オバケに会いに【ライアン・ガンダー】
5年くらい前にも大阪で大規模な個展《ライアン・ガンダーーこの翼は飛ぶためのものではない》をしていて、その時にいたかわいいオバケが好きだった。シーツを被りオバケの真似をしている娘を大理石で表現した作品のシリーズで娘がオバケを信じている間のみ制作された。
輪郭が柔らかい大理石が、シーツの表面を想像させる。その中にいる娘が手を広げているのを想像させるのも可愛らしい。オバケを作るんじゃなくて娘を作る彼の姿勢がたまらなく好きだと思った。
ライアン・ガンダーの代表作及び代名詞の目の作品。最高傑作というタイトルなのも自信があるからというのが明白にわかって清々しい。
今回はまつ毛が長い目のこっちを見ていた。
いつも思うのだけれど、この作品を展示するともれなく壁に大きな穴を開けるから現状復帰が大変だろうに…という気持ちになる。
(この後ネズミやら紙幣が常設壁の穴の中にあって驚愕する。学芸さんの勇気と修復する職人さん、そして予算の豊富さに感謝)
今回の展覧会では雫が落ちる作品が一番良かった。雨降りのガラス戸、車のフロントガラス、食器を洗った後のシンク、結露したコップ…雫が落ちるさまなんで日常すぎて目にも留めない。しかし彼はメカニックな構造を使って永遠に落ちる雫を作り出した。
日常のささやかな事象に永遠を与えること。
日常が瞬く間に楽しくて良いものに感じられるのは、彼の日常に対する愛おしさのこもった目線を想起できるからだろうか。
宝探しみたいな気持ちで展示会場をめぐり、宝探しに挑む気持ちで日常に帰る。
作家紹介
■ライアン・ガンダー
1976年イギリス生まれ。
彼が構成した常設展も最高にカッコよかった