バレエ感想㉗「ドン・キホーテ」新国立劇場バレエ団 10/20 米沢唯/速水渉悟ペア
新国立劇場バレエ団の新シーズンである2023/2024シーズンが開幕しました!初日の主役は新プリンシパルの速水渉悟さんと人気プリンシパルの米沢唯さん!チケットはなんと完売でキャンセル待ちとなるくらい人気です。速水さん絶好調で、お得意のジュテや回転をを沢山見せてくださいました。米沢唯さんもとても可愛くて、街の人気者という感じです。初日から圧巻のペアでした。
今回の舞台で感じたのが新国立の層の厚さ。プリンシパル達も凄いのですが、キャラクテールが本当に凄いです。
まず人気ダンサーの福田圭吾さんは今回サンチョパンサ役だったのですが、ちょこまか動き回る様子がとてもいたずらっ子みたいで、周りが怒る気持ちがよくわかりましたw
恒例の胴上げシーンでは、上に飛ばされる時にひねりを入れたり、宙返りを入れたり、見せ場となるアクロバットを入れており、観客は圭吾さんが空中でアクロバットを決めるたびに拍手喝采でした。どんな一瞬でも最大限に魅力をアピールして、観客を引き込むのはさすがベテランソリストと感じました。
次に、プリンシパルの奥村康祐さん。彼のポジションと実力ならバジルやエスパーダが相応なのに、なぜかガマーシュ役です!新国立のキャスティング担当にバカヤロウと言いたいのは置いておいて、このガマーシュが奥村さんが演じると本当に魅力的です。観客の人気も凄く、出てきた瞬間拍手喝采です。すごい人気です。
おそらく奥村さん自身が持つものだと思いますが、ガマーシュ役なので変なメイクをしており、バカっぽさも出しているのですが、品の良さがあり、貴族のオーラがものすごく出ていました。キトリ…絶対奥村ガマーシュと結婚した方が将来落ち着いてそうだし、安泰だぞ…と思ったのは私だけじゃないはずですw(バレエの世界に現代社会の考えは通用しませんからね)
そしてキトリの父親ロレンツォ役の中島駿野さんは、出てきた瞬間怖そうなラテン親父のオーラ満載で一瞬誰だか分からなかったです。誰だあの怖そうなオッサンは?と思いましたが、キャスト表見てみると中島さんでビックリ!ええ、あのプティみたいな素敵なコッペリウスを演じてた中島さんが、こんな怖そうなラテン親父に変身してる!その変身っぷりが凄いです。中島さんが凄いなと思ったのが、見た目の変化もですが、ロレンツォという役柄は娘キトリを貴族のガマーシュと結婚させたいので、ガマーシュへのアピールが凄いです。
中島ロレンツォは常にガマーシュへのゴマスリを欠かさず、娘キトリにももっとガマーシュへアピールするように強要し、目線を離しません。みんなで踊ってる時もずっとガマーシュを見て、ガマーシュに気に入ってもらえるよう裏で沢山気を遣っていました。本当に頑張ってましたし、その執着っぷりがすごかったです。
木下嘉人さんは出てきた瞬間、圧倒的な主役感とスターオーラがすごかったです。ダンディで外国人みたいな風貌ということもあり、めちゃくちゃ目立っていました。木下さんの色気に比べたらバジルなんてまだまだお子様です。そのくらい色っぽいです。雰囲気だけでなく、動きの一つ一つが超カッコよかったです。
闘牛士軍団は新国立劇場バレエ団が誇るイケメンダンサー達が出演されていますが、1人だけものすごく生き生きと踊っていたのが森本亮介さん。以前はハンガリーで踊られていたみたいですが、リズムや音の取り方の大きさが周りと比較できないくらい凄かったです。ドン・キホーテはスペイン風のポーズや動きが多いのですが、周りはみんな手や顎だけを動かしてリズムを表現しており、リズムは取れているのですが、客席から見ると正直躍動感には欠けます。しかし森本さんだけは腰から?腹から?とにかく体の中心から力強く動いており、キトリの友人達と踊る際など、1人だけ動きが本当に大きて素晴らしかったです。もちろん、コールドなので動きや向きは周りと一緒です。しかし、体の使い方が全く違い、躍動感が凄いのです。最前列にいるということは、新国立の長身ダンサーの中では小柄な方なのかもしれませんが、そんなことを全く感じさせないくらい動きが格好良かったです。
あとお名前は存じ上げなかったのですが、1幕で客席から見て右手前の黒と緑のスカートの方、この方も本当に素敵でした。立役は他にもおり、みんな顔やら扇子やらを使って盛り上げるのですが、やはり硬かったです。ですが、右手前の方は本当に楽しそうでとても素敵でした。
なんと1幕の立ち役に五月女さんや直塚さんがいてビックリ!初日のボーナスなのか、人が足りないのか…?前者であることを祈ります。
ファジェーチェフ版のドンキは2幕に狂言自殺のシーンがあり、その後に夢の場があります。2幕は酒場なのですが、木下エスパーダの色気がひたすらヤバい!そして闘牛士軍団の森本亮介さん、相変わらず群を抜いて上手い!なぜこの人がファーストアーティストでコールド扱いなのか、理解に苦しみます。
ジプシーの大将役で中家正博さんが出てきたのですが、超ワイルドで大将感たっぷり。男性陣もバンバン踊っていてこの場面は見応えがありました。ドン・キホーテは実際に風車をつかんでるんじゃ無くて、人形なのでポーンと吹っ飛んでました。
夢の場は、見た瞬間あちゃーという感じ。もちろんみんな綺麗なのですが、吉田さん女王の貫禄ゼロです。若いからでしょうか。誰がどう見ても米沢唯さんが女王です。そして唯さんが踊る時の安定感が素晴らしく、とても軽やかで綺麗でした。
コールドにえらい上半身が綺麗な人がいるなと思ったらまさかの直塚美穂さん!え!1幕に続き2幕もコールド!?なぜソリストがコールドなんですか!?しかも出ずっぱり!新国立のシステムは本当に分からないです。
3幕はボレロのお二人がカッコ良い!男性の背がめちゃくちゃ高くて舞台映えしてました。こういう賑やかな音楽は聴いていてとても楽しいです。ファンダンゴは森本亮介さんが再び別格。周りと同じ動きをしているのに、リズムの取り方がめちゃくちゃうまくて、森本さんにばかり目が行きます。
私の最推しの直塚美穂さんはブライズメイド役だったのですが、登場した瞬間にびっくり!足ながっ!めっちゃ足が長いです!直塚さんがスタイルいいのは知っていましたが、今日ほどその長さを感じたことはありません。綺麗なだけでなく、スタイル抜群で、本当に素敵です。ヴァリエーションも優雅で軽やかで、本当に綺麗で、直塚さんのバレエが大好きです。
主役2人のグランパドドゥは劇場大盛り上がりでした。ヴァリエーションも素晴らしいのですが、コーダは圧巻でした。男女ともに米沢さん速水さん以上のテクニシャンはなかなかいないと思います。言葉に言い表せられないくらい凄かったです。
カーテンコールでは、ファジェーチェフも登場し、スタンディングオベーションでした。楽しかったです!
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