写真をよむ

ロンドン郊外在住のフォトグラファーです。俳句のように写真を詠み、絵画のように写真を読み…

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ロンドン郊外在住のフォトグラファーです。俳句のように写真を詠み、絵画のように写真を読み解きたい。https://twitter.com/ourcameralucida

最近の記事

続 キヤノンかエプソンか

先日プリンターが壊れて買い替えを検討している話を書いた。今日はその続編。ちょっと書き忘れたなと思うことがありまして。 複合機はありか スキャナーやコピー機能もあるいわゆるオールインワンのプリンターは検討しなかったが、調べてみるとずいぶん進化しているように見える。A3以上のプリントができ、なおかつ5、6色の独立カートリッジまたはタンクを備えて写真印刷にも配慮している機種が結構ある。8色以上のプロ用機種には劣るかもしれないが、筆者の用途には十分だろう。気になっている機種の中か

    • キヤノンかエプソンか

      環境によって違うだろうけれど、写真を印刷というかプリントアウトすることが減っているように思う。なぜ最近プリンターのことを考えているかと、プリンターが動かなくなったから。写真印刷中ではなく、事務的な作業で文書コピーを作ろうとしていた時に急にエラーが出て印刷できなくなった。ネット上にある方法は試してみたがダメ。修理期間は過ぎていると思うので、新しいのを買うか検討してみた。 何を印刷するか フォトグラファーなんだから写真でしょ、と思うかもしれないが、結構事務的な文書の印刷に使っ

      • 写真家と子育て

        インスタグラムを念入りに見る時間はないのだが、ちょっと気になってスクロールが止まる時がある。マグナムのマーク・パワーが掲載していた、20年以上前に取られた娘と一緒の写真もその一つだった。筆者の記憶では彼自身に子供を作品に結びつける印象はないが(富士フィルムの中判カメラの広告には近年一緒に出ていたような気がする)、ふと何人かの写真家を思い出していた。どんな仕事だろうが子育てはキャリアに大きなインパクトがあると思うが、育休制度がある会社員とフリーランスの写真家では相対的に後者の方

        • ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 追記

          ちょっと公私ともにいろいろあってしばらく書いてなかったけれど、以前こんな記事を書いた。 後編の中でリコーのGRIIIシリーズに少し触れている。この時に意識していたかどうか覚えていないのだけれど、最近改めて内蔵フラッシュ(ストロボ)がないことに気づいた。もちろん何を今更、といった類の話なのは承知の上なのだが、ある種の感慨を持ったのは、なんとなく森山大道との今生の別(大げさ笑)のように思えたからだ。 筆者の記憶が正しければ、フィルム時代のGR1シリーズはボディの小ささと広角単

        続 キヤノンかエプソンか

          ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 後編

          先日こんな記事を書いた。その続き。 何が必要か まず自分が「必要」と思う要素を書き出してみたい。1)適度に軽いこと。あまり目立たないこと。2)適度に機敏に操作できること。3)RAWが撮れること。4)使いたい画角が使えること。5)できればAPS-C以上のセンサーサイズが欲しい。  1は当然だけれどもどこまで小さいものを求めるか。2−5までとの兼ね合いも考えなければいけない。ポケットに入る小ささはいいが、AFが遅くてピンとが合わないのにマニュアルも使いにくい、とかだと難しい。

          ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 後編

          ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 前編

          ずいぶん前のことになるけれど、知り合いの若いフォトグラファーが「単焦点の50ミリがあればいい写真が撮れたのに」というようなことをとある撮影の後呟いていた。「おいおい、手持ちの機材で何とかするのも仕事のうちだろう」と内心思ったものだ。しかし、普段街や公園などを歩いていて「あのカメラがあれば」と思いながら、撮れなかったシーンを思い返すことも結構ある。そこでどんなカメラが自分にとって理想なのか考えてみた。書き始めたら長くなったので、今日は今まで使ったカメラをまとめた。 ライカM6

          ストリートに適したカメラについて思いを巡らす 前編

          続・ミラーレスに移行中にフォトグラファーが思ったこと

          先日、キヤノン使いの筆者がミラーレスに移行中、思ったこと、感じたことを書いた。今日はその続き。 シューカバーその後 この時にEOS R6マーク2のシューカバーについて、無くしやすいと思っていたら本当になくなったことについて記した。あれだけ気をつけていてどうして無くすのだろうと少々ショックを受けていたら、案の定出てきた。  撮影現場で照明機材を取り出していたところ、何度もひっくり返して探したはずのシンタンクフォトのバックパックからポロリと落ちてきた。推測だが、シューカバーに

          続・ミラーレスに移行中にフォトグラファーが思ったこと

          選挙キャンペーンと写真

          去年から今年は選挙の年になると言われていた。世界に与える影響の大きさから11月のアメリカの大統領選が一番の目玉なのだが、6、7月が急に選挙の季節になってしまった。イギリスでは保守党のスナク首相が任期満了まで待っても支持率は上がらないと踏んだのか、庶民院の解散総選挙に打って出た。フランスでは欧州議会でいわゆる極右勢力の伸長に反応して、マクロン大統領が国民議会を解散し選挙となった。 さて本題だが、選挙戦ではよくテレビ討論が大事だと言われる。黎明期に遡れば米民主党のケネディと共和

