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マリインスキー・バレエ団所属の石井久美子さんによる「胸椎伸展」ワークショップに参加した感想


ロシアの名門マリインスキー・バレエ団に日本人で初めて入団した石井久美子さんと主婦と生活者が開催した胸椎伸展のワークショップに参加してきました😆

実は以前石井久美子さんと高橋琴音さんのグループレッスンに参加したことがありまして、とても良かったので本当はレビューを書きたかったのですが、そこで教えて頂いたストレッチは久美子さんのプロとしての探求が凝縮されたかなりピンポイントな内容でした。効果は抜群で感動しましたが、さすがに私がバラすわけにもいかないため詳細は書けませんでした。
今回のワークショップはバレエを知らない人も対象にした簡単なイベント形式とはいえ、とても学びがあって楽しかったのでレポートを書いてみようと思います😊

主婦と生活社「胸椎伸展 10分寝るだけストレッチ」について

主婦と生活社から出版された「胸椎伸展 10分寝るだけストレッチ」は石井久美子さんによる初の著書です。腰痛や猫背に悩む現代の私たちに胸椎を伸展させて体の調子を取り戻していく方法が書かれており、読み応えがあります。
久美子さんの美しいお手本写真だけでなく、思わず笑ってしまうような可愛いイラストや、うんうん頷きたくなるような体験者のエピソードもふんだんに盛り込まれており、体の不調に悩むすべての人にお勧めしたい一冊です😊

石井久美子さんによる「胸椎伸展」ワークショップについて

ワークショップの定員は各回100名という通常のグループレッスンよりも多めでしたが、久美子さんのクラスはSNSやYoutube等でもファンが多いので絶対にすぐ埋まるだろうと思って予約開始時刻にパソコンにかじりついて予約しましたが、やはり満席だったみたいで参加できて本当によかったです。

通常のグループレッスンが1時間なのに対して今回はそもそもの時間設定が40分かつ最初にスモールトークもあったので「なんか短そうだな」と始まる前からしょんぼりしていましたが、とんでもなかったです😂

最初に久美子さんが「私のインスタとか見てる人いる?」と会場に聞いたところ全員が挙手したということもあり「じゃぁ今日は普段のレッスン風に行くねっ😉」と言ってくれ、参加者全員の熱気が高まりました。
そのまま胸椎伸展の方法を説明して下さり、久美子さんだけでなく講師の高橋琴音さんもお手本を見せて下さり、いざ参加者が10分だけ胸椎伸展を行うことになったのですが、楽々出来ている参加者もいれば激痛に悶えている参加者もいました。ちなみに私は割と体が柔らかい方という自信があったのですが、痛すぎて終わった後はすぐに起き上がれませんでした。体が硬い人にはもちろん、ある程度の柔らかさがある人にも効果があることはよく分かりました😂

ちなみに通常の久美子さんのワークショップでは名前を書くゼッケンが必須で、今回もゼッケンシールのようなものを渡されてそこに名前を書き、ワークショップでは久美子さんが参加者の名前を呼びながら鼓舞していたのが印象的でした。
やはり人間にとって自分の名前は大事なものなので、自分の名前を呼んで「◯◯さん頑張って!」と激励してもらえるとやる気もアップします。ただ技術を伝授するだけでなく、相手の名前を呼びながら親しみを込めて激励する様子を見て、これはみんな久美子先生のファンになるなと思いました。

そして「頑張って」という応援だけでなく、「痛いですか?痛いですよね?ストレッチなんか痛いんだから頑張って😆」というもはや拷問のようにしか思えない激励も飛び、あっという間に10分が立ってしまいました。
胸椎伸展は普段猫背気味に内巻きになっている体を矯正するような役割もあるので、私を含め10分のストレッチが終わった後は起き上がるのもやっとという人も多かったです。しかし久美子さんの号令通りにその後寝そべってみると背中がペターっと床に付くような感覚があり、痛かったですがこれだけ凝っていたんだなと効果を感じました。

また今回は胸椎伸展だけでなく、本にも紹介されている肩のストレッチも一緒に行ったのですが、ここでも肩を壊さないように「手がピリピリしてきたら必ず止めてください」と細かく注意しながら進められました。私はあまりにも肩が動かすことが出来ず、またしても自分の柔軟性があるという自信は打ち砕かれました😂

