Kバレエ「眠れる森の美女」衣装デザイナーのアンゲリーナ・アトラギッチについて(セルビア出身)
アンゲリーナ・アトラギッチ
Kバレエ「眠れる森の美女」の衣装をデザインした、アンゲリーナ・アトラギッチはセルビア出身の世界的に有名な舞台衣装デザイナーです。Kバレエの衣装やセットはどれも美しく、いつも観客に夢を与えてくれますが、今回の衣装は特に可愛いと思いました。
アンゲリーナはセルビアのベオグラード芸術大学の舞台衣装学科を卒業し、現在はバレエを中心とした舞台衣装のデザインを数多く手掛けています。
アンゲリーナが教鞭を執るモンテネグロ大学のサイトに掲載されているプロフィールによると、1984年に活動を開始し、現在まで150以上のバレエ、オペラ、ドラマなどの衣装制作に関わっています。
2023年のKバレエ「眠れる森の美女」公演のプログラムに掲載されたインタビューでは約20年間は演劇の衣装に関わり、それからオペラ、そしてバレエ衣装と活動の幅を広げ、ここ10年以上はバレエの衣装のみデザインしていると語られています。
アンゲリーナの母国セルビア共和国について
アンゲリーナの出身地であるセルビアはヨーロッパの中心に位置する明光風靡な平和な国です。
セルビア出身の有名人といえば、テニスのノヴァク・ジョコヴィッチの知名度が抜群ですが、日本ではオリンピックでジャマイカの金メダリストのハンスル・パーチメント選手を救って話題となったストイコビッチ河島ティヤナさんも有名です。ティヤナさんはお父様がセルビア出身という、セルビアにルーツを持つ有名人です。
セルビアというと20年前のユーゴスラヴィア紛争のイメージを持っている方もいるかもしれませんが、実際はとても平和で治安はかなり良い国です。私自身も何度かセルビアに行きましたが、アジア人差別を感じたことはほぼなく、夜中に1人で歩いていても大丈夫なくらい平和です。また、東日本大震災の時はいち早く寄付をしてくれたり、非常な親日国でもあります。
ご飯もとても美味しく、日本人の口に合う味付けのものが多いです(ただし量は非常に多いです。日本人の私はセルビアでご飯を食べた時、前菜に出てきたハムとパンを見て、今日のメニューはオープンサンドと勘違いして全種類食べたら、その後大変なことに😂)
日本ではセルビアの知名度はまだ低いですが、綺麗な場所が沢山あり、おしゃべり好きで明るく、そして美男美女が非常に多いです。私はセルビア人の友人が周りに非常に多いのですが、全員高身長でスタイルが良く、本当に美しい人しかいないので、いつも会うたびに羨ましくなります😂
カフェが多く、新鮮な乳製品も多く、セルビアは本当に楽しく過ごせる国です。
なお、セルビアについてはセルビア大使館出身のスタッフが中心となって発信しているMy Serbiaに沢山の情報が記載されています。読み応えがある記事が沢山ありますので、ぜひ読んでみてください😄
Kバレエトウキョウ「眠れる森の美女」の衣装
Kバレエ25周年記念として熊川哲也さんが新制作された「眠れる森の美女」ではアンゲリーナによる衣装もかなり話題となりました。
熊川さんによる「古典的な「眠り」の衣装とは違ったものにしたい」というリクエストが観客をあっと驚かせる素晴らしいデザインの数々が生まれるきっかけとなりました。熊川版「眠り」は時の流れが通常の「眠り」とは違うのですが、衣装の時代設定はアンゲリーナによる提案が採用されたとのことです。
「ファッション通信」では現在「国や文化を超越し魅了する“バレエ”にフォーカス。舞台芸術におけるファッションの意義とは?」と言うタイトルでバレエの衣装についてフォーカスしており、そこにはKバレエの「眠れる森の美女」の衣装も登場しています。もちろん、プリンシパルの飯島望未さんだけでなく、デザイナーのアンゲリーナもインタビューを受けており、眠りの衣装について解説しています。
オーロラ姫のドレスは古典的ではなく、ファッションドレスのようにデザインされ、王子もその独自のキャラクター性を表せるように随所にデザインの工夫が見られます。特に王子の衣装については直接見た方であればわかると思うのですが、シーンによっては1人だけ異質で、とても目立つ色合いになっています。
Kバレエの眠れる森の美女は私が見た回は、日髙世菜さんと山本雅也さんの回、飯島望未さん、石橋奨也さんの回でしたが、カラボスの小林美奈さんも、リラのせいの成田紗弥さんや岩井優花さんもとても素敵で、青い鳥の吉田周平さん、宝石の堀内將平さんなど、ダンサーの皆様がさらにゴージャスに見えたことをよく覚えています。
「ファッション通信」はTverで1/20 23:59まで見逃し配信を行っているので、素敵なアンゲリーナのインタビューをぜひ沢山の人に見てほしいです。
