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地図アプリを使って歴史をたどる方法

自分が住んでいる街が昔どんな感じだったのか気になったことありませんか?

それ、分かるんです。しかも地図アプリで。

地理スキ・都市開発スキ・廃線スキの私が地図アプリで遊ぶ方法を紹介しちゃいましょう。



①初級編「Googleストリートビュー」を使う

まずは手頃に遊べる方法としてGoogleストリートビューを取り上げる。
皆さんのスマホにはおそらくGoogleマップのアプリが入っていて、一度はストリートビューの機能を使ったことがあるのではなかろうか。もしくは、ウェブのブラウザ上から使っているという人もいるかも知れない。

ストリートビューはとても便利で、家にいながら現地の画像が見れるというもの(説明不要ですね)。僕はこの機能が好きで、下手したら数時間遊べるくらいには楽しめる。

2024年の名古屋大学

ストリートビューではこの画像のように鮮明に街の景観を映し出すことができる。
ちなみにこの画像は僕が通っていた名古屋大学の現在の様子である。でもなんか僕が通っていたときとは雰囲気が違うな。こんな感じだったかな、、、と。
そんなときだが、実はストリートビューは過去のデータも見ることができて、左下の「他の日付を見る」を押すと・・・。

過去の撮影日が出てくる

過去の撮影データが表示候補として出てくるではないか。この撮影地では2012年までは遡れるようなので押してみると・・・。

2012年の名古屋大学

ドン。
2012年、私がハタチだった頃の名古屋大学を見ることができる。
このストリートビュー、それなりに人口のいる地域では1〜2年おきくらいで撮り直しているようなので、年々の変化具合も確認可能である。
実は私、仕事上よくこの機能を使っている。「この建物って何年竣工だっけ?」とか「この構造物の傷っていつからあるんだ?」みたいな感じで意外と重宝するアプリである。


②中級編「地理院地図」を使う

少し地図に馴染んでくると、「地理院地図」アプリが面白い。「地理院地図」はウェブでもアプリで見ることができる機能だ。
この機能で何が見れるかと言うと、現在から過去約100年の航空写真を時系列表示して比べることができる。

例えば下の写真。これは1945〜1950年の間に撮影された広島市の航空写真である。

1945〜1950年の広島市南区あたり

特筆すべきは赤色で着色した線である。これは国鉄宇品線という軍用路線で、かつては広島駅から宇品港まで兵士や物資を輸送していた。日清戦争から第二次世界大戦の終わりまでは重要な路線であったが、その後は国鉄最大の赤字路線となり、1972年に廃線。1986年までは日通などの物流企業の輸送線として使われていたが今は跡形もなくなっている。

また、緑色で囲ったエリアは貨物のヤード(操車場)であった。鉄道貨物輸送は長らく輸送の主役であったが、1970年以降はモータリゼーション(車社会化)によって貨物輸送量が減少。ここを含む全国の操車場は1984年に廃止された。跡地はJR貨物の広島貨物ターミナル駅や、広島カープの本拠地MAZDA zoom zoomスタジアムとなっている。(全国のヤード跡地もここのように都市再開発が行われており、さいたま新都心も大宮操車場の跡地である。)

次に貼るのが2008年の航空写真である。

2008年の同位置の航空写真

国鉄宇品線は完全になくったものの、なんとなく当時の線形を残したまま道路になっている様子がわかる。実は私、プロの鉄道社員なので知らない土地に行ってもなんとなく「ここは昔鉄道があったのでは?」と直感的に分かる。鉄道の線形は急な曲線でもR400程度であることや、施工基面幅と同程度のスペースが残されていたり、明治時代に設計された国鉄標準桁(橋梁)や旧ホームの笠石が残されていたりなどで大体わかる。(※廃線マニアなので)
また、この航空写真から翌2009年に開業するスタジアムの建設途中の状況も確認できる。


③超初級「The True Size of」を使う

ここからは番外編。
歴史をたどる旅からいったん離れる。

子供の頃、地図は図法(メルカトル図法とかモルワイデ図法とか)によって表示のされ方が異なると習ったかと思う。
球体の地球を2D地図にするとどうしても図形の歪みが出てしまいまうからである。
しかしいまは21世紀。その歪みを校正してくれる「the true size of」というウェブサイドあるので使ってみる。

このWebサイトを使うと、例えば低緯度にある国を高緯度に移動させたときにどれくらいのサイズになるか瞬時に表示してくれる。

日本がノルウェー海にあったら

例えば小さいと言われがちな日本。
その日本がノルウェー海に浮かぶ島国だった場合、実は地図上ではこんなに大きく表示される。
ぱっと見、ヨーロッパの列強なんか余裕で倒せそうなサイズに見える。

日本がヨーロッパど真ん中にあったら

日本がヨーロッパのど真ん中くらいにあったとしても、そこそこ大きいサイズで表示される。日本ってデカいじゃん!なわけですよ。
地図で大きく見える国って国力がありそうに見えてしまうが、意外と図法のマヤカシだったりするわけだ。地図っておもしれぇ。

④その他

ここからは上級になるが、もはやアプリは使わない。

地図が好きになってくると、方位も距離も何もあってない地図に興味が湧いてくるのだ。

〇TO図

TO図

上の画像はTO図と言って、TとOで示された古代の世界地図である。現代から見るとなんじゃこれな地図なのだが、そこそこ正解なのがスゲーポイントである

〇微妙に古い出来の悪い地図

佐賀の地図

上の画像は佐賀市内の地図である。長崎本線と廃線になった佐賀線が記載されていることから、おそらく昭和の地図であるはずだが、それにしちゃあ出来が悪い。
佐賀平野のクリーク(農業用水路)が無数に記載されているが、おそらく適当でかなり芸術点が高い。



⑤最後に

ついうっかり長文になってしまった。
地図というのはイコール人間の歴史であり、これからも変わり続けるものである。古代の地図、伊能忠敬の偉業、Googleマップの登場など、常に進化を続ける地図の魅力に気づいていただけただろうか。

地図に興味を持った、地図が好きでたまらんという変わった方はぜひとも北九州市にあるゼンリンミュージアムに訪れてほしい。
Zキュレーターという学術員の方が地図について色々教えてくれる。加えて併設されているカフェからみる関門海峡は絶景である。
地図に特化したグッズも同じ建物内のショップに売っているため、ぜひとも立ち寄ってほしい。

〇ゼンリンマップデザインギャラリー(実店舗)

〇ゼンリンマップデザインギャラリー(オンラインストア)

〇ゼンリンミュージアム


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