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シャーリイ・ジャクスン くじ感想

シャーリイ・ジャクスンのくじを読んだ。
なんだこれは。面白すぎる。

シャーリイ・ジャクスンの他の作品を読んでいないのでまだ断定できないが、少なくともこの「くじ」という短編集の面白さを理解できるじぶんで良かった、と思った。
人によってはつまらないと思う気がする。好き嫌いが分かれそう。そんな作品たち。

だって、この短編集のすべてが「なんか嫌だ」で構成されているから。
多種多様な嫌さ。嫌さのアラカルト。

靴の中にいつの間にか入り込んだ小石。

眠りに落ちる寸前、耳元で繰り返される蚊の羽音。

指先が薄く切れていることに気付いた瞬間、発生する痛み。

銀紙を噛む想像。

大きな嫌ではなく、小さな嫌。
日常的にわたしたちが感じて、感じた瞬間に忘れる程度の嫌さ。

読んでいて「あぁ、絶対に嫌なことが起きる」と予感してしまい、そこで終わる。
わたしたちは他人の行動の全てを見ることはできない。それが本の中でも忠実に再現されている。

わたしが想像した最悪の事態は起きるかもしれないし、起きないかもしれない。
それが起きたかどうか確認のしようがないのも嫌だ。
読んでいる最中も、読んだ後も続く嫌さ。

すっかりシャーリイ・ジャクスンにハマってしまった。
スティーヴン・キングと並行して読んでいこう。


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大森薫
幼稚園、小学校、中学校が同じだった友人と交換日記をやっております!こちらも読んでいただけると嬉しいです!! https://note.com/yuru_nikki

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