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⚫️ジキル博士とハイド氏(1932)
本日の懐かしのホラー映画は、「ジキル博士とハイド氏」(1932)。
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ロバート・ルイス・スティーヴンソン原作で幾度となく映画化されているので、映画ファンの方は1度位は鑑賞した事のあるタイトルかと思います。
今日取りあげる「ジキル博士とハイド氏」は、1932年にパラマウントが製作したフレデリック・マーチ主演版となります。
ジキル博士は、人間の心の中にある"悪"の部分を取り除く研究を日夜していました。しかし、本人の熱意とは裏腹に、周囲からの理解は得られていませんでした。
婚約者のミュリエルの事も忘れてしまう程、研究に没頭するジキル博士。
ある夜、街でアイビーと言う娼婦が男性に暴力を振るわれている場面に遭遇、ジキル博士は彼女を救出・介抱します。
助けてくれたジキル博士に、アイビーは熱烈なサービスをしようとしますが、拒絶されてしまいます。ジキル博士は、心の奥底で燃え盛っているアイビーへの欲望を必死に抑えながら、その場を立ち去るのでした。
ジキル博士の研究は続き、"善の心"を取り除く試薬を調合する事に成功します。
自分を被検者とし、試薬を飲んでみると、みるみる内に醜悪で怪物の様な姿に変貌を遂げます。
悪の人格"ハイド"誕生の瞬間でした。
ハイドに変身したジキル博士は、早速心に残っていたアイビーを探し出し、無理矢理関係を持ってしまいます。時に暴力を振るわれ、ハイドの陰に怯える様になるアイビー。
彼女へ酷い仕打ちを繰り返している事へ良心の呵責を感じたジキル博士は二度と薬は飲むまいと決意をします。しかし、繰り返し服用していた副作用で、薬を飲まずともハイドに変身してしまう様になります。よりによって、婚約発表パーティー当日に。
パーティーへ行かず、再びアイビーの元へ姿を現すハイド。
事態は物凄いスピードで悲劇へと向かうのでした。
「ジキル博士とハイド氏」の原作を初めて読んだのは中学生の時でした。
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画像の書籍は、恐らく子供向けに書き直されたものだと思います。
その後、スペンサー・トレイシーが出演する本作のリメイク版(1941年)を高校生の時に視聴。
アイビー役のイングリッド・バーグマンに夢中になり、クラッシック映画への興味が開花するキッカケとなりました。
(1941年版については、また機会を改めます。)
「ジキル博士とハイド氏」が初めて映画化されたのは、1920年。
「狂へる悪魔」も含め、3度映画化された後に、パラマウントが本作を製作します。
注目ポイントは、フレデリック・マーチのハイド氏への変身シーンが一番にあがります。
CGもない時代に、ワンショットで邪悪な表情に変貌させる撮影テクニックは見事でした。👏
ハイドが笑う横顔が「悪魔のいけにえ」のヒューイット一家の長男に似ているのは自分の気のせいでしょうか。( ´艸`)
また、ミリアム・ホプキンス演じるアイビーの恐怖におののく演技が実に素晴らしかったです。
ハイドが近づくと、もの凄く厭な表情を浮かべるので、顔芸だけでアカデミー賞をあげたかった位です。
どんな人の心にも「善」の部分と「悪」の部分があると思います。
人間の心は複雑なので、単純に「悪」の部分を取り除く事はできません。
どの様に、「悪」の部分と折り合いを付けるか?で、その人が問わる様な気がしています。
科学技術が発達した現代でも解決策のない、永遠のテーマだと思いました。