Kバレエ眠りの衣装を実際に見て
Youtubeなどでミハイロフスキーバレエ団のラ・バヤデールや眠れる森の美女の映像を見て、なんて素敵な衣装なんだろうと思っていましたが、Kバレエの眠りの衣装もとても素敵でした。「ファッション通信」で沢山のデザイン画の美しさに感嘆するだけでなく、デザイン画通りの美しい世界が広がっており、今でも鮮明に覚えております。
アンゲリーナがデザインしたKバレエの衣装については全て素晴らしかったですが、個人的に1番印象に残ったのはKバレエのダンサー達の体型が貧相に見えなかったことです。ただでさえ手足が長い西洋人の体型に比べると日本人の体型は見劣りしますし、Kバレエは小柄なダンサーが非常に多いバレエ団です。よって通常の西洋人向けに作られたバレエの衣装を着ると、日本人の体格の悪さが目立ってしまい、さらに胴長短足に見えることが多い気がします。
この辺の調整は非常に難しく、有名なバレエ団の衣装であっても、西洋人が着れば格好いいかもしれませんが、東洋人が着ると足の短さ・体格の貧弱さが実は目立ってしまう衣装を平気で着せていることが多く、観客としてガッカリすることは多いです。
しかし、今回アンゲリーナがデザインした衣装は見た目が華やかで斬新なだけでなく、小柄なKバレエのダンサー達が綺麗に見えるようにデザインが工夫されており、とても素敵だと思いました。
これについてはアンゲリーナのデザインや工夫が優れていただけでなく、熊川監督をはじめ、Kバレエトウキョウのスタッフの皆様が入念にチェックをされたと思います。衣装で物語を表現するだけでなく、ダンサー達をいかに美しく素敵に見せるか、きちんと確認されたからこそ観客にもその美しさが届いたのだと思います。
アンゲリーナを選んで指名した熊川監督だけでなく、ダンサー達が美しく見えるように入念なチェックを欠かさなかったスタッフの皆様がきちんとした仕事をされていることがとてもよく伝わってきました。
セルゲイ・ポルーニン(Satori)
セルビア公共放送(RTS Program za dijasporu - Zvanični kanal)でアンゲリーナのインタビューが放送された際、ナチョ・ドゥアト版「眠れる森の美女」の衣装についてだけでなく、セルゲイ・ポルーニンのSatoriとのコラボについても紹介されていました。
この番組でセルゲイ・ポルーニンと監督のガブリエル・マルセル・デル・ヴェッキオがアンゲリーナについて語った部分をセルビア人の友人に訳してもらいました。
Satoriについて調べてみたところ、衣装デザインにアンゲリーナの名前があるので、おそらくSatoriの全ての衣装をデザインされたのかと思います。
ポルーニンやガブリエルが言っている「ナタリア」が当時のポルーニンの恋人のオシポワなのか、別のナタリアなのか非常に気になるところですが、セルビア語のニュアンスとしては、彼女ではなく友達・知り合いというニュアンスの単語が使われているらしいです。もしナタリア・オシポワがお勧めしてくれたのだとしたら、嬉しいんだけどなと思いました☺️
ミハイロフスキーバレエ団(眠り、バヤデール、白鳥)
アンゲリーナがデザインした舞台衣装は数多くありますが、中でも特に著名なものはロシアのミハイロフスキーバレエ団で使われているものです(ミハイロフスキーバレエ団は現在新国立劇場バレエ団ソリストである直塚美穂さんも以前踊っていたロシアの超名門バレエ団です)
アンゲリーナが以前デザインしたミハイロフスキーバレエ団の「眠れる森の美女」や「ラ・バヤデール」の衣装は動画で見ても本当に素晴らしく、いつかこの美しい衣装を着たダンサー達を日本でも見れたらとずっと願っていました。
こちらのミハイロフスキーバレエ団のサイトにナチョ・ドゥアト版「眠れる森の美女」の衣装を制作した時のエピソードや、衣装について詳しく解説されています。個人的にとても印象に残った一節はこちらです。
「私たちは幸せのために戦わねばならず、プリンセスであることは幸せであることを意味しない」とはなんと時代を先取りした言葉なんだろうと思います。アンゲリーナがデザインする数々の美しい衣装には、さまざまな想いが込められているのだと感じました。
最後に
アンゲリーナの出身国セルビアは何度か行ったことがありますが、治安が良く、明るい人が多く、食べ物も美味しくてとても素敵な国です。とても過ごしやすくて良い国なので、沢山の皆様がセルビアに興味を持ってくれると嬉しいです☺️
セルビアに関するご質問等ありましたら、ぜひコメント欄からどうぞ😄
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