初めて目にしたウィンザー城
エリザベス女王の国葬が執り行われたウィンザー城。
大学生の時、初めて異国の地、イギリスに降り立った。
ヒースロー空港では、あまり外国に来た気がしなかった。
『日本語表記がないなァ。』と思っただけ。
シャトルバスに乗り、遠くに見えてきた山に、羊が群れているのを見て『ココはイギリスなんだ!』と、少しずつ実感が湧いてきた。
やがて、英語でアナウンスが流れた。
「左手に見えるのが、ウィンザー城です。」という内容だったらしい。
周りの皆につられて、初めて実際に、自分の目で見た異国の建造物。
それがウィンザー城だった。
滞在中、ウィンザー城を訪れることはなかったが、あの時の光景は、今でも鮮明に覚えている。
エリザベス女王の棺がゆっくりと運ばれていくのに合わせ、画面を通して流れる周りの景色を眺めているうちに、色々なことを思い出した。
ホームステイ先の家、その家があったバースの街、オックスフォードやコッツウォルズ、ハロッズなど、訪れたたくさんの場所。
道路で、自動車に混ざって馬車が並んでいた光景には感動した。
当時はカメラを持っていなかったが、偶然見たあの光景は、私の記憶の中に、今でもしっかりと焼き付いている。
イギリス人にとっては日常のありふれた光景かも知れない。
馬にとっても当たり前のことらしく、自動車に混ざり、信号が変わるのを、普通に大人しく待っていた。
しかし、私にとっては珍しいことこの上なかった。
国葬のような大きな儀式でもないと、中々イギリスの風景をゆっくり見ることはない。
YouTubeで見ていたが、厳粛な中、沿道から、時々拍手が聞こえた。
それは、女王の生涯を讃え、静かに送り出そうという、イギリス国民の気持ちが込もった温かい拍手に聞こえた。
新国王即位に伴い、徐々に紙幣やコインが変わるという。
エリザベス女王の肖像が印刷された紙幣とコインは、イギリス短期留学の思い出と共に、今では大事な宝物。