者さんたち)はあまりいなくて、
その都度出演してる役者さんについてウィキペディアで補足しながら観ることが多い。
まれに、今でも活躍してる役者さんで顔の変化が少なめな顔立ちの人なら、
「あ、この人はフラガールで蒼井優のお母さん役で出てたな🤔」とかはわかる。
(ちなみに藤純子さんがそうでした。
今は改名して富司純子さん)
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緋牡丹博徒シリーズでは、堅気ではない役だからそのイメージも強いけど、
昭和残侠伝の中では堅気のお嬢さんの役柄でおぼこくてとても可憐な演技。
全然違うイメージの役柄で出演していた。
で、話は戻るけど、ウィキペディアで池部良さんについて見ていたら、随筆家としても評価が高いことを知った。
へー、この人がどんな随筆を書いているのだろう、と興味を持ったので注文してみた。
それが、「風が吹いたら」という本なのだけれど、正直、昭和残侠伝を見終わって少し熱が冷めた頃に届いたから、はまり込めるかな?という不安はあったものの、思った以上に面白くて無事まんまとハマりこんで、楽しく読み進んでいる。
24歳で兵役に行っていて、役者の仕事は大学在学中から仕込んでいて卒業と同時に始めていたようだから、兵役中にもファンレターが届いていたみたいで、
でも勿論当時の兵隊の現場なんてブラック中のブラックな場所だから、
「軍隊に女は必要ない」と
ファンレターなんか焼き払えと言われ、泣く泣く自身の手で焼くしかなかったことなども記されている。
あとは、私的には昭和残侠伝で初めて意識した役者さんだけど、
元々は任侠モノではなく文芸モノによく出ていたみたいで、昭和残侠伝への出演は親類から顰蹙を買ったり(ちなみに、池部良さんの従兄弟には岡本太郎がいる)
母親からは、
「のんびり育ったあんたにそんなおっかない役できるの?」などと言われたそう。
映画としては、個人的な好みを言えば、
任侠モノは別に好きではなくて、文芸モノの方が好みではあるので嬉しいところ。
(ただ昭和残侠伝等、高倉健の任侠モノを10作も立て続けに観たから、楽しみ方も何となく分かってきて、任侠モノもこれからは観れるようになるかもしれない。分かりやすく頭を使わないエンターテイメント、予定調和的様式美を楽しみたいときには良いのかも)
出演作に「雪国」があって、それなら岩下志麻が出ていたから観てるな、でもこんな人出てたか覚えてないな…と思ったら、
「雪国」は複数の映画化作品があるらしく、違うバージョンのものだった。
岩下志麻出演の「雪国」1965年
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池部良出演「雪国」1957
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何れにしろ、「雪国」は芸子さん?が出てきて、女優さんの和装姿もたっぷりと堪能できる作品だから、どのバージョンも興味ある。
雪深い情景と和装の組み合わせは何とも大好きなので、どんな役者さんが出ているかに関わらず全シリーズ観てみたいとも思う。
好きになった池部良さんが、文芸モノを得意としてきた役者さんだったのは、これは幸いで彼の出演をきっかけに色んな文芸作品を観ていきたいと思う。、楽しみ!
随筆の方は、思春期を戦前に過ごしているということで、戦前の文化に興味がある私としてはかなり面白い!!!!
この本の影響で、森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」も注文した。
色んな興味を広げてくれる池部良さん、
ありがたい存在。好きになって良かった!