「答え合わせ」と映像

先に「AI時代の『決定的瞬間』」という記事を書いた。

キャサリン妃が母の日用に公開した写真が加工されているとして、複数の国際通信社が配信を取りやめたことについて取り上げた。加工を指摘したAP通信は有識者の言葉を借りて、信頼と信ぴょう性の崩壊を指摘、コミュニケーション戦略としてもっと正直になる必要があるとしていた。

オリジナルの写真を公開しないとのことでこのまま闇に埋もれていくかと思ったが、急転直下この騒ぎの原因を知ることになる。キャサリン妃がビデオメッセージを公開したのだ。

癌の診断と化学療法を受けていることを告白したこのビデオで、率直に言えば「答え合わせ」がされたように思う。春らしい花を背景にベンチに座ったキャサリン妃はやつれて見えた。しかし小津映画の登場人物のようにカメラを正面から見据えた告白は、正直な印象を見ている人に与えたようだ。

ソーシャルメディアに陰謀論まで出てきた過去数週間の出来事をこのビデオは覆した、とBBCは感じたようだ。癌患者を持つ家族や自分もいつかそうなるかも知れないと受け止めた人は、共感を持ってこのビデオを見ただろう。記事では加工された写真の対極にあるものとして位置付けられた。
 皇室の広報担当者は今回メディアや大衆を味方につけることに成功したとも言えるが、詳しい病状は明らかにされていない。回復をまずは祈りたい。

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