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やめませんか。「感想を書きましょう」

幼少期の記憶をたどると、楽しかったことはありますが、苦しかったことも思い出します。みなさんはいかがでしょうか。

苦しかったことの1つに、小学校の作文が入っている人、少なくないのでは?

物語などを読み終えた後の作文。
何を書いたらいいのか、分からずに200文字を埋める作業。
苦行でした。
(自分が授業に興味をもてなかったこともある)

図画工作の授業でテーマは動物。
動物の選択も構図も「自由に書きましょう」。
その自由が分からず、友達のまねをすることで精一杯。
苦しかった。

全体学習の話し合い。
何が議論になっているのか分からないまま座っている時間。
(そもそも授業についていけてないことは置いといて)
幼少期の自分は、何度、時計を見たことか。

とはいえ、構成、構図、内容を全て決めるべきではない。

ある程度の枠を提示して、その中で子供の自由な表現を促す。

そんな授業をするために心がけていることをまとめてみます。
興味のある方は一読ください。


書くとは?

小学校における「書くこと」の活動は、学年によって焦点が異なります。
以下に、各学年における「書くこと」の活動の学習指導要領を基にざっくりとまとめます。

低学年(1・2年生)

  • 書くことの導入…自分の考えや気持ちを短い文で表現する

  • 具体的な題材…身近な出来事や経験、想像したこと

中学年(3・4年生)

  • 事実に基づいた意見の記述…伝えたいことの明確化、段落相互の関係を意識する

  • 紹介、報告、説明など説明的な文章…相手意識・目的意識

高学年(5・6年生)

  • 目的に応じた文章…自分の考えや伝えたいことに筋道を通す

  • 論理的な思考

    • 集めた材料を分類したり関係付けたりする

    • 批評的な文章意見や提案するなど、より複雑な文章表現に挑戦する

系統的に学んだ結果、高学年では目的に応じて情報を集め、比較・分類できることを目指している。そして、伝えたいことに筋道を通して、論理的に表現することが望ましい。

論理的な文章構成について、2年生の教科書で「はじめ」「中」「おわり」という表現でまとめられています。

このとき、「組み立て」という表現を学んでいるのです。
(これを見ると、やはり書く表現はQNKSの一端だと確信する)

読むときは、それぞれのまとまりが、何について書かれているかを考えながら読むと、文しょうぜんたいのないようがよく分かります。
話したり書いたりするときは、つたえたいことをまとまりごとにせいりして、組み立てを考えると、聞く人や読む人につたわりやすくなります。

「こくご 二下」(光村図書)「組み立て」の説明より一部引用

さらに、2年生の教科書で図を使って考えを整理することが巻末にまとめてあります。
巻末資料、どれぐらい授業の中で活用できているだろうか。
この辺りまで教材研究して、系統立てて活用できたらいいと思います。
(自身、低学年は1度しかない。いつかは授業実践したいが。。。)

ふせんに意見を書き出して並び替える。
同じところ、ちがうところを表を用いて整理する。
これが、中学年、高学年と進むにつれて、ベン図やマトリクス、Yチャートなどの活用へと広がっていく。

資料は著作権の関係で紹介できませんが、一度全学年の教科書を見渡してみてはいかがでしょうか。

富山市で採択している光村図書の場合を紹介します。

低学年では自分の思いを短い文章で表現することから始める。
中学年から「分ける」「比べる」「広げる」の視点で、頭の中の情報や抜き出した言葉を整理することを学びます。
やがて、その情報を並び替え、構成を組み立てて整理する。
その『考える』の行為を具体化するための手立てとして、思考ツールが活用できます。

思考ツールを活用できるためには、その単元の中で目的に応じて導入、活用、紹介する必要がある。

ツールを使用させることが目的となっては本末転倒。
ICT活用が目的となることと同じですね。

書くための「枠」の渡し方

では、作文や意見文を書くとき、どうするのか。
それは、基本的な「枠」を渡すことです。

具体的には
①始め・・・(主張したいこと)
②中・・・・(主張を支える具体例)
③終わり・・(まとめ)
の3段構成を最初に指導しています。

合わせて、ハンバーガー話法やPREPの話もしています。

文章作成におけるハンバーガー話法
ハンバーガー話法は文章作成に応用されます。例えば、エッセイやプレゼンテーションでは、以下のような構成が推奨されます

導入(上のバンズ): テーマや主張を紹介します。
本論(ハンバーグ): 複数の支持する詳細や証拠を提示します。
結論(下のバンズ): 主張を再確認し、締めくくります。

このように、ハンバーガー話法は、文章作成のための有用な手法として広く利用されています。

Feloより

PREP法の構成
PREP法は以下の4つの要素から成り立っています

Point(結論): 最初に伝えたい主張や結論を述べます。
Reason(理由): 次に、その結論を支持する理由を説明します。なぜその結論に至ったのかを示すことで、聞き手に納得感を与えます。
Example(具体例): 理由を補強する具体的な例やデータを提示します。これにより、主張がより具体的で信頼性のあるものとなります。
Point(結論): 最後に再度結論を述べ、話を締めくくります。これにより、聞き手の記憶に残りやすくなります。

このように、PREP法は論理的かつ効果的に情報を伝えるための強力なツールです。ビジネスシーンや日常のコミュニケーションにおいて、PREP法を活用することで、より明確で説得力のあるメッセージを届けることができます。

Feloより

小学生はハンバーガーの方が理解しやすいようです。中身は自分の好きな具材をはさむ。より、具体的な事実をのせるイメージになります。
ワークシートも作文指導の初期に手渡します。

書く・話すための枠(初期指導用シート)

慣れてくると、この枠から応用させて自分なりの表現をする子供も増えます。特に文章表現が苦手な子供は書き込み式のシートがあることで、安心して作文を完成できるよさがあります。

では、この枠を上手に活用するためには?
それは、葛原さんが提唱するQNKSが自分の中での最適解です。

  1. Qに対するNを思考ツールなどを用いて表現する。

  2. 出し切ったNの中で、最も言いたいことを見つける。

  3. その具体例を基にワークシートを用いてKする。

  4. 最後にSする。(または話す)

あまり馴染みのない言葉ですが、一度理解すると全ての教科書がQNKSに見えてきます。指導要領もQNKSになっていたことを知り、目から鱗。
(りゅうさん、ありがとうございました!)

しかも、書くための枠は話すことにも応用可能です。
作文に困っている子供を目の当たりにしているなら、穴埋めシートを使って、構造図をつくってみてはいかがでしょうか。

この記事のきっかけ

先日、あらいさん、りゅうさんのイベントに参加できました。

お二人の考え方に触れ、熱い思いを抱きました。

教師としての介入の仕方を変える。
子供が学習の主人公であることを、教師も意識したい。
けテぶれ×QNKSのサイクルを「ちゃんと」回し続ける。
そのために、教材研究をQNKSしたいと思い、指導要領を読み直しました。
学ぶって楽しいと思うきっかけをもらえたことに感謝します。

最後に

もしかしたら、幼少期の私の担任も同じように書く指導をしてくれたのでは?
と思いました。きっと、手を打ってくれたことでしょう。
が、書くことに抵抗を感じてしまった幼少期の私にとっては、聞く耳もたず。

自分の経験も生かしながら、目の前の子供たちにとって書くこと、話すことを楽しむ子供たちになるように寄り添っていきたいです。

アウトプットに苦手意識をもっている子供の気持ちを誰よりも理解できる教師でありたい。
自己理解につながるための表現であることを伝えたい。

今回の内容が、だれかのためになれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コメント、質問などお待ちしています。

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