ちなみに久美子式の肩のストレッチは久美子さんの94才のおばあさまも毎日行っているそうで、かなり肩の可動域が広くなり健康維持にも役立っているそうです。そして久美子さんはこの肩のストレッチを幼少期から毎日100回やったそうです。
YouTubeを見ると石井姉妹はかなり仲が良さそうですが、兄弟姉妹だけでなく、親御さん、お祖母様、家族全員で仲良しなんだなと感じました。

このワークショップは書籍やYouTubeなどで久美子さんを知ったファン達だけでなく、きっと日頃から久美子さんのレッスンに参加しているであろうバレエ少女達も参加していました。
「バレエ組いいよー!頑張って!頑張って!」とメインの顧客層であるバレエキッズ達を鼓舞するだけでなく、「このストレッチ出来ないときちんと体が伸びずにダサい白鳥になるよ?これが出来なかったら白鳥踊れないからね!」とバレエにどう生かすかというイメージも交えながら必要性を訴えていたのが印象的でした。キッズだけでなく、最近は大人リーナも増えてきており、バレエをやる人なら誰もが憧れる白鳥を使って説明するとは、なかなか分かりやすく言語化する方だなと思いました。

主婦と生活社 企画担当の萩原曜子さんのエピソード

今回のイベントは「主婦と生活社」という出版社が運営していることもあり、まず胸椎伸展のワークショップ前に担当編集者の萩原曜子さんが登壇されたのですが、萩原さんのお話がとても面白かったです。萩原さんによると胸椎伸展はご自身も毎日行っているそうですが、最初は痛すぎて10分なんてとんでもないと思ったくらい痛かったそうです。更年期で眠りが浅くなって困っていた時期に胸椎伸展に出会って毎日行うようにしたら、眠りに変化が出たり姿勢が変わってきたりと良いことづくめの実体験を教えてくださり、会場も興味津々でした。

ちなみにこの本の企画は最初別の内容で久美子さんに打診したそうですが「それじゃ全然ダメ」ということで企画を練り直し、妹の石井菜々子さんのアイデアで「胸椎伸展」がテーマになったことなど色々なエピソードが聞けて面白かったです。

マリインスキーバレエ団の来日公演で久美子さんの舞台を見た感想

せっかくなので、10年越しではありますが私が2015年にマリインスキーバレエ団の来日公演で石井久美子さんの舞台を見た時の感想をお話ししたいと思います。

私が見たのはヴィクトリア・テリョーシキナとウラジーミル・シクリャーロフが主演した「愛の伝説」で、久美子さんは確かシリンの3人の友人役で出演していました。実は久美子さんと一緒に友人を演じていたクセーニア・オストレイコフスカヤが大好きで、最初は生で見るクセニヤに感動していました。ふとクセニアの横を見るとめっちゃニコニコで楽しそうに踊っているダンサーがいて、それが久美子さんでした。あまりにも楽しそうで生き生きとしており、この方は踊ること、そしてバレエを心から愛しているんだなと思った記憶があります。

久美子さんは本当にロシア人の中にいてもアジア人がいると気づかないくらいスタイルが良いです。客席から見ていると通常日本人ダンサーとロシア人ダンサーの体格差はハッキリしており、基本的にかなり劣ります。
なので日本のバレエダンサーはロシア人のように身体的な美しさで魅了することが厳しいため、通常それ以上の何かがないとバレエ界で活躍することは厳しいでしょう。ですが久美子さんは元々のスタイルが恵まれていることもありますが、たゆまぬ努力で身体的な美しさをキープし、観客を魅了し続けています。立っているだけで観客を魅了できるような身体性の美しさを持つ残念ながらまだ日本人ダンサーはほとんどおらず、久美子さん以外では永久メイさん、直塚美穂さんや森本晃介さんなどごく少数でしょう。この美しさも彼女の才能の一つだと思います。

また久美子さんはマリインスキーに日本人として初めて入るだけの美しさとバレエの高い実力を持つだけでなく、言語化能力やコミュニケーション能力もかなり高い方だと思っています。
例えば、どこに気をつければもっと上手に踊れるかというコツの言語化についてはグループレッスンでもかなり細かく説明してくださいましたし、先日公開された直塚美穂さんとのレッスンビデオにおいてもその能力の高さが伺えます。

以前グループレッスンに参加した際に「マリインスキーの来日公演行きました」というお話をしたところ、「どの公演に行きましたか?」などこちらの話にも興味を持って会話のキャッチボールを成立させており、会話能力も高い方だなという印象を受けました。シリンの友人を楽しそうに踊っていたことが印象的だったことをお伝えしたら「楽しそうに踊るの得意なんで!」と仰っており、まさかのあれは演技だったんかい😂
同じ場所にいた高橋琴音さんも「私もその公演行きました」と会話に参加してくださり、ちょっとしたスモールトークが弾んだのが嬉しかったです😊

