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「きぃん」と星が流れてゆきました。 そのもっと上の方で別の星々たちが その星のゆく先を眺めていました 僕は電車の窓から顔を出し その星とその星を眺める星々たちを 見上げました。 星がキレイな夜でした
ノエルは慌ててフェアローゼを制止しました。 「だめ!! ここまでよ!! この先は一歩も進んではだめ!!」 フェアローゼはマングローブのツルでできたバスケットを抱えたまま言いました。 「なぜ? なぜ行っちゃいけないの?青いシダの実はこの先の滝にあるんでしょ?」 「あるわ・・・」 「だったらこのバスケットをその青いシダの実でいっぱいにしないと・・・ 仮面さんにかけられた魔法を解いてあげられないんだ。だから僕は行くよ」 そう言い、歩き出そうとしたフェアローゼの前に
黒いタキシードを着た蟻に先導されたまま ネムラの森を三里ほど歩いていくと それまでまっ暗だった森に突然光が差し込み まるで積み木で造られたような小さな赤い家が 隠れるようにひっそり建っていました フェアローゼはちょっと不思議な国のアリスになったような気持ちになりましたが 勇気をもって小指の先で家のドアをコツンコツンとノックしてみました 「コツンコツン、だれかいますか」 No.524話に続く (「ネムラの森」より)