株式会社カナリーの事業戦略:これまでとここから
株式会社カナリー CEOの佐々木と申します。
当社は【もっといい「当たり前」をつくる】をミッションに掲げるスタートアップ企業です。
日々の暮らしには、不便・非効率がありながらも、過去の延長で「当たり前」と受け入れてしまっていることが溢れています。我々はデジタルの力を活用しながら、この「当たり前」をアップデートし、もっといい未来をつくっていくことを目指しています。
今回は、当社が行っている事業の全体像についてお話します。
株式会社カナリーが対象としている事業領域
当社は、不便・非効率がまだまだ多く溢れている不動産領域を軸に事業を展開しております。
不動産業界はとにかく巨大な業界ですが、昔から続くような業務が多く、DXの余地が極めて大きい領域です。
そして消費者の行動変容、業界の法改正、人材の採用や定着の問題から生じている労働環境の改善(≒生産性の向上)への危機感など、様々な変化が起こっており、業界の在り方や消費者に提供すべき価値の形も変わり出しています。
私がこの業界で事業をはじめたきっかけは、個人として部屋探しをする中で、もっともっとUXをよくできるのではないか、と感じたことでした。当初はあくまで一人の消費者視点での感覚であったのですが、業界関係者へのインタビューなどを通じて、事業者側も非効率な業務構造に縛られ、働く方々が大きな負担を強いられている現状が明らかになりました。
本当に消費者のUXを良くしていくには、デジタル化によってまずは業界における情報をより連動するようにしたり、業界で働く方々の生産性を上げていったりする必要があると考えています。
例えば、賃貸領域でいうと、管理会社、仲介会社、消費者の間で物件などの情報が分断されており、仲介会社は消費者に物件を紹介するために手動での物件情報確認や入力作業が発生し、伝達に手間と時間がかかってしまっています。上流業務のDXが進むことで、情報のデジタル化と領域間の情報連携が進み、生産性と情報精度の大幅な向上が期待できます。
不動産業界は規模も大きく、業界の発展に寄与することは我が国のGDPに対しても影響度合いが大きいということはもちろんのこと、事業者だけでなくとても多くの人々の生活に密接に関わるものなので、部屋探しや入居後の体験を良くできれば、社会的な意義も大きいと考えています。
また、これらの変化の進展に伴い、不動産テック領域における市場規模は今後大きな拡大が見込まれています。そのような機会溢れる領域にて、当社は市場の成長自体を牽引していく存在になっていきます。
株式会社カナリーが今やっていること
そのような市場の中で当社は、部屋探しマーケットプレイス「カナリー」と、不動産会社様向けSaaS「カナリークラウド」の2つを提供しています。バーティカルでのトランザクションとSaaSの両方を運営していることは当社の大きな特徴であり、強みになっています。
また、自社サービスを開発・グロースさせてきた実績を評価いただき、それらの知見を活用し大手企業様などのDXを推進するDXソリューションズ事業も本格化しています。
ここからは、それぞれについて詳しく説明していきます。
カナリー(CANARY)
カナリーは、2019年にアプリがリリースされた部屋探しプラットフォームです。2023年1月には全国でTVCMも放映しました。
直近(2024/8時点)では累計インストール数が400万件を突破しました。また、当初からシンプルなUI/UXによる使いやすさにこだわっており、App Storeではユーザー評価★4.8とカテゴリ内No.1(*)の評価を頂いています。
賃貸の部屋探しのメインユーザー層である20~30代を中心に、様々な活動のアプリシフトが急速に進んでいます。美容院の予約や服の購入など、スマホ操作の多くをアプリで行う人々がどんどん増えており、部屋探しにおいても同様の流れが進んでいます。
部屋探しは年中するものではないかと思いますが、本格的に部屋を探している期間は、毎日のように新着物件を確認したり、様々な検索を繰り返したりと、多くの物件を閲覧します。
ブラウザと比べると、検索性や閲覧性、お気に入り管理やPUSH通知など、アプリの方が優れたUXになるため、アプリを利用するユーザーが非常に増加しています。
「カナリー」は、優れたUXを徹底的に追求し、日々改善を行っています。まずはベースとなるUI/UXを磨き込むことが基本ながら最も重要なところだと考えております。
そして、アプリだから実現ができるもの、時代としてできるようになったことなどを加えていくことでこれまでにない次元のUXを実現していきます。
たとえば、より上流の物件情報と連動することで最新の物件情報を提供したり、資本も含めたアライアンスも積極的に活用することで、自社だけでは提供できないUXを構築しています。
部屋探しは、様々な生活サービスが関連するイベントなので、自社以外の経営資源も組み込みながら発展をさせていく余地が大きいです。
ヤマダHD様(家電家具)、クレディセゾン様(決済)、アニコム損保様(ペット保険)など各領域の大手プレイヤーと資本業務提携を結び、独自の価値創出に向けた取り組みを進めています。
カナリークラウド(CANARY Cloud)
カナリークラウドは、不動産会社様向けのSaaSです。全国に10万事業所以上もあると言われている(*)不動産会社様における業務のDXを実現し、生産性や売上を大きく向上させるプロダクトになっています。
* 不動産会社(宅建業者)数: https://www.retio.or.jp/toukei/pdf/stat_g.pdf より
顧客管理・営業支援機能がメインとなっており、ざっくり言うと、「不動産仲介業務に特化したSalesforce」となっております。
これまでは法律によって紙で締結しなければいけなかった賃貸借契約が、昨年の規制緩和により電子契約での締結ができるようになったのですが、この変化は紙と店舗中心の業務からクラウド中心に業務オペレーションを大きく変化させるカタリスト(触媒)だと考えています。
その変化に伴って、当然各会社様におけるDXが必然的に求められるようになるので、業界へのSaaSの浸透も急速に進んでいくことが見込まれます。
不動産仲介業界の現状や課題について詳しくは、ぜひ下記の記事もご覧ください。
全国の各エリア大手様から地元密着の企業様まで幅広く導入をいただき、急速に成長しているプロダクトになります。
消費者体験を変えるには、まずは業務のDXによって生産性を向上させ、物件を中心とするデータも連携できるようにすることが必要で、我々の全体構想において重要な立ち位置になっています。
DXソリューションズ事業
当社が不動産テック領域にてマーケットプレイスとSaaSの両方を自社で開発・グロースさせてきた実績を評価いただき、それらの知見を活用し大手企業様などのDXを推進する事業も本格化しています。
例として、カナリーとの協業も推進しているヤマダHD様では、当社がデジタル関連のプロジェクトのリードを担い、顧客データ基盤の構築・運用や、ヤマダデジタル会員アプリの刷新などを進めています。
年間売上が2兆円近くにのぼる企業におけるDXは、売上はもちろんのこと社会に対するインパクトや意義も非常に大きいプロジェクトとなっています。
ヤマダHD様以外にもDXを担わせていただく企業様は増えており、様々な事業に関わらせていただいております。
株式会社カナリーが今後やろうとしていること
ここまで、それぞれのプロダクトなどについてお話してきましたが、今後カナリーが見据えている事業戦略は、「不動産取引におけるプラットフォーマーとして、個々の領域で完結せず、各領域をつなげていくことで統合的な価値を創出すること」です。
そのため、現状の範囲にとどまらず、今後は賃貸管理の領域や、成長著しい売買分野などの各領域へも進出していきます。すべて自社から立ち上げることには拘らず、既存企業との連携なども強化しながらプラットフォーム全体としての価値創出を目指していきます。不動産領域は機会に溢れています。
目の前のことに泥臭く粘り強く取り組みながら、上記の事業戦略の実現を目指し、デジタルの力で産業全体に対し大きな価値を生み出し、もっといい「当たり前」をつくっていくことが、株式会社カナリーのこの先の目標となります。
ここからの株式会社カナリーの面白さ
株式会社カナリーは現在、「カナリー」や「カナリークラウド」のように自社で優れたプロダクトを開発・運用していくことはもちろん、それらで培ったノウハウやスタートアップならではの機動力を活かしたアライアンスも含めた事業展開、大手企業様のDXなど、非常に多くの機会がある状況です。(ここではまだ書けないようなプロジェクトも多くあります)
BtoCサービスとBtoB SaaSの両方を手掛けているということも非常に面白い点だと捉えています。
この記事では全体像を掴んでいただくため敢えて細かい話はしませんでしたが、興味を持ってくださった方はぜひカジュアル面談などで当社メンバーに深掘りする質問をしてみてください。
一緒にもっといい「当たり前」をつくっていけることを楽しみにしております!
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