ミライのキャリア#17 起業のケーススタディ・ホリデーインタビュー②起業編(5)
【えりな】
さて今回は前回に引き続き起業の実際編と題しまして、実際のケースをもとに起業について考えていきます。
この番組でお馴染みホリデーさんにインタビューをして法人の立ち上げに必要なものとか、あとは社長さんとして何を身につけて行ったのって言うことを聞いていっております。
それでは続きです。皆さんの気になっている、ちょっとリアルな起業の事情を聞いていきたいのですが大丈夫そうですか。
【ホリデー】
ドキドキです。
【Caol】
お金の話だよ。
資金調達は?実はしていない!
【えりな】
いろんな夢があったり、やりたいことがあったりしてもね、そのリアルな事情に阻まれている人も、いるんじゃないかと思います。早速なのですが、起業するにあたり、資金調達、いわゆるお金集めってどうやってやったんですか 。
【ホリデー】
なるほど、ですよね。
これはですね、僕が独立して元々得意なデザイン業をやることになったのですけど、このデザイン業っていうのが、すごくいいポイントがあるので、それは何かと言いますと 、仕入れが必要ない、持たなくていいというポイントがあるって言うところが、やっぱりこのデザイン業の素晴らしいところですね。
要は自分のスキルを売って、金をいただくっていうことをやっているので、何か商品を仕入れてそれを売るってなると、最初にどうしてもイニシャルコスト、資金っていうのも必要になり、その資金調達っていうところも、必要になってくると思うのですが、僕の場合はそこがその最初の方で売り物となる商品を仕入れるわけじゃなくて、それは自分の中にあるので、ということはですね、あの最初の資金調達っていうのがいらないって言うメリットありましたので、正直に言いますと資金調達はしていません 。自分の前職の退職金を使ったぐらいって感じですかね。
【えりな】
皆さん聞きました!資金調達していないんです。
それでも今すごい大事なことが中にあったなぁって思うんですが、まず会社を起こす起業をしようっていう風になると、莫大なお金が必要なのだろうなって思う方もいらっしゃると思うんですが、まず自分がやりたいことがどれくらいの資金が必要かを考えるところから始めた方がいいということですよね。
【ホリデー】
本当にそんなこと一言も言ってないけど、その通りで、そこまでほめてくれてありがとう。
例えば、その後に始めた飲食業を始める時には、やっぱりこうフードトラックの車体を買ったりとか、それの食材を買ったりとか、容器を買ったりとか、っていうところで、どうしてもイニシャルのコストが必要になってくるのですけど、デザインの場合はそれがないので、そこでも全然ビジネスモデルが違うところだなーっていうのは、また違う業種に手をかけてみたからこそ分かる部分だなーって、いうのは思います。
オフィスは?
【えりな】
色んな職業あると思うんですけど、今、聞いていて例えばですよ、何か商品を売る在庫が必要とか職業というかジャンル、あとは店舗とか事務所とかが必要なものもあるじゃないですか、それもいらないなんていう形式もあるわけじゃないですか。
【ホリデー】
そうだね。
【えりな】
それで行くとテナントとか事務所的なものはあるんですか。
【ホリデー】
デザインに関して言うと、一応コワーキングスペースみたいなところは借りているのだけど、それだけで、デザインの事業の方もスタッフが数人いるのだけども、そこもだいたいほとんどリモートワークですんでいるので、あまり固定費がかからないっていう状態で、事業を回すっていう状態を作り上げています。
【えりな】
本当に固定しているものが全然なくて、私が思っているよりもだいぶ持っている物とか必要なものを軽くして会社をやられているような。
固定費を下げることは大事な経営のポイント
【ホリデー】
そうだね。もう会社をやり始めて思ったのが毎月の固定費っていうのをね、そこに固定費が発生するようなものがあると、それを毎月こうちゃんとこう払っていけないという、払えないと会社が倒産するっていうことになるのだけど、なので、やっぱりお金、固定費を下げることは大事な経営のポイントだなっていうのは、もうそれはそれは痛切に感じています。
【えりな】
大事そう。これは想像なんですけど、会社起こすとなったら、あれ必要これ必要って思って、実はいらなかったとか、いらないっていうものも、今の時代はよりありそうですね。
ここの何を調達しなきゃいけないのかっていう取捨選択みたいなところが、起業する人の、もしかしたら第一関門なのかなーなんて 思いながら聞いております。
じゃあちょっと次の質問につなげたいんですが、何が必要かっていうのを吟味して、必要なものもあると思うんですよ。その経営に必要ないろんなリソースはどうやって確保しましたか。
リソースの確保?
