スタンド・バイ・ミー感想
原作を読み終え、そのまますぐに映画も鑑賞。
昨日はショーシャンクの空に、そして今日はスタンド・バイ・ミー。名作続きの2日間。
映画は90分、大きな改変はないけれど省略あり。
クリスがゴーディーにテディやバーン、そして自分とは付き合うな。足を引っ張られるだけだ。と告げるシーンがなかったのがもったいないと感じた。映画はあくまで「素敵な12歳のあの日の思い出」を押し出したかったのだろうか。
テディ、バーンのその後の悲劇や、全員が恐ろしいほどの仕返しを受けるシーンもなし。冒頭でクリスの死を出してるのももったいない。クリスは死んじゃうんだな、という目で見ちゃうじゃない。その先入観なく、なんなら今も4人はたまーに集まって会ってるのかなって思いながら見たいじゃない。
そう思うと、原作の構成は面白い。突然、物語の中盤あたりで彼らは死んだ。と語られる。もちろんこの旅で死んだわけじゃない、と補足こそされるが、4人が今も仲良く生きていると思い込んでいた身としては驚く。
ラストも微妙な差異があり、映画版は爽やかに終わる。理不尽なクリスの死も、勇気と正義感のあるクリスがクリスであったが故の出来事、というように思える。
しかし、原作だとゴーディーしか生きていない現実がとても悲しく、受け止められなかった。クリスの死は同じなのに受け止め方が全く違うのは、映画版での
「12歳の時のような友達を、その後もつことはなかった」
というラストの一文の有無かもしれない。
原作でゴーディーは一人車内で泣き、映画ではそれをすでに乗り越えているように見える。描き方の違いでこんなに印象が変わるとは。わたしは原作は少し寂しい、切なさの残る作品だと思ったけれど、映画は爽やかだった。
ショーシャンクの空にも、スタンド・バイ・ミーもオールタイムベストとして挙げる人が多いのも頷ける素敵な作品だ。
でも、やっぱり、いつだってキングの映画化作品は原作が一番面白い。過剰に描写される生活から見えるキャラクターの人となりが、感情移入の手助けになり、没入感を深めてくれる。
映画版のテディがとてもチャーミングで驚いた。黒縁メガネ、一周回っておしゃれだよね。(当時はダサいと言われてたかもしれないけど)
さぁ、次はミスター・メルセデスを読むぞ。