          選挙キャンペーンと写真

          ミラーレスに移行中にフォトグラファーが思ったこと(キヤノンの場合)

          遅ればせながらミラーレスへの移行を始めて8ヶ月が経った。この2週間ほどの間に普段とは違う、少々バタバタするような撮影があったので、この機会に気づいたことをまとめておこうと思う。 ミラーレスに移行しようと思った理由 移行を考え始めたのはかなり前になるけれど、いろいろあって踏み切れなかった。理由は主に二つ。まず筆者の使うキヤノンから納得いくようなミラーレスカメラとレンズが出ていなかったこと。もう一つはパンデミックの影響を受けて経済的な見通しが立たなかったことだ。 しかし当時

          ミラーレスに移行中にフォトグラファーが思ったこと(キヤノンの場合)

          「東京物語」からフォトグラファーが学べること

          若い頃には退屈に思えても、歳を重ねるにつれて心に沁みてくる芸術作品がある。映画の分野で言えば「東京物語」がその一つであることに異論はないだろう。 この小津安二郎監督の代表作については、古今東西いろんな識者が批評、分析しているので新たに加えることはないのだが、ここでは写真を撮る者として何か参考にできることはないか考えてみたい。 映画では、広島・尾道に住む老夫婦が東京に住む子供たちに会いにいくため旅行へ出る(大阪には三男がいるのだが、大阪の場面はほんの少ししか出てこない)。し

          「東京物語」からフォトグラファーが学べること

          続カメラバッグ考

          先日、カメラバッグについて書いた。 自作とまで行かずとも、薄いショルダーバッグにインナーバッグを組み合わせて軽いカメラバッグを作ろうと考えたものだ。早速試してみた。 無印良品の薄いショルダーにドンケF2の底板とインナーを入れ、さらにシンクタンクフォトのポーチに入れたカメラを横に並べた。サイズ感もピッタリでさらに水筒も横にねじ込める。13インチのマックブックプロも入れることができた。 予想通りで意気揚々と撮影に出かけたのだが、肝心のカメラが二重にバッグに入れている形なので

          続カメラバッグ考

          究極のカメラバッグ

          重いものを持ち歩きたくない、とズームレンズ付きのコンパクトデジカメで撮影する森山大道氏のようなスタイルがある意味理想なのだけれど、現実にはそうも行かない。仕事ではそれに合った機材が必要だし、自分のために撮影するとしても何らかの意図があれば、それに沿った道具を用意する。自宅スタジオでもない限り、それを持ち運ぶカメラバッグが必要になるわけだ。 今まで比較的長く使ってきたのは3タイプ。機内持ち込みサイズのローラーバッグと、機材を取り出した後、薄くできるタイプのリュック、それからシ

          究極のカメラバッグ

          ローカル化する「報道写真」

          毎年この時期になると世界報道写真(ワールドプレスフォト、WPP)の受賞者が発表され、どんな写真が選ばれているか一応見たりする。アメリカならピューリッツァー賞とか、日本だったら木村伊兵衛賞とか人によって気にしている写真賞は違うだろうが、筆者は欧州在住で主にエディトリアルの分野で活動しているので、WPPを見るわけだ。 全受賞者の経歴や写真のキャプションまで読み込むわけではないが、何となく審査員の意図を感じることがある。この辺はノーベル賞にも思うこともあるけれど、今年のWPPに話

          ローカル化する「報道写真」

          無人島に持っていきたいカメラと本

          BBCのラジオ4にデザートアイランドディスクスという長寿番組がある。ゲストに無人島に何を持っていくか(音声レコーディング、主に音楽)を聞くというコーナーがあるという。先日フォトグラファーのポッドキャストを聴いていたら、これを模して、ゲストに無人島に持っていくカメラと本(主に写真集)を尋ねるという企画があった。 自分だったら何を持っていくだろう。 フィルムカメラかデジタルカメラか。そもそも無人島でありながら、現像もできるという設定らしいのでデジタルもOKなのだろう。それでも

          無人島に持っていきたいカメラと本

          知識をアップデートする方法ーこたつフォトグラファー用

          フォトグラファー、特にフリーランスは自分の知識や技術が古くなっていないか、ふと気になる瞬間があるのではないだろうか。もちろん全てについて取り入れていく必要があるわけではないだろう。しかし柔軟な思考を維持していくことは最低限必要ではないか。 自分の経験で言えば、たくさんあるものの、例えば動画とドローン。この二つは需要が増えていった時期に本格的に勉強する、という判断もあったかと思うが、動画は自分で勉強、ドローンには手を出さなかった。もちろん他に時間や資金を投入したいことがあった

          知識をアップデートする方法ーこたつフォトグラファー用

          「答え合わせ」と映像

          先に「AI時代の『決定的瞬間』」という記事を書いた。 キャサリン妃が母の日用に公開した写真が加工されているとして、複数の国際通信社が配信を取りやめたことについて取り上げた。加工を指摘したAP通信は有識者の言葉を借りて、信頼と信ぴょう性の崩壊を指摘、コミュニケーション戦略としてもっと正直になる必要があるとしていた。 オリジナルの写真を公開しないとのことでこのまま闇に埋もれていくかと思ったが、急転直下この騒ぎの原因を知ることになる。キャサリン妃がビデオメッセージを公開したのだ

          「答え合わせ」と映像