色々なダンサーによるワークショップに参加しましたが、彼女の言語化能力とコミュニケーション力の高さは日本バレエ界では類を見ないと思います。無駄なくピンポイントにハッキリとお話しされるため、日本では周りに色々言われることもあるかもしれませんが、何より分かりやすいですし説得力があります(時々「こんなに言って大丈夫??」と心配になることもありますが😅)
おそらく日本バレエ界の中で、指導者としてトップレベルの成功を誇るので周りからの嫉妬も凄いと思いますが、これだけ人気の理由は彼女のクラスに参加すればすぐに分かるはずです。もしマリインスキーに復帰されたら、しばらくは指導からは離れてしまうかもしれませんが、また数十年後に戻ってきてくださることを信じています。
まずは久美子さんの明るい踊りが大好きな1ファンとして、マリインスキー復帰が叶うことを心から願っています。

久美子さんの愛弟子について(高橋琴音さん、直塚美穂さん)

初期からグループレッスンのアシスタントに入っている高橋琴音さんは最初妹さんなのかなと思っていましたが、久美子さんによると昔からの幼馴染だそうです。小さな頃から「痛い」と泣きながら強烈な柔軟体操を一緒にされたというお話をグループレッスンで聞き、久美子さんのスパルタ指導は昔からなんだなと思った記憶があります😂
胸椎伸展についてもかなりのトレーニングを積まれた方で、お手本を見せてくださったときに上半身が後ろにクニョーンと反っていたことが印象的でした。おっとりしていて感じが良くて、久美子さんの激励で痛みに悶えている時に高橋さんに励ましてもらえると元気が出ます。

ロシアで長年バレエダンサーとして活躍し、現在新国立劇場バレエ団でソリストとして活躍する直塚美穂さんは非常に体が柔らかい方で、足だけでなく上半身のしなり具合がいつ見ても美しいです。久美子さんが胸椎や肩がきちんと使えないと美しい白鳥のポーズは取れないというお話をワークショップ中にしていましたが、私はそれを聞きながら直塚さんの美しい上半身の反り具合を思い出していました。
私は「胸椎伸展」の書籍を手に入れてから、必死に胸椎伸展を毎日やるようになりましたが、いつかこのような美しいポーズを取れるようになりたいと思いました。

余談ですが以前久美子さんのグループレッスンに参加したとき、ロシアのバレリーナやバレエ学校の生徒が異次元の美しさを出すためにどれだけの努力をしているかというお話をしてくれたことを思い出しました。久美子さんも、直塚さんも、高橋さんも全員非常に柔軟性が高く、元々の土台が違うからだと思っていましたが、工夫を重ねた尋常じゃない努力があったからこそ今の美しさがあるのだと思います。
そしてその美しさの源の一つである胸椎伸展を書籍という分かりやすい形で私たちに広めてくださり、本当に感謝です。

熊川哲也さんの後継者は彼女ではないか

色々と話が脱線しましたが、私は世の中で一番尊敬されるべきは仕事を生み出し、他者を雇用する人だと思っていて、久美子さんはそれを実践しバレエの価値を上げ続けている方です。なので私は久美子さんをダンサーとしてだけでなくビジネスウーマンとしても尊敬しています。
日本バレエ界においてバレエをビジネスとしてきちんと成り立たせ、他者を雇用し、バレエの価値を上げ続けているのは熊川哲也さんと石井久美子さんだと思うからです。 私はよく熊川さんの後継者は誰だろうと考えますが、上記のことを鑑みると間違いなく熊川氏の後継者は久美子さんであり、彼女は誰よりもバレエへの愛を持った人だと思います

特に日本のバレエダンサーは何年経っても親の援助を受けてる人が多い中、バレエをビジネスとして成り立たせて、教師やスタッフに給料を出しているのは凄いことです。久美子さんは誰よりもバレエへの愛を持ってバレエの価値を上げ続け、生徒にあの値段に納得させてくれるレッスンを提供してくれ、沢山のスタッフ達の生活を成り立たせています。

そんな彼女の素晴らしさが、今回の書籍を通じて色々な人に伝わり、もっと多くの人が胸椎伸展とバレエに興味持ってもらえたらと思います。

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