見出し画像

第3章 11月7日 「暖かい気持ちになった日」

今日を迎えた。昨日を乗り越えて。
朝を迎えた。今日が始まった。

今日は中学時代の友人が起こした会社のお手伝いとして見学や作業をさせてもらい、職場体験させてもらった。

これが3ヶ月目の目標だった社会と接すること仕事に接すること。自分の形を探すこと。
ドキドキしながら彼の職場へ訪れた。
あの頃は良く彼の家に行ってサッカーをサボる時間を稼がせてくれた。
周りは受験勉強で忙しい中、彼だけは相手をしてくれた。

あの時のように優しく迎え入れてくれた。
彼は丁寧に手順を教えてくれた。
「おもしろい」そう思った。

「お、いいね」とか「それいいな」とか褒めてもらいながら。
楽しそうに仕事に夢中な彼を見て羨ましく思った。
時間が掛かっても、中々先が見えなくても遠まわりでも彼はやり続けていた。

「今は忙しくさせてもらってる」と照れくさそうに笑う顔には優しさと苦労が混ざり滲んでいた。
きっと本人は思ってないかもしれないけど、沢山の行動と失敗、壁にぶつかって見つけた形なのだろう。
だから羨ましく思ったんだろう。

「大人が本気で遊べばそれが仕事になる」を体現していたから。
まだまだ夢の途中なのだろうけど、その実現に向けて少しでも手伝いたいなと素直に思った。


3時間ほどでギブアップしてしまったが、いつでも来ていい何か手伝ってもらう事を考えておくと言ってくれた。

社会復帰に向けて一歩を踏み出した。

ほらやっぱり今日はあったかいお茶自動販売機に売ってる。
「昨日の夜を超えたから一歩進めた。」

散歩中ふと気になり彼の事務所に寄ってみた。
まだ灯りがついていたので改めて「ありがとう」を伝えに差し入れで缶コーヒー2本を渡した。
もちろん「あったかい」缶コーヒーを添えて。
そんな1日だった。
あったかいは暖かい気持ちをくれた。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集