【ホリデー】
あのリソースっても色々あると思っていて、まっさきに資金調達っていうお金のことも大きなリソースですし、あと人的リソース、スタッフですね。
今は社員が数名いるんですけども、社員もですね。前回に引き続きですが、しかたなく、社員にしたというところがあります。
【えりな】
前回から出てきている仕方なくですね。
【ホリデー】
もともと僕は社員を雇うなんて、大それた事を全くやりたいと思ってなかったです。大手広告代理店からその次のベンチャーみたいなとこに行って、そこでまあ結構経営が立ち行かなくなり、本当に結構ひどい状態になっていたので、その時に同じその会社で働いていたクリエイティブ系のスタッフが数名いたんですけど、この会社からあまりに酷い状態になっていたので、ここには置いておけないなと思って、半ばなんて言うか義理と人情みたいな形でその人たちを引き連れて、自分の会社を作ったみたいなところがあるので、もともとこの人と仕事をしている会社を作りたいっていうことではなしに、この人たちをこのままひどい環境に置いておけないみたいなところがあって、社員にしてみた、というところで、どういうところでリソースを確保したかっていうところで言うと、義理と人情でみたいなことです。【えりな】
Caol先生、前回に引き続きです、ここもまた前に仕事をしていた大手広告代理店に居たっていうつながりだったりだとか、運やタイミングが絡んできたりっていうのが、ここにも見えているんですが、いかがですか。
バックオフィスの話・社長にはマルチタスクが必要
【Caol】
まったくもってその通りだと思います。そこで思いついた質問。
デザインクリエイティブスタッフは確保できて人的なリソースは確保できたというのは、よく分かったんですけども、ついつい素人が会社を作るとなると事務は?経理は?という会社を回すようなスタッフ、あるいは外部委託するのも含めて会社を回す人、委託先というのは、サクッと見つかりました?
【ホリデー】
今の話は会社の中で言うとバックオフィスの話ですね。まず立ち上げた瞬間はですね、そんな充実した組織みたいなのっていうのは、まあ今でもそうなのですけど、できるはずないので、そこはですね、社長が全部やるのがひとつの答えですね。
周りにそういうことが得意な人間がいる、もしくは最初から資金がめちゃくちゃを豊富だし、やろうとしている事業がそこそこ大きい事業で、もう最初から組織を組んで行かないとまわっていかない、っていうのだったら別ですけど、だいたいそんな会社ってそんなになくって、最初はスモールスタートだと思うんですね。
そんな時はもうほとんどの場合が社長が全部バックオフィスやるって言う風に思っていいです。もちろん社労士税理士さんだったり、士業の先生達に手伝ってもらうってことはあります。絶対そうした方がいいっていうふうに思うんですが、それ以外の業務っていうのは今でも僕は自分でやっています 。
【えりな】
マルチタスク社長さんじゃないですか。
【ホリデー】
もう多分ね社長はマルチタスクにならざるを得ない。それはもうそれを覚悟してやらないと絶対に会社立ち上げられないなと思います。
【えりな】
すごい社長さんて、いかに人を使うかっていう印象が強いですけど、まずいかに人を使うかになるまでは、自分で一生懸命いろんなことをやらなきゃいけないっていう。
【ホリデー】
まず社長は、デザイン会社だとすると、デザインも出来なくちゃいけない、営業もできなくちゃいけない、お金の計算もしなくちゃいけない、お金の交渉もしなくてはいけない、何でも自分でやらなくちゃいけない、っていうところを自分でやれるかどうかっていうのが、超大事かなって思います。
事業計画書
【えりな】
そうか、やっぱり自分でいろんなことをやるって言うのが、大切だっていうことなのですが、始めるときにどんなことしようって考えると思うんですが、事業計画書っていうのは自分で作成したりしましたか、もししていたら内容とか知りたいです。
