(72)アッシャー家の惨劇(1960)
本日の懐かしのホラー映画は、「アッシャー家の惨劇」(1960)。
エドガー・アラン・ポーの原作小説「アッシャー家の崩壊」をロジャー・コーマンが監督した作品です。
荒廃とした土地に、ポツンとそびえ立つアッシャー家の屋敷。
主人公のフィリップが婚約者マデリンに会う為にアッシャー家を訪れる所から物語はスタートします。婚約者を迎えに来たフィリップでしたが、マデリンの兄・ロデリックは、彼の訪問を快くは思っていない様子でした。そればかりか、マデリンが家を出る事を頑なに拒み、フィリップに帰る様に促します。
ロデリックの反対を押し切り、マデリンに再会するも、彼女自身からも外出は出来ないと断られてしまいます。
もうじき、自分は死ぬと、死にとり憑かれているかの様な様子でした。
突然落ちて来るシャンデリアや建物が軋む音などの不可解な現象は、まるで屋敷そのものが"死"に向かっているかの様な様相を見せていました。
マデリンと共に地下にあるアッシャー一族の棺桶を見たフィリップですが、そこには、兄・ロデリックとマデリンの棺も用意されていたのです。
尋常ではないと思ったフィリップは、マデリンを一刻も早く屋敷から連れ出したい気持ちに駆られていました。そんな矢先、マデリンはベットで死亡したと聞かされます。棺の中に収められるマデリン。
しかし、彼女は「硬直性」と言う病に罹っており、実際には死んでいませんでした。
生きたまま棺の中に収められてしまったマデリンは発狂してしまいます。そして、アッシャー家の"崩壊"は、一気に加速して行くのでした・・・。
エドガー・アラン・ポーの原作小説「アッシャー家の崩壊」は、過去3度映画化されており、本作が4度目の映像化となります。
自分が本作を初めて観たのは、1992年秋。
地上波の深夜放送でロジャー・コーマン監督作品特集が組まれた時でした。解説は、水野晴郎氏。
地元のレンタルビデオ屋には、「POE」の文字がデカデカと踊っているVHSビデオがどこにも置いていなかった為、非常に嬉しい放送でした。
この作品で、ロジャー・コーマン監督と俳優ヴィンセント・プライスを知りました。
冒頭と終盤以外は全て屋敷の中で物語が展開しますので、全編スタジオ撮影された映画だと思います。
低予算ながら、死にとり憑かれたアッシャー家の雰囲気が見事に演出されていました。
怪物や殺人鬼は登場しないものの、アッシャー家の屋敷そのものが"怪物"であると言ったロジャー・コーマンの言葉も頷けます。
音楽は、1960~1970年代に、ホラー系の音楽を数多く手掛けたレス・バクスターが担当。2011年にINTRADAからサントラ盤がリリースされました。
メイン・タイトルがお気に入りなので、サントラリリースは嬉しかったです。♪
ポーの小説「アッシャー家の崩壊」は、その後も映像化されており、2023年にはNetflixのリミテッドシリーズとしても製作されました。(現在、配信中)
ドラマシリーズだと、原作にはないオリジナル展開が盛り込まれているかと思いますが、気になる方はドラマシリーズから観てみるのも良いかも知れません。
※ロジャー・コーマンが監督したポー関連作品は、数タイトルホラービデオカタログに掲載されていますので、今後も取り上げる予定です。