偏愛で世の中に寛容をつくりたい。
はじめまして。2017年に創業したCamp Inc.です。
そして、Founderの横田 大と申します。
周囲のアドバイスをよそに「ぜったいにブログは書くまい」と決意を固くしていたのですが、
会社としてはじめてのポストということで、「これはもう逃れられない……」とビール味の涙を流しながらこの文章を書いています。
横田大(よこた・まさる)
編集者、クリエイティブ・ディレクター。書籍や雑誌・Webメディアの編集、Webサイトを中心とする広告制作を経て独立。2017年、「偏愛で世の中に寛容をつくる」クリエイティブ・エージェンシー Camp Inc.を設立。またライフワークとして、西荻窪で深夜喫茶Wanderungを営む。自分としてはすべてが編集。
まずはそうですね、第1回目に相応しく「Campとは」ってやつから。
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60年代アメリカ、閉塞感を抱えた社会状況のなかで
ある種の人々を心酔させていた“Camp”というキブン
“この世には名づけられていないものがたくさんある。
そしてまた、名づけられてはいても
説明されたことのないものがたくさんある”
“Campとは、誇張されたもの、外れたもの、
ありのままでないものを好むことなのだ”
ーースーザン・ソンタグ『反解釈』Notes on "Camp"より
Campとは、世界を“ゲージュツ”として見る、ひとつのヴィジョン
おもしろくないものもおもしろく捉える、ひとつのスタイル
あらゆるものを“カッコつき”で見るCampは
ある種の人々にとって秘密のメッセージを持ちながら
なんてことないものにも映る、二重性を持っていた
ドラァグクイーンが、そのド派手な装いや
歯に衣着せぬ物言いで、熱狂的ファンを生むように
タモリやみうらじゅんが、自分だけの流行りを
しれっと“イケてるモノ”にスイッチするように
マイナスとされることもユーモアや強みに変え
自分のスタイルを突き詰めて社会性だって得てしまう
2018年、東京。そんな“キブン”を感じたくて、
わたしたちは、社会を“Camp”する
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こちらは、創業時に考えていたステイトメント。
「Camp」とは、みんなが聞いて想像する、野営の「キャンプ」ではないのです。
ひとことで言えば、Campは「偏愛で世の中に寛容をつくる」クリエイティブ・エージェンシー。
おもな事業は
●Creative Work(Web、紙の編集・制作・PR)
●Retail & Product(流通やモノの編集・構築)
●Space Produce(場の編集・運営)
この3つを軸に
・クリエイターにより多くのチャンスをつくること
・クラフトカルチャー(※)を国内外に広めること
・関わってくれるすべての人にとって生きやすい世の中をつくること
※ジャンルは問わず手の届く範囲で営むものづくりの意 ©︎新田晋也
を行うチームです。
じゃあ、こんなふうに発信することもせず、立ち上げの大事な1年を使ってまでいったい何してたの? というと……
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●Creative Work
マルマン「図案」60thアニバーサリーPJ
→「スケッチブック」と言えば誰もが思い浮かべる、深緑と黄色のデザインの「図案スケッチブック」生誕60年を記念した特設サイト/パンフレット/インタビュー・コンテンツ/映像×7(!)などの企画・制作。
http://www.e-maruman.co.jp/zuan60th/special/zuanlife/
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●Retail & Product
数量限定のコラボプロダクト「LIMIT UNLIMIT」
→アパレルメーカーのcoilと、アジアのクリエイターをつなぐubies/vision trackに参画いただき、4社合同で制作した「LIMIT UNLIMIT」という数量限定のコラボプロダクト(写真はJUN OSON、ヒロ杉山)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000033892.html
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●Event Produce
渋谷デザイナーズマーケット@SHIBUYA CAST.
→「特定のスタイルに流されることなく、作り手もお客さんもそれぞれの個性を発揮しながら、自由を楽しむマーケット」がコンセプトのマーケットイベント。渋谷キャストの開業より、隔月で企画・運営を行う。
https://www.facebook.com/tokyoanonymous/
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こんなことしてました。
もちろんほかにもいろいろやってますし、一つひとつ本当はこんなにサラッと紹介できない。だから振り返ってみれば、1年目にしてはなかなかどうして……とも思うんですが、
でも、まだまだ、ぜんぜん足りてない!!!
だって、Campがやりたいのは、タモリさんやみうらじゅんさんのように「仮にマイナスとされることだってユーモアや強みと捉え、しれっと“イケてるモノ”にスイッチ。その上、社会性すら得てしまうこと」なんですから。
「サブカルも多情多感も三十路まで」そう心に誓ってきたはずなのに、気づけばアラフォー。さらに言うに事欠いて青くさいこと言い出しますが、結局「好き」に勝る力はない。でもこの歳まで生きてきてそう思っているわけで(とはいえアラフォー)。
だから僕らは、これを表現にまで高めようとする人を、そうせざるを得ない人を、あらゆる手段で手助けする。向こう半分あるかないかの人生、そう生きていくことを決めました。
一つひとつの取り組みは小さくとも、たくさん集まればそれは「文化」となる。「文化」とは、Campとは、生きやすい世の中をつくる力です。後半はまだずいぶんと大言壮語なのですが、いずれそうなるために僕はこう唱え続けます――偏愛で世の中に寛容をつくりたい。
文・横田 大