【ホリデー】
えーとですね、一切作ってないです。
【えりな】
ないといけないんじゃないですか。
【ホリデー】
僕の場合なんですけど、 全く必要ないです。っていうか、そもそもまず事業計画書を作る前に、一件でも多くのデザインの仕事を取りに行くっていうことの方が、最重要ミッションだったかな。
結局、受託ビジネスなんてどれだけ受託をたくさん取れるかっていうシンプルな話なので、事業計画書がいらない。事業計画書を作ったって、結局やることは、まあ受託の仕事を取りに行くってことなので、一切作ってないですね。
ただですね、最初に事業計画書を作ってはいないんだけど、実は今も飲食業だったり、物販業みたいなことをやって、さらに加えてやっているんだけど、じゃあそのデザイン業と飲食と物販っていうのは、それは、どういうコンセプトで繋がっていて、どの事業をどれぐらい、どういう風に伸ばしていきたいのか、みたいなことの事業マップと言うか、今に至るまでずっと書き直し続けてるっていう感じです。
なので、あの最初の事業計画書を、もし仮に必要だったとして、それを書いたとしても必ずそれをやってみた時に、うまくいくかうまくいかないかっていうのは、分からないし、うまくいったとすると、じゃその次の予定は何をするか、もしくは、うまくいかなかった時っていうのは、何がまずくて何をどう改善したらいいのか、みたいなところで、必ず最初に書いた事業計画書通りに進むってことは、もう僕のイメージだと、ほぼないのかな。事業計画書を作るとかが大事なんではなく、事業計画書を作り続けて、書き直し続けるっていう事がめちゃくちゃ大事なんじゃないか。
【えりな】
計画書がいらないぐらい受託多くとるだけだよって言っても、計画書を書くよりも、自分で実行しに行く方が早くて、ただ自分のやりたいことっていうのは、変わって行ったりとかするから、何を軸にして進めていくのかっていう地図、マップは更新していくのが、大事っていうことですね。
リソースって有限
【ホリデー】
何をやるにしても、リソースって有限なのですよね。なんかやりたいことをやろうと思っても、人手もないわ、金もないわ、っていう状態の方が、まあ普通の企業だと普通なのですよ。
その時にかなり効率よく考えてリソースを分配しないと、あっという間にリソースが底をつくっていう事態になるので、デザインの場合だと、本当にたくさん受注をとるみたいなところでシンプルなのだけど、それ以外の事業をさらに組み合わせていくってなった時に、じゃあここの新しい事業にはいくらぐらいお金を使って、これぐらいのリターンがあったらまあ続けられる、とかっていう判断をしていかないと、あっという間にデザインで稼いだお金も全部そこで食いつぶすっていうことになりかねないので、そのバランスを考えて行ったり、でも、そこを苦しみながら乗り越えて、どういう未来を自分がこう実現したいのか、みたいなことを考え続けるためのコツみたいなの、地図みたいなものを持ってないと、あれ?結局、オレ、これ何でやっていたのだっけ?みたいなことになってしまうので、それを可視化して、日々それを見直しているようにはしています。
【えりな】
船の舵取りをしている人みたいだなって思いました。宝島に行くぜっていう風に出発しているのだけど、じゃあ今の燃料とかエネルギーでどこの島に行くの?と考える、とか、天候次第ではどこの島に寄港したらいいのか、みたいな旅を続けている。
今日はホリデーさんに起業するにあたってのちょっとリアルなお話を聞いていきました。
次回は起業のビジョンを、ホリデーさんに聞いていきたいと思います。お楽しみに。
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