本を読む
いつの間にか本を読むことは難しいことだと思うようになっていた。
国語の授業のように文字を、文章を追って、読解力を必要として、理解ができなければ楽しめないものと思っていた。
読後は夏休みの宿題の読書感想文がしっかり書けるような感性がなければいけないと思っていた。
大人になってちゃんとした読書も出来ないこと、してきていないことを恥ずかしいと心のどこかで思っていたが、ちゃんと理解出来ないかもしれない怖さから、忙しくてねと言ってただ逃げていただけなのかもしれない。
小さな頃、絵本を読むのが好きだった。
小学生の頃、教科書を音読するのが好きだった。
登場人物の気持ちになりきるのが好きだった。
そんな気持ちで触れられればいいじゃないか。
もっと気楽に素直に自由に本と向き合ってみよう。気負う必要なんてないな、と思うようにしてみた。
共感だけが面白さの全てではない。
そう教えてくれる人がいた。
わからなかったとしても、そこに触れることで、自分とは違う考えもあると知って、またそれについて考えることを楽しめばいい。
そういえば私は考えることが好きだったと思い出した。
そう思って家にある文庫本を開いたら、いつもより文字が大きくなったような気がした。
少し本が読みやすくなった。
少し本と仲良くなった気がした。
久しぶりに本屋に行った。
なんだかとてもわくわくした。
宝物がいっぱいあるような気持ちになった。
世の中にはたくさんの本がある。
まだまだ世の中を楽しめる。
作者が時間を超えて繋いでくれる物語を
今はもっともっと楽しんでみたい。
ありがとう。