World Cancer Week2024リポート 【CancerX DE&I】〜がん医療におけるインクルーシブネスを考える〜
2024年1月28日〜2月4日まで行われた、World Cancer Week 2024
このリポートは【CancerX DE&I】についての報告です。
■開催概要
【日時】2024年1月28日(日)13:00〜14:00
【形式】オンライン
【登壇者】
一戸 辰夫 氏(広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科 教授 )
下村 昭彦 氏(国立国際医療研究センター病院・乳腺・腫瘍内科医師 / がん総合内科医長 )
モデレーター:半澤 絵里奈 氏( CancerX共同発起人・ 共同代表理事 )
■セッション概要
日本癌学会学術総会2022のセッション以降、CancerXが力を入れている「がんに関する課題解決とDE&I」
なぜ、がんの医療課題や社会課題にDE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)が関係するのか、どうしてDE&Iに関するディスカッションが重要なのか広く伝えていきたいと考えています。
これまでは、がん研究における女性研究者のマイノリティ性、企業経営視点でのDE&Iの重要性を話してきましたが、今回は「日本のがん医療は機会の公平性が担保されているのか?」「誰も排除されていないのか?」など医療現場・医療の教育現場におけるインクルーシブネスに着目し、医療者・教育者の立場のお二人にご登壇をいただき、現場で発生していることを題材にディスカッションをしました。
(ご参考)日本癌学会学術総会2022リポートはこちら
■セッションサマリー
セッションでは、まずがん医療に関する医療人材・教育の地域差を取りあげました。地域医療においてがんの専門医が不足している原因として、診療科の偏在が多く見られること。そして、医学部の教育時間や教員の不足が挙げられました。専門医を適正に配置する制度基盤が脆弱であることが地域間格差生み、そのため、患者側の選択肢を狭めていることがわかりました。
また、性別による症例数の少ない疾病として「男性乳がん」を具体的に取り上げました。海外では医学誌に普通に取り上げられているものの、日本では患者数が少ないため、研究や臨床試験が不足していることや、クリニックが女性専門の作りになっていて入りにくい、患者会でも女性のみで入りづらいなど患者の声が紹介されました。
患者のアンメットニーズに寄り添うにも、医療者や研究者が研究費を獲得するために労力を割くことに追われている現状が示されました。
また、地域医療や教育、キャリアシステムの変革が必要であり、若手医師が地域での活動を奨励する制度や、地域医療での教育と活動を通じて、医師のキャリアを育成することが重要だとのお話もありました。
誰一人取り残さない医療提供などについては、課題も多く、がん医療に関する医療人材の教育が重要であることが、改めてわかりました。