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(93)吐きだめの悪魔

本日の懐かしのホラー映画は、「吐きだめの悪魔」(1986)。

酒屋の店主エドは、店舗地下の奥地に仕舞われていた60年モノのワインを発見します。「ヴァイパー」と呼ばれる謎のワインをエドは、1ドルと言う格安で販売を開始します。
そこへやって来たホームレスのフレッド(本作の主人公)は、エドの注意を逸らしてヴァイパーを1本くすねます。しかし、道すがら別のホームレスに絡まれている間にヴァイパーを奪われてしまいます。ヴァイパーを廃墟のトイレで飲んだホームレスが舌を青くしてみるみる内に溶解して行きます。
原形を留めない程に。

フレッドは、弟のケビンと一緒に、ウェンディが勤務する廃車場の一部にコッソリと棲んでいました。その近くには、一帯のホームレスを仕切るブロンソンと言う大親分が居たので、彼の眼に留まらない様にヒッソリと。
ブロンソンは、ベトナム戦争で狙撃手を務めた男ですが、素行に問題があり、除隊処分にされていました。彼は人の大腿骨で作ったナイフを腰に差し、武器としていました。
一般人であろうが、気に入らないヤツは容赦なく殺していました。

ヴァイパーを購入したホームレスが第2の犠牲者となり、溶解した肉体を浴びた民間人が第3の犠牲者となってしまいます。
奇怪な事件に警察も頭を悩ませながらも捜査を開始。
手掛かりはブロンソンに聞く様に言われ、彼の元へ向かったものの、口論の末必殺の武器で倒されてしまいます。偶然ヴァイパーを飲んだホームレス仲間が溶解している様を目撃したフレッドは店主エドにヴァイパーの販売中止を伝えに奔走しますが、時すでに遅し。
エドも自ら飲んで溶解してしまいます。
この狂気のワイン騒動は、続きます。

本作を初めて観たのは小学生の時でした。クラスの同級生3人でお金を出し合いレンタルし、友人宅でワイワイ騒ぎながら鑑賞しました。内容はよく吟味せず、パッケージの勢いで借りた作品なので、初見ホームレスが沢山出てきたので「ハズしたかな?」と内心子供ながらに思ったものです。
でも、トイレで最初の犠牲者が出たシーンを観て、「これはこれでアリかも知れない。」に変わり、今までのホラーにはない内容に惹きつけられました。
ソーセージ状のイチモツが空を舞うシーンは、3人でゲラゲラ笑いながら観たものです。

一言で言って、汚い(バッチィ)に尽き、清潔感からは真逆の作品です。
最大の見せ場は、ドロドロ溶解シーンな訳ですが、青・黄色、紫、オレンジ、緑とやたらバラエティーに富んでいます。人によって色が違うのは不思議ですが、興味深いです。

グロシーンばかりがフォーカスされがちですが、ホームレス社会の上下関係や対立も描かれていて、「ウォーキング・デッド」の先を行っている気がしました。
最凶の敵・ブロンソンは、ベトナム戦争帰りと言う事で、彼なりにPTSDを抱えている様子が見て取れたり、フレッドの弟ケビンとウェンディのロマンスが描かれていたりと人間ドラマも見所となっています。
ただのグロホラーに留まらないのが素晴らしい所です。

B級ホラーの分野では比較的認知度の高い作品で、スティングレーさんからはDVDに続き、Blu-rayも過去発売され、今年はリメイク版が海外で配信されているとか。
21世紀になって、これ程注目を浴びるB級作品も、そうそうないのでは?と思います。

実は、ヒッソリサントラ盤も過去リリースされていまして、人間が溶解するシーンの効果音とかも入っているので、正統なスコアを期待している人向きではないです。
エンディングに流れる主題歌もキッチリ入っているので、作品好きな方には堪らない1枚かと思います。

余談ですが、若い頃自宅の飲み会に遅れてきた友人に980円のワインを出して、「3万のワインだぞ」と仲間で騙した事があります。
(もちろん、冗談で。)
遅れてきた友人は、「いや〜3万のワインは違うなぁ。」と感激して飲んでいました。途中で帰ってしまったので、その時の精算が出来ていませんが、まぁヨシとしましょう。
良識ある皆さんは絶対に真似しないで下さいね。(;'∀')

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