【本紹介】生活を支える黒子を知ること
おはようございます。カナリアコミュニケーションズです。
今回は「都市ガスはどのようにして安全になったか?」編集委員会編、『都市ガスはどのように安全になったのか -ガス機器保安の歴史と近代化への道』を紹介します。
1.感想
皆さんは普段の生活で、都市ガスについて考えることはありますか?
私はありませんでした。
そんな私が本書を手に取ったのは、引っ越しでガスの開栓手続きを忘れてしまっていたことがキッカケです。
お湯が出ず困って管理会社に問い合わせたところ、翌日には業者の方に来ていただき使えるようになりました。
完全に私の不注意なのですが、それにも関わらず、すぐにガスが使えるようになったとき、改めて日々の生活を支えてくれているインフラの凄みを感じました。
日本の都市ガス事業の歴史は、明治初期、横浜で照明用のガス灯へのガス供給から始まったそうです。
風力やバイオマスなど新たなエネルギー開発が巷を賑わせていますが、都市ガスが私たちの生活を支えているエネルギーであることは変わりません。
そんな都市ガスの歴史を学ぶことは、これからのエネルギー開発の行く末を知る上でも一助になるのではないでしょうか。
2.おすすめポイント
本書のおすすめポイントは第7章です。
この章では、ガスの安全機器の近代化の歴史が紹介されています。
スマートホンの一番最初の原型は肩から掛けるショルダーホンだったことは皆さんもご存じでしょう。
あれだけ大きかったものが今では片手に収まるサイズになっています。そんな技術進歩はガス機器でも同様に行われてきたのです。
脈々と続く改善の軌跡は、技術者の方々の努力の賜物です。
そんな偉大な歴史に触れることができます。
3.概要
目次
第1章 都市ガスの歴史と保全
第2章 都市ガス事業と保安の歴史
第3章 ガス機器の黎明期
第4章 ガス機器の事故多発時代
第5章 ガス機器事故再発防止対策
第6章 全国的な天然ガス転換
第7章 安全化策を講じたガス機器の近代化の実現
第8章 マイコンメーターの開発と普及
第1章では、人類が火を使いだすところから近代までのガスの歴史の外観が述べられます。
第2章では、世界の都市ガス事業の創業から日本の都市ガス事業の推移が紹介されています。
第3章では、日本の都市ガスの黎明期ともいえる明治初期から昭和20年代までについて、ガス機器の開発・普及状況について言及されています。
第4章では、昭和30年~50年代にかけてのガス機器の事故多発時代について、その背景や原因について説明しています。
第5章では、ガス機器事故を撲滅するためにとられた「ハード対策」と「ソフト対策」が紹介されています。
第6章では、天然ガスへの転換が進められた経緯について詳細に述べられています。
第7章では、ガス機器に必要な安全性について機種別にガス機器システムが紹介されています。
第8章では、昭和58年に生まれた長時間使用や大地震発生時の火災を防止する「マイコンメーター」について述べられます。
本書は図版・写真が豊富に用いられており、読了後は一つの博物館をしっかりと見て回ったような感覚になります。
寒い日は、家に籠って読書で知的探求心を満たすのがお勧めです